逆転人生第2話
この話は約1907字。当サイトで読める2話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第3話からは公式アプリで読めます。
前世、私は千雨と一緒に海沿いの豪邸で暮らすことになった。
彼女は毎日私のためにスープを作って気遣い、まるで心の中心に私を置いて大切にしているかのようだった。
私もすっかり運命が変わったと信じ込んでいた。
しかし、ある日、千雨が執事と話しているのを偶然聞いてしまい、全身の血が凍りついた。
あの地震の時、一枚の石板が二人の人間に覆い被さっていたらしい。
石板を動かして片方を救えば、もう片方は押しつぶされて死んでしまうという状況だった。
私は千雨の救助の叫び声しか聞こえず、反対側にもう一人少女がいることに気づかなかった。
千雨は救助されたが、彼女の唯一の娘は命を落とした。
それ以来、彼女は私を娘を殺した元凶だと思い込んでいた。
彼女は書斎で血の涙を流しながらこう叫んでいた。
「晴美は計画的な殺人犯だ!私の財産を奪うために、わざと娘を見殺しにしたんだ!蛇のような娘よ!」
「私の娘はまだ若く、未来はこれからだった。それをすべて奪った晴美が許せない!」
「私は娘のために復讐する。殺人犯には代償を払わせる。血で血を償わせ、一命をもって償わせる!」
その言葉を耳にした瞬間、私は恐怖で体が硬直した。
まさか、自分の助けた行為が殺意と受け取られるとは思いもしなかった。
彼女が私を養女に迎えたのは、単に私を身近に置いて苦しめるためだったのだ。
私を後継者に指名したのも、ただ高く持ち上げて落とすための罠だった。
さらに驚くべきことに、毎日彼女が作ってくれていたスープには薬が入っており、知らず知らずのうちに私の体を蝕んでいた。
タイミングが来れば、彼女は私の全てを奪い、私を地獄の底に突き落とし、世間から嘲笑と侮辱を浴びせるつもりだったのだ。
最後、彼女の手の者が工事現場で私を殺し、娘と同じ痛みを味わわせる計画まで立てていた。
真実を知った私は、すべてに絶望し、心底寒気を感じた。
しかし、逃げ出す前に妹に湖へ引きずり込まれ、そのまま命を落としてしまった。
妹は転生を「運命の償い」だと言ったが、私も同じように感じている。
今、私は健康な体を再び手に入れ、自分の未来を自由に選べる力も取り戻したのだから!
今、愛実は千雨の車に乗り込むと、振り返って私に誇らしげに笑ってみせた。
私は下を向き、視線を逸らす。
前世、千雨は私を家に閉じ込め、無理やり退学させた。
彼女はこう言った。
「晴美は蟹江家の唯一の後継者なのよ。未来の財産は全部あなたのものになるのだから、受験なんて必要ないでしょ?」
今思えば、これは私を他人と関わらせないようにし、私の翼を折り、完全に彼女の支配下に置くための策略だったのだ。
今の私ははっきりと理解している。
人生は誰かに依存するものではない。運命は自分の手で掴むべきだと。
愛実、蟹江家は檻のようなものだ。それを選んだのは自分だ、後悔しないことを祈る。
私は、もう一度自分の本来の道を進む。大学入試を通じて地に足のついた努力で未来を勝ち取り、人生を変えてみせる!
そして私は、前世の妹と同じように地震で一人の普通の男性を救った。
彼は大怪我を負い、そのまま病院に運ばれた。
数日後、果物を持ってお見舞いに行った。
彼は治療費で全財産を使い果たしたらしい。私を見ると、残りわずかな数万円を差し出し、目を赤くしながら言った。
「お嬢さんがいなければ、私は地震で死んでいました。このお金は少ないですが、怪我が治ったら、必ず恩返しします」
私は受け取らず、こう答えた。
「私はお礼のために人を助けたわけではありません」
その後、彼と雑談をしていると、私が市立の学生であり、あと一年で大学入試を迎えることを知った彼が驚き、こう提案してきた。
「うちの息子は昨年の大学受験生で、家にたくさんのノートを残しています。役に立つかもしれません」
半月後、彼は退院すると、大きな袋に詰まったノートをわざわざ學校まで届けてくれた。
その日の授業が終わった後、手持ち無沙汰でノートを一冊開いてみた。
ノートの持ち主の字は力強くも控えめで、どこか洗練された雰囲気が漂っていた。
その整然とした筆跡はまるで清流のようで、独特の魅力と風格を持って私の目に流れ込んできた。
私は息を呑み、そのぎっしりした文字に目を見張った。
ノートの持ち主は、異なる色のペンを使って要点を分かりやすくマークし、教師の解説だけでなく、自分なりの理解や考察も記していた。その深い思考に圧倒された。
あらゆる思考図や図表が見事で、思わず感嘆した。
急いで最初のページをめくると、そこには「赤星真鳥」の四文字が書かれていた。
まるで雷に打たれたように、私は衝撃を受けた。
あの真鳥!?
あの、かつて全国模試のトップ!?
理系総合満点だったあの赤星真鳥!?
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