100回目の婚約披露宴:彼氏は私を置き去りにする第3話
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そう言い捨てて、私は家を出た。
会社に着くとすぐに、部署から二名を選抜して海外支社へ研修に派遣するという話が舞い込んできた。同僚たちはこぞって応募している。
新卒でこの会社に入ってから今まで、海外研修のチャンスは三回あった。今回で四回目だ。
同期入社の社員たちはほとんど皆経験済みで、一年後に帰国すると昇進や昇給を果たしていた。
けれど私は、湊と離れて遠距離恋愛になるのが嫌で、そのたびに応募を見送り、みすみすチャンスを逃してきたのだ。
今振り返ってみれば、私はもう30歳。いい歳をして、人生はボロボロだ。
恋愛面では一方的に尽くすばかり。七年も湊を追いかけ続け、手に入ったのは100回の婚約失敗という事実だけ。彼は具体的な結婚の日取りすら約束してくれず、永遠に「琴音が結婚するまで待て」の一点張りだ。
仕事面でも何一つ成し遂げていない。同い年の人たちはとっくに管理職になっているというのに、私だけがまだ平社員として無為な日々を過ごしている。
もう、変わるべき時が来たのだと思った。
私は上司のところへ行き、今回の研修に応募したいと申し出た。入社以来ずっと私を見てきた上司は、私の応募に少し驚いたようだ。
「一ノ瀬さん、やっとその気になったのね。彼氏さんとは相談したの?」
私は首を横に振った。
「これは私自身の決断です。仕事でもっとステップアップしたいんです」
上司は嬉しそうに私の肩を叩いた。
「それでいいのよ。自分自身のキャリアこそが一番確かなものなんだから。恋愛だけに溺れてちゃダメ。彼氏さんだって、きっと理解してくれるはずよ」
私は唇を引き結び、何も答えなかった。
その日は仕事に没頭し、意外なほど湊のことを思い出さなかった。いつでも携帯を手に取り、彼からの連絡をチェックするようなこともしなかった。
海外行きを決めた瞬間、私の心にあったのは「選ばれるだろうか」という自分の未来への期待だけで、湊と離れることへの不安は微塵もなかった。
昨日、湊に100回目の置き去りを食らったあの瞬間、彼への愛想は完全に尽きてしまったのかもしれない。
意外なことに、退社時間が近づいた頃、湊からメッセージが届いた。
【今日、仕事終わったら迎えに行くよ。一緒に飯食おう。昨日の誕生日の埋め合わせだ】
少し考えた末、私は承諾した。
ちょうどいい。今日彼にはっきり伝えよう。私が海外に行けるかどうかに関わらず、彼とはもうやっていけないと。
会社を出ると、見慣れた車が停まっているのが見えた。私は後部座席のドアを開け、乗り込んだ。
湊は眉をひそめた。
「なんで助手席に乗らないんだ?」
私は何も言わず、助手席に貼られた一枚のステッカーに視線をやった。そこには【琴音専用】と書かれたファンシーシールが貼られている。
湊が車を買って以来、琴音がいる時は助手席は必ず彼女の指定席だ。
かつて私はこのことで喧嘩をしたことがある。けれど湊は、たかが座席一つで私が理不尽に騒いでいるだけだと感じていたようだった。
琴音は分離不安があるから、彼の近くにいないと辛いのだと。彼はむしろ、私に思いやりがないと責め立てた。
それ以来、私は彼の車に乗るのが嫌になった。自分から不愉快な思いをしに行く必要はない。
今、琴音が乗っていない時でさえ、彼女は自分の痕跡を残して私を不快にさせようとしている。
以前なら、間違いなく胸が塞がるような思いをしていただろう。
でも今は、どうでもよかった。
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