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雪舞い散る頃、愛は終わりを告げる第2話

この話は約1970字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

神崎家と望月家は代々親交があり、千幸と和也は幼馴染だった。二人は婚約もしており、X市の名家の中ではお似合いのカップルとして評判だった。

一緒に育ち、互いに気持ちを言葉にしたことは一度もなかったが、彼女が振り返ると、彼はいつもそこにいた。

彼は守護神のように彼女を守り、支えていた。

彼女が結婚できる年齢になれば、二人は当然のように結婚するはずだった。

しかし、千幸が16歳の時、両親が交通事故で亡くなり、事態は一変した。神崎家の財産は、恥知らずな伯父伯母に根こそぎ持っていかれ、さらには当然のように神崎家の別荘に住み着き、彼女を使用人のように扱い、虐待さえした。

しかし、そんなどん底の中、和也が彼女を守ってくれ、家に引き取り面倒を見てくれたおかげで、彼女は無事に学校を卒業し、医師になることができた。

大学卒業後、千幸は和也と本当に結婚し、彼との家庭を持ちたいと思っていた。

しかし、彼が家業を継いでからはますます忙しくなり、いつも「もう少し待ってくれ」と言われていた。

彼女は6年間待ち続けた。

最初の頃は和也も忍耐強く優しい態度で接していてくれたのだが、結婚の話になると次第に眉をひそめるようになった。千幸は彼が疲れているのだと思い、自分はもっと大人しくして、彼にあまりプレッシャーをかけないようにすべきだと考えた。

彼に愛されているなら、もう少し待つことくらい、どうってことない。

しかし絵里の出現によって、千幸の幻想はすべて打ち砕かれた。

和也という人は、生活の些細なことまで一つひとつ気にかけ、煩わしさなど気にも留めない人だった。

そして毎日欠かさず、相手の暮らしぶりを尋ねては、ほんの少しの無理さえもさせまいと思える人だったのだ。

和也はこんなこと、千幸には一度もしてくれなかった。

突然の着信音でハッと我に返り、急に胸が締め付けられるように痛んだ。千幸は天井を見上げ、涙をこぼさないようにした。

「神崎主任、救急で肝血管腫破裂の患者が運び込まれました。手術経験のある医師は今、全て手術中なので、もし手が空いていたら、引き受けていただけますか?」手術室からの電話だった。

千幸はすぐに立ち上がった。「準備をお願いします。すぐに向かいます」

病院に着いたのは夜の9時だった。患者の容態が緊急を要するため、千幸はすぐに半肝切除手術を行った。そして、手術室を出た時には、すでに午前2時を回っていた。

長時間の手術で集中力を使い果たした千幸は、オフィスに戻ると疲れ果てて、服を着たまま眠ってしまった。

どれくらい眠っていたのだろう。千幸はぼんやりとした意識の中で、何かが体にかけられたのを感じた。目を開けると、院長の鈴木恵(すずき めぐみ)が目の前に立っていた。

「あら。千幸、うるさかったかしら?毛布もかけずに縮こまって寝ていたから、かけてあげようと思ったんだけど、起こしちゃったわね。あら、もう……」恵は少し申し訳なさそうだった。

千幸は気にしなかった。「大丈夫です、院長。もう十分睡眠は取れましたので、ちょっと回診したら家に帰って寝ます」

恵は、千幸の上司であるだけでなく、彼女の母親の友人でもあった。

だからこの子がどれほど努力してきたか、恵はずっと見てきた。

恵は、安堵と同時に胸が痛んだ。「わかった。じゃあ、早く回診を済ませて、帰って休みなさい」

そう言って、彼女は外へ出て行こうとした。

千幸は少し迷ったが、結局恵を呼び止めた。「院長、私……退職しようと思ってて」

恵はすぐに引き返し、驚きの声を上げた。「どうして?急にどうしたの?」

「結婚したんです」

それを聞いて、恵の顔には何かを察したような笑みが浮かんだ。「まあ、望月家のあの子でしょ?おめでとう、千幸。

小さい頃からの縁が、ついに実を結んだのね」

千幸は恵が誤解していることに気づき、口元を少し引き攣らせたが、説明はしなかった。

恵は千幸の異変に気づかず、興奮した様子で言った。「あなたのおばあさんは、ずっとあなたが結婚するのを楽しみに待っていたんじゃなかったっけ?これで安心させてあげられるわね」

祖母の話が出ると、千幸の目は優しくなり、今度は心からの笑顔を見せた。「お祖母さんが喜んでくれたら何よりです」

祖母の最後の願いが、自分が早く良い伴侶を見つけることだったからこそ、たまたま結婚を迫られていた彰と、こんなにもあっさりと結婚してしまったのだ。

今度、祖母に結婚報告をしたらきっと喜んでくれるだろう。

恵としばらく話をした後、千幸は退職手続きを済ませ、回診をしてから帰宅した。

昨晩の徹夜で寝不足だった千幸は、タクシーで帰る途中ずっと頭が重く、足取りもおぼつかなく、ただ早くベッドに入ってゆっくり眠りたいと思っていた。

しかし、家に入った瞬間、寝室の様子を見て、全身の血が一気に頭に上った。疲れも眠気も、怒りで吹き飛んでしまった。

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