和紙文66回も結婚式を中止したので、私は彼のもとを去ることにした · 第3話設定≡

66回も結婚式を中止したので、私は彼のもとを去ることにした第3話

この話は約1788字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

アンドリューは私を上司のオフィスから引っ張り出して、責めるような顔で言った。

「アイビー、また拗ねてるのか?もうちょっと大人になれないのか?二日前に結婚式を中止したのは俺の本意じゃないんだよ。セレナはゲストとして祝福しに来てくれたのに、式の最中にアレルギーで窒息して倒れたんだ。そんな彼女を放っておけると思うか?」

私は無表情で答えた。

「怒ってないよ。彼女を看病するのは当然でしょ」

アンドリューは一瞬黙り込んで、ぼそっと呟いた。

「なんでそんなに急に大人しくなったの?怒ってないなら、なんで辞めるんだ?」

「新しい仕事が決まったから」

私は何年も医学を学んできた。一心で困っている人を助けたい。

だから、国境なき医師団に加われることが嬉しかった。

けれど、アンドリューの顔色が突然曇った。

「今はまだ辞めないでくれ。セレナは私たちの結婚式でアレルギーを起こして、式が中止になったばかりなのに、あなたが今すぐ退職願を出したら、彼女が自分のせいだって思い込むに決まってる。彼女は孤児で繊細だから……」

私の胸にあった期待は彼の言葉で冷たく打ち砕かれた。

ただセレナを気遣うために、私の夢をまた先延ばしにしろと言うのか。

たぶん私の顔に出た失望があまりにもはっきりしていたのだろう。

アンドリューの声は少しだけ優しくなった。

「もうちょっとだけ我慢して。式が終わったら、やりたいこと何でも応援するから」

この期に及んで、彼はまだ結婚式を挙げようとしてる。

でも、私はもう限界だった。これ以上はもう、耐えられない。

私が黙っていると、アンドリューはそれを同意だと受け取った。

今までもずっと、彼が何かを望めば、私は断らなかったから。

「ほら、そんな顔すんなよ。今夜はデートしようか?」

アンドリューは手を差し出してきた。

私たちはいつも決めていた。喧嘩しても、デートのときは仲良くするって。

「うん」

私は微笑んで応えた。

この関係に、せめて綺麗な終止符を打ちたかった。

だが、またしてもセレナが現れた。

「アンドリュー、助けて……8番ベッドのおじいさん、また私をいやらしい目で見てきたの。検査、代わりにやってくれない?」

私は冷たい目でセレナを見た。

彼女は看護師で、こういう問題があれば看護師長に相談すべきなのに、わざわざアンドリューに頼るのは、同情を引くために決まってる。

以前の私なら、そう言って彼女を非難したかもしれない。

でももう、どうでもよかった。

アンドリューは私の顔をうかがうようにして、迷っているようだった。

彼が私の意見を伺うなんて、今まで一度もなかったことだった。

私は優しく言った。

「セレナは孤児で、弱い立場だしね。あなたは先輩として、助けてあげるべきだと思うよ」

アンドリューは信じられないような顔で何度も私を見た。

そんな私の変化に、戸惑っているようだった。

セレナは私の手を握ってきた。

「アイビーって、本当に優しいんだね。大事な婚約者を貸してくれるなんて」

私は何も言わなかった。

それでもセレナはしつこく話しかけてきた。

「ねえ、私たちのネックレス、おそろいっぽくない?」

私は彼女の首にかかるネックレスを見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。

そのネックレスのチャームは「鍵」そして私のネックレスは「鎖」だった。

昔、私はすべてを捨ててアンドリューについてこの町に来た。

そのとき彼は特別にデザイナーに頼んでこのペアのネックレスを作ってくれた。

「あなたの心の扉は俺だけが開けられるように」

彼はそう言って、私にネックレスをかけてくれた。

「このネックレス、一生外さない。あなたへの愛と同じで」

でも今、そのネックレスは、他の女の首元にかかっている。

あまりにも皮肉だ。

私は自分のネックレスを外し、セレナに差し出した。

「じゃあ、私のもあげるよ。ちょうどペアになるでしょ」

仕事が終わったあと、アンドリューが迎えに来てくれた。

私がネックレスをしていないことに気づくと、すぐに私の手を掴んで聞いてきた。

「ネックレスは?一生外さないって約束したじゃん!」

私は彼の首元を見た。彼はもう着けていなかった。

なのに、私にだけ着けてろって言うの?

彼は少し気まずそうに目を逸らして言った。

「ごめん、俺の……なくしちゃった」

私は笑った。

「奇遇だね、私のもなくしちゃった」

アンドリューはほっとしたような顔をして、「じゃあ、また新しいのを買ってあげるよ」と言った。

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