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遠距離恋愛の末、七年間付き合った彼と別れた第2話

この話は約1676字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

この7年間、会うために、私たちは海を越え、どんなに遠い距離だって越えてきた。

あの数万キロという距離は、かつて二人を阻む壁であり、同時に、愛の証でもあった。

今でも覚えている。

ある別れの時、蒼生が私の涙を優しく拭いながら、甘く穏やかな声で慰めてくれた。

「愛しているから、距離なんて問題にならないよ。

ひな、俺が卒業して帰国したら、必ず最高に盛大な結婚式を挙げよう!

俺たちはこの先ずっと一緒だ。永遠に、離れない……」

なのに。

あの言葉から、たった三ヶ月しか経っていない。

私はポケットから一枚の紙を取り出した。

交換留学プログラム学内選考合格者のリスト。

私の名前の後に続く「希望国」の記入欄には、蒼生が留学しているM国と書かれていた。

本当は、直接彼に伝えるつもりだった。

何度受けても受からなかったIELTSに、必死の思いでようやく合格できたことを。

そして、ごくわずかな留学枠を、学年トップの成績で勝ち取ったことも。

これでようやく、何万キロも離れていなくていいのだと。

でも今になって痛いほど、あることをわかった。私たちを隔てているのは、もう物理的な距離じゃない。

心だ。

刺すような寒風の中で涙を拭い、私はスマホを取り出して担当の先生に電話をかけた。

「先生、申し訳ございません。交換留学の行き先って……変更することは、まだ可能でしょうか?

はい……F国に、変更したいのですが」

……

家に戻り、荷物をまとめ始めた。

引き出しを開けると、ころんと丸い小さな惑星のモデルが転がり出てきた。

それは以前、蒼生が帰国して会うたびに、お土産にくれたものだ。

航空宇宙工学を専攻している彼は、いつも実習で余った端材を使って、私のために手作りの小さな記念品を作ってくれていた。

小さな惑星だったり、ぽってりとした形の飛行機だったり。

「もし飛行機がもっと速くなって、俺たちの距離がたった一時間に縮まったら、毎日でも会いに行くよ」

けれどその優しい言葉は、いつしか苛立ちと投げやりな態度に変わっていった。

「お前に話したってどうせわからないだろ。この専門用語、英語でも読めないくせに」

「ひな、俺はもう疲れてるんだ。少し黙って、ひとりにさせてくれないか?」

やがて、二人のやり取りから日常の共有は消えていき、連絡の間隔だけが、どんどん長くなっていった。

時差も、忙しい学業もその原因となった。

一日が終わっても、一言も交わせない日さえあった。

それでも、あの頃の私は、少しも落ち込んだりしなかった。

残りの時間すべてを、必死に勉強に注ぎ込んだ。

蒼生を愛しているから。

彼の世界に、もう少しだけ近づきたかったから。

毎日、彼に会えるようになりたかったから。

その一心で、食事中も単語を覚え、お風呂でも英語のリスニング音声を流しっぱなしにして、昼夜を問わず勉強した。

でも今日になって、ようやくわかった。

今までの努力は、すべて笑い話みたいなものだったんだと。

私がまだ胸いっぱいに二人の未来を夢見ていた時、彼はとっくに、この恋の終着点にたどり着いていた。

そう、蒼生の言う通り、私は確かに鈍感だ。

恋愛においてすら、彼より半テンポ遅れていた。

涙が溢れるままに、蒼生がくれた思い出の品々を、すべてゴミ箱に投げ捨てた。

ゴミ袋の口をきゅっと結んだその瞬間、玄関のドアが開き、蒼生が入ってきた。

空港へ彼を迎えに行ったのは、昨日のこと。

それから丸一日が過ぎた今日の午後になって、彼はようやく帰ってきた。

姿を消していたこの間、どこへ行っていたのかについて、彼は一言の釈明もしなかった。

ただ、私の目尻に残る涙の跡を見るなり、彼はいつもの表情を浮かべた。

「またか」と言わんばかりの、うんざりした顔。

「……今度は何?」

彼は眉をひそめた。

私はしゃがみ込んだまま、にじむ涙越しに彼を見上げ、静かに口を開いた。

「あの子、誰?」

蒼生の眉間の皺が、さらに深くなる。

彼が口を開くより先に、心の奥底に押し込めていた問いを、意地になってぶつけた。

「空港で……あなたと一緒にいたあの女の子。

……いったい、誰なの?」

その言葉を聞いた瞬間、蒼生はハッとしてその場に立ち尽くした。

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