遥か彼方にこそ、真の美しさがある第3話
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翌朝、私の目はひどく腫れ上がっていた。暁は私を一瞥し、珍しく一度だけ心配してくれた。
彼は私に尋ねた。「昨日はよく眠れなかったのか?」
私は口元を歪めて、何も言わなかった。すると彼は近づいてきて、私の額に触れようとした。
近づいたその瞬間、彼のシャツの襟元からくっきりと残るキスマークが見え、私は思わず胸がムカムカと吐き気を催した。
昨夜から今朝まで彼と一言も話していなかった私が、ついに口を開いた。「私たち、別れましょう」
暁は一瞬呆然とし、顔色も険しくなった。「湊、自分が何を言っているか分かっているのか?」
私は頷いた。自分の気持ちをはっきりと理解していた。彼が聞き取れなかったかと心配し、もう一度繰り返した。
「ええ、私たち、もう終わりよ。円満に別れましょう」
しかし暁は、私がただ駄々をこねているだけだと思い、嘲笑うように眉を上げた。
「湊、たった一度の昇進のチャンスを奪っただけじゃないか?そんなに器が小さいのか?まさか別れるなんて言って脅すとはな」
彼は手に持ったベルトで私の頬を軽く小突き、一言一句問い詰めた。
「俺なしで、君一人で生きていけるのか?そんな言葉、二度と聞かせないでくれ。やきもちを焼くにもいい加減にしろ」
私が気を引こうとしているとでも勘違いしたのだろう、暁は初めて、私と一緒に会社へ車で行こうと提案した。
これまで彼と秘密の恋を五年続けてきたが、彼は常に「避けるべきだ」と言い、私を自ら車に乗せることは決してなかった。
暁は私を車に促したが、助手席には破れたストッキングが転がっていた。
私は込み上げる吐き気を抑えながら車のドアを閉め、後部座席へ移動した。暁の顔色も一瞬こわばった。「昨日、詩織が服を汚したから、車の中で着替えたんだ」
私は彼の説明を聞くことなく、ただうんざりして目を閉じた。
会社に入ると、普段は仲良くしていた同僚たちが、私を奇妙な目で見ていた。まるで高みの見物を決め込んでいるかのような表情だ。
私は自分のオフィスに近づいたが、大切にしていた資料やファイルがすべて床に散乱し、私物は無残にもひっくり返されていた。
私の心にたちまち怒りが込み上げた。誰がこんなことをしたのか問い詰めようとしたその時、詩織が二人に指示して机を運び入れてくるのが見えた。
床に落ちていた、二つの汚れた靴跡が付いた企画案を拾い上げた。それは私が半月かけて心血を注いだものだ。
私は手を上げてその上の埃を払い、詩織を見た。「あなたがやったの?」
詩織は口元を押さえ、驚いた様子で言った。「あら、佐倉先輩、まさか彼らがあなたのものをゴミだと思ってしまうなんて。私も思ってもみませんでしたわ」
口では謝罪しながらも、その目は軽蔑に満ちていた。「でも、このオフィスは、昨日社長が私に許可してくださったんです。だから、ゴミはゴミらしく自分の居場所をわきまえるべきですわ!」
私は笑った。そして迷わず手を振り上げ、詩織に平手打ちを食らわせようとした。しかし次の瞬間、暁が飛び出してきて、血走った目で私を突き飛ばした。
「湊!何をするんだ!」
私の頭は硬い机の角にぶつかり、耳元で一瞬、耳鳴りが響いた後、鋭い痛みが襲ってきた。
しかし、額の痛みよりも、今の心の痛みの方がはるかに大きかった。
私は呆然と、かつて深く愛した男を見つめた。今の暁は、私の心の中で見る影もなく変わり果てていた。
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