風にさらわれた恋第3話
この話は約1524字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
蓮は血走った目で詰め寄ってきた。
「言え!遥はどこだ!」
何を言っているかは全く分からない。しかし言い訳をする間も与えず、私の首が締め上げられた。
「星野音羽!最近おまえを甘えやかしすぎたかな?そこまでして、なんでもやるのか!」
喉が締めつけられ、息ができなかった。意識が途切れる寸前、ようやくその手が離れた。
荒い息を繰り返しながら、私は絶望な目で彼を見つめていた。
「私、何もやってない!」
その答えを聞くと、蓮の怒りはさらに燃え上がったようだ。
「嘘つくんじゃねぇ!おまえ以外に、こんな真似できるやついんのかよ!ちょっと出ただけで、なんで彼女が消えたんだ!この家にいたのは、おまえらだけだろうが!
いつも人の気持ちが分かるふりをして、結局子供ができた彼女のことを嫉妬してたんだろ!星野、おまえいつからこんなふうになったんだよ!」
あまりにもひどい言い方だった。涙がこぼれ、頬を伝って落ちていった。
怒りに満ちた彼の目が、ほんの一瞬だけ泳いだ。確か、彼はいつだって私の涙に弱かった。
手を伸ばした蓮は、私を慰めようとするように見えた。しかしその手は私に届かずにいた――
彼に電話があった。
それを取った蓮の瞳に、次第に冷たい光が宿っていた。
「おまえ、演技がうまいな!危うく騙されるところだった。
遥とその子に何かあったら、おまえを絶対に許さないからな!これだけ覚えとけ!」
気がついたときには、手首が乱暴に掴まれ、靴も履かずに、そのまま外へ引きずられていった。
混乱しているうちに、私は階段につまずいて倒れ、膝をその角に強くぶつけた。あまりの痛みに、思わず声が漏れた。
ところが、私の悲鳴などまるで聞こえないかのように、彼はただひたすら私を前へ引きずっていた。車に押し込まれたときには、この両足はすでに血まみれで、裂けてただれていた。
車は猛スピードで走っていた。こんなふうに慌てている彼を見たのは、前に一度だけだった。
それは彼を守るために、私が傷を負ったときの話だ。
やがて、一つの島が見えてきた。
「兄貴!あそこです!」
子分たちが蓮の元へ駆け寄り、遠くを指さして叫んだ。
指先の先、古びた鉄骨の下に、意識を失った遥が静かに吊られていた。
「近くはもう捜索済みです。誰の姿もありません。恐らく、あの拉致野郎もう逃げたかと。」
言いながら、彼らは私を見つめていた。
ほどなく、助け出された遥は意識が戻った。小腹を心配そうに抱えながら、蓮に感謝した。
「私を助けに来ると、ずっと信じていました……」
そして、泣きそうな表情で、私に向いた。
「もし、私のことが嫌いだったら、私を追い出しても構いませんのに、どうして、どうしてこの子まで殺そうと……」
「違う。私じゃない」と言いたかったのに、口から出る前に、私の頬が激しく叩きつけられた。
「おまえやりすぎだ。ここで反省しろ。」
蓮は遥を抱き上げ、私を睨みつけた。そう告げて、彼は振り返らずに立ち去った。
挑発的な視線を感じていた。蓮の肩に寄りながら、遥は私を見やった。
冷たい潮風に吹かれて、芯まで凍えられたような気がした。
ここは無人島。残されたことは、もう死んだのと同じことだ。
ちょうどそのとき。頭の中に、システムの通知音が響いてきた――
「この世界から離脱するまで、あと五日」
まあ、それでいい。どうせすぐ消えてしまうから、このように誰にも気づかないまま消えるのも悪くはない。
そう考えて、私は寂しく笑った。
いったいどれくらい経ったのだろう。息も絶え絶えの間に、蓮の姿が静かに現れた。
私の顔をやさしく撫でながら、彼は悲しげに言った。
「君を、どうすればいいんだろう……」
力なく彼を見上げた。その顔がこんなにもはっきり見えているのに、その心だけはどうしても掴めなかった。
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