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離婚を決意した私に、彼は再び愛を求めてきた第2話

この話は約1630字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

思い返すたびに、まるで目に見えない巨大な手が心臓をぎゅっと鷲掴みにしているようで、息が詰まりそうになった。

唯依の寝顔を見つめれば、本来なら何の憂いもなく過ごすはずの年頃なのに、夢の中でさえ眉を寄せていた。

私はそっとその眉間に手を置き、なぞるように撫でてやった。

唯依は寝返りを打ち、私の手をぎゅっと握りしめ、うわ言のように囁いた。

「パパ、やっと帰ってきたんだね……唯依、ずっと会いたかったの」

目を閉じたままの寝言だと気づいた瞬間、胸を締めつける大きな手はさらに強くなり、息すらできない気がした。

かつて私に跪き、結婚を申し込んだのは賢だった。

過去を断ち切り、私を大切にすると誓ったのも、彼自身だった。

私は舞い上がる気持ちを抑え、何度も問いかけた。本当に決意は固いのか、と。

一か月の冷静期間さえ設けた。一か月後にもまだ彼の考えが変わっていなければ、それなら結婚しよう、とまで言った。

賢は1か月経っても、私と結婚したいという意思は変わらなかった。それで、私たちは両親への挨拶回りをし、結婚の準備を進めた。

彼がそう簡単に明茜を忘れられないことぐらい、分かってはいた。それでも、これからの生活に期待を抱いていた。

人には血も涙もあるものだ、いつかは私に傾くと信じていた。

たとえ愛がなくても、彼の人柄ならば責任だけは果たしてくれるはずだと。

けれど私は大きく間違っていた。しかもその誤りに、娘までも巻き込んでしまった。

私と唯依は、彼が織り上げた嘘の中で暮らしてきた。会えなくても、愛情は確かにあったのだ。

六年。ようやく帰ってきたかと思えば、明茜とその子を連れ、まるで家族のように戻ってきた。

私は目を開けたまま涙を流し続け、賢が部屋に入ってきたことさえ気づかなかった。

彼はベッド脇に立ち、見下ろすように言った。

「明日は徳生の七歳の誕生日だ。明茜が、みんなで賑やかに祝いたいって言ってる。テーマはウルトラマンだ。ちゃんと家を飾りつけておけ」

あまりの言葉に私は笑い出してしまった。

「彼女の息子の誕生日を、うちで?しかも私が準備?」

賢は冷ややかに言い放った。

「母子だけで生きていくのがどれだけ大変か、わかるだろ?女同士なら少しは察しろよ」

私はベッドから飛び起き、声を抑えつつも怒りを隠さず言った。

「賢、覚えてる?明日は唯依の六歳の誕生日でもあるのよ。唯依はあなたの実の娘でしょう!」

彼は面倒そうに手を振った。

「じゃあ一緒に祝えばいいじゃないか。二人いっぺんにやった方が面白いだろ。準備はお前に任せる。明日、佐藤秘書が必要なものを届けてくれるから、きっちり飾りつけろ」

返事を待つこともなく、背を向けて歩き出した。

私は思わず声を詰まらせた。

「賢……私が泣いてるの、見えなかった?」

彼の足が一瞬止まり、わずかに憐れむような目を向けた。

だがそれはすぐに消えた。

「お前、泣かない夜なんてあるのか?母親なんだから感情をもう少し抑えろ。唯依までお前に似て泣き虫になってるぞ」

扉が閉まった瞬間、不思議と涙は止まった。

妙なものだ。私は突然、悲しくなくなったのだ。

その夜、私は久しぶりに涙を流さず眠りについた。

翌朝、佐藤秘書の電話で目を覚ました。

彼が運んできたウルトラマンの飾り付けの箱を受け取ると、その足で801号室の扉を叩いた。

開けたのは唯依の親友、哲也(てつや)だった。彼は山ほどのウルトラマンの飾り付けを見て興奮し、私に抱きつきながらキャーッと叫んだ。

私は夜にはケーキを食べに来るよう念を押し、家ではあらかじめ用意していたプリンセスの飾り付けを取り出した。

半日も経たぬうちに、部屋は小さなディズニーランドのように彩られていた。

唯依とおそろいのプリンセスドレスに身を包み、私たちは笑顔で、ディズニーのキャラクターに扮した大人や子どもたちの間を駆け回った。

だが、不意にどっと笑い声が沸き起こり、ふと振り返ると――そこにはウルトラの父と母、そして頭を乱暴に脱ぎ捨てた、気色ばったウルトラマンが立っていた。

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