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5年後から親友の後悔が届く第2話

この話は約1920字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

征司は顔を真っ青にし、慌てて救急車を呼んだ。

佳澄も気が気ではない様子で、そのまま病院までついてきた。

運び込まれてすぐに処置を受け、私はどうにか峠を越えた。

「産後間もない時期に強いストレスがかかり、転倒したときの衝撃も重なって、大量出血を起こしたようです。

今回はすぐに搬送されたので大事には至りませんでしたが、しばらくは安静にしてください」

医師はそう言って、病室を出ていった。

佳澄はティッシュで額の汗を拭き、征司はおかゆをひと口ずつ、ゆっくり食べさせてくれた。

ぼんやり2人を見ていると、ふと、3人の仲が一番よかった頃に戻ったような気がした。

あの頃の征司は、私が本格的な鍋料理を食べてみたいと口にしただけで、遠く離れた街まで連れていってくれた。

私の悪口を言う人がいれば、普段は気の弱い佳澄まで顔を真っ赤にして言い返してくれた。

そんなことを思い出しているうちに、スマホがまた震えた。

【冬香、今の私たちにほだされないで】

【その後も、私と征司は何度も、もう会わないってあなたに約束したの。でも結局、隠れて会い続けた。私のせいであなたの息子が亡くなったときも、征司は私をかばった】

【そのあと、あなたは重いうつ状態になって、自ら命を絶った】

【あなたが死んだあと、私は本当に後悔した。征司も、あなたを失ってからやっと、まだ愛してたんだって気づいたの】

【でも、だからって私たちが許されていいわけじゃない】

私、そんなふうに死ぬの……?

思い返せば、征司は昔からそうだった。

私と佳澄が揉めるたび、最後には決まって佳澄をかばった。

そう思うと、あのメッセージも、もうただの嘘とは思えなかった。

込み上げる気持ちをこらえ、差し出されたおかゆを押し返して、痛む体をゆっくり起こした。

「征司、離婚しよう」

征司は返事をせず、真っ先に佳澄を見た。まるで、佳澄が何と言うか待っているみたいだった。

佳澄はみるみる顔を青ざめさせ、慌ててベッドのそばへ駆け寄ってきた。

「離婚なんてやめてよ。冬香、私、2人を別れさせるつもりなんてなかったの。私……」

佳澄が言い終わる前に、私は遮った。

「私の夫と不倫して、子どもまで産んでおいて、まだそんなこと言えるの?あなたの継母みたいに、お母さんを死なせてお父さんと一緒になるくらいしないと、自分が何をしたかわからないの?」

佳澄は目を見開いたまま私を見つめ、ぽろぽろと涙をこぼした。

征司はすぐに佳澄を抱き寄せ、私を睨みつけた。

「冬香、いくらなんでも言いすぎだろ!」

涙をこらえながら、思わず鼻で笑った。

「もう隠す気もないんだ。佳澄に優しくしてるのは私の親友だからだって、ずっと言ってたくせに」

征司は顔を背けた。

「騙すつもりなんてなかった。佳澄がお前に嫌われたくないって、黙っていてくれって頼んだんだ」

「じゃあ、隠れて不倫してたことまで、ありがとうって言えばいいの?少しは恥ずかしいと思わないの?」

傷つけられたのは私のほうなのに、征司はまるで私が悪いとでも言いたげに眉をひそめた。

「お前ってほんと、人の気持ちがわからないよな。言い方はきついし、意地っ張りだし。そんなんだから、佳澄以外には誰にも好かれないんだよ。実の母親にまで嫌われるわけだ」

その一言に体がこわばり、シーツを握る手に力が入った。

ずっとそばにいた征司だからこそ、私が一番傷つく言葉をよく知っていた。

「冬香にそんなこと言わないで!」

佳澄は征司に向かって声を上げると、慌ててベッドのそばにひざまずいた。

「冬香、お願い。私、もう征司とは会わない。連絡もしない。絶対に征司を取ったりしないから……だから、私のこと嫌いにならないで」

征司の顔が曇った。

「佳澄……」

佳澄は征司を見ようともせず、首を振った。

「もういいの、征司。私、決めたの」

これ以上、2人のやり取りを見ている気にはなれなかった。

赤ん坊が実家にいるとわかると、私はすぐに病院を出た。

けれど、実家に着いても、母は赤ん坊を渡そうとしなかった。

「この子、泣き出したらいつまでも止まらないのよ。ほんと、あんたそっくりでうっとうしい!」

赤ん坊は声がかれるほど泣いていて、見ているだけで胸が痛んだ。

それなのに母は、その小さな腕を何度もつねった。

「いつまで泣いてるの、このクソガキ!うるさくてたまらないわ!」

あまりのひどさに涙があふれた。

「そんなに嫌なら返してよ!こっちだって、お母さんに面倒見てもらおうなんて思ってない!」

赤ん坊を取り返そうと手を伸ばしたが、母は抱いたままさっと身をかわした。

「返してほしいなら、これからは佳澄ちゃんの言う通りにしなさい」

「嫌だって言ったら?」

「じゃあ、この子は返さない」

一瞬、息が止まった。

「お母さん、私が実の娘でしょ!」

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