18回の体外受精を耐えた元妻が仕掛けた罠で、元夫と愛人を社会的に葬った件について_第2話
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私は口元を少し引き上げただけで、何も見なかったふりをした。
彩乃は構わず、まるで自分の家のように自然な動作で私の隣に座り込んだ。かつて支援を受けていた頃の遠慮がちで臆病な態度など微塵も感じさせない。
「うわっ、霞さん、どうしたんですか?顔色がひどく悪いですよ?」
彩乃は大げさな口調で驚いてみせ、私の腕を取ろうとしたが、私がさっと身を引いたため空振りした。
「誠司さん、見てくださいよ。霞さん、誠司さんのためにこんなに苦労してるんですよ。顔色は土気色、体型も崩れちゃって、昔の華やかな雰囲気なんてどこにも残ってませんねぇ」
彩乃はわざとらしく少し距離を取り、私の見えないところで誠司に向かってウィンクしながら、挑発的な言葉を続けた。
反論しようとしたところで、誠司が眉をひそめて口を開く。
「何を言ってるんだ。霞は今でも綺麗だよ」
彩乃はわざとらしいほど申し訳なさそうな顔をして、
「ごめんなさい、霞さん。私、思ったことをすぐ口にしちゃう性格で。気を悪くしないでくださいね?」
と謝るふりをしたあと、こう付け加えた。
「でも私だったら、絶対に子供なんて産まないですね。妊娠して醜くなっちゃったら、夫だって浮気しちゃうかもしれませんし」
私は顔を冷たくこわばらせ、無言で電話をかけた。
「警備員さん?不法侵入者がいます。至急追い出してください」
彩乃は不満そうに口を尖らせた。
「ちょっとした冗談じゃないですか。霞さん、そんなに怒らなくてもいいのに」
「もういいだろ。資料も渡したし、霞も確認したから、そろそろ帰ろう」
誠司は彩乃の腕を引っ張りながら、私に向かって振り返る。
「君も、彩乃はまだ若いんだし、そんなに目くじらを立てるなよ」
玄関を出た途端、彩乃は待ちきれない様子で誠司の胸に飛び込んだ。
「私は出産の苦労はしなくてもいいけど、自分の子供があの人のお腹にいるなんて考えるとゾッとします!しかも、生まれた後はあの人を『お母さん』なんて呼ばせるんですよ?」
誠司は彼女を抱きしめ、目を細めながら低く答える。
「もう少しの辛抱だ。俺たちは婚前契約を結んでる。もし俺の不倫がバレたら、君の言う通り、財産を全て失う羽目になる。
でも、俺たちの息子なら話は別だ。生まれた瞬間から星川家の唯一の後継者だし、将来はすべてを受け継ぐ。
霞のことなんて、その頃にはただの使い捨ての駒だ」
誠司の冷酷な言葉に、私は一つ鼻で笑った。
誠司、桜庭――私のことを本当に馬鹿にしているのね?
インターホンのモニターを消して、二人の姿を視界から締め出すと、私は寝室に戻った。心の中で練っていた計画が、さらに形を成していくのを感じながら。
私の体はもともと冷え性で、妊娠が難しいタイプだった。妊娠後も酷いつわりに悩まされ続けている。
それなのに、誠司は「完璧な夫」を演じるために、仕事を自宅に持ち込んでまで私の世話を焼き続けた。
必要不可欠な飲み会以外、彼はほとんど家にいて、24時間待機しているような状態だった。
でも、そんな彼の行動に私は感動するどころか、ただただ偽善的で気持ち悪いとしか思えなかった。
頻繁に家に来る秘書の彩乃も例外ではなく、資料を届ける名目で何かと足を運んでは、私の目を盗んで誠司といちゃついている。
私が気づいていないと思って、堂々と「仕事」の話をしながら私の目の前で距離を縮めることすらあった。
二人が私の目の前で調子に乗るのは不愉快だったので、私は別の手段を取ることにした。
「ねぇ、茯苓のお菓子が食べたいわ、八達街の店のやつ」
「うーん、今は中華街の北京ダックがいいかな」
「あと、北町のタピオカミルクティーと、西町のお餅も食べたいわ」
こうして私が食べたいものを次々と注文するたび、彩乃は不機嫌そうに車で買いに行かざるを得なかった。
交通渋滞のおかげで、往復するだけで何時間も費やすこともしばしば。
そして彼女がやっと買って帰ったものを、私は目の前でゴミ箱に捨てた。
「冷めちゃってる。これじゃ息子を殺す気なの?
やっぱり、今は食べたくない」
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