逆転人生第1話
この話は約1663字。当サイトでは第1〜2話を試し読みできます。
地震が突然発生し、私と妹は同時に人命救助に向かった。
私は女性富豪を助け、その場で養女として迎え入れられ、巨額の資産を唯一相続することになった。
一方、妹は普通の人を助けただけで、数万円程度の感謝料を受け取っただけだった。
妹は運命の不公平さに憤り、私を巻き込んで無理心中を図った。
次に目を覚ますと、目の前には地震後の廃墟が広がっていた。
今回は妹が先を争って女性富豪を掘り出し、得意げにこう言った。
「今度は愛実が富豪の令嬢になる番だ!」
* * *
大震災が収まった後、私は妹と共に救援隊に加わった。
前世では、妹は無気力で元気なく瓦礫を掘り起こしていた。
だが、今回は違った。彼女は興奮しきりで、顔の筋肉が過度の興奮により歪んでいた。
私が邪魔にならないようにと、彼女は私を地面に突き飛ばし、石を私の足に投げつけた。
そして、女性富豪が埋もれている瓦礫の元へ直行し、興奮気味に石を掘り起こしながら口癖のように繰り返していた。
「今度は愛実が令嬢になるんだ!愛実こそが富豪の後継者よ!」
私は知っていた。彼女もまた生まれ変わっていたのだ。
私と妹は孤児院で育った孤児で、幼い頃からお互いを頼りに生きてきた。
私たちは、高校受験で人生を変えると誓い合った。
しかし、突如として地震が襲い、その計画は完全に狂わされた。
前世で女性富豪・蟹江千雨を救ったのは私だった。
千雨は目を覚ますなり、狂気じみた様子で私の手を掴み、放そうとしなかった。
周囲は彼女が感謝のあまりだと言った。
案の定、彼女はその場で私を命の恩人として養女に迎え入れると言い出した。
それだけではない。
しばらくして彼女は記者会見を開き、私が巨額の財産を唯一継承する人物だと公表した。
私は川沿いの豪邸に住むようになり、莫大な資産を手にした。
新聞はこぞって、「孤児院出身の少女が一躍注目の富豪令嬢に」と報じた。
一方、妹はどうだったか。
彼女が救ったのは普通の人で、相手から数万円程度の感謝料を受け取っただけだった。
その差に妹は憤り、納得がいかなかった。
「同じ人命救助をしているのに、どうして姉さんは全部手に入れて、愛実は何もないの?不公平だよ!」
そして彼女は私を湖に引きずり込み、目を赤くして私を水中に押さえつけ、私が溺れるまで手を緩めなかった。
生まれ変わった彼女は、これを運命の補償だと考え、女性富豪を救う機会を奪うことに執着していた。
彼女はこの機会が自分を飛躍させると狂信していた。
だが彼女は知らない。
これは「お金持ちを救って人生を逆転させる」物語ではない。
むしろ、現実版の「農夫と蛇」の物語だ。
これは、私が早く手放したいと願う悪夢だった。
私の苦しみと恐怖の始まりでもある。
私は止める暇もなく、妹は最後の石板をこじ開け、千雨を救い出した。
彼女は心配そうな表情を浮かべながらも、瞳の奥に希望を宿していた。
「あなたを助けたのは愛実です。愛実はあなたの命の恩人です!」
彼女は涙ぐみながら、親を亡くし、孤独で頼る人がいないと訴え、千雨の同情を誘おうとした。
その思惑通り、千雨は前世と同じ台詞を口にした。
「私と一緒に来ない?娘になってくれる?」
妹の心は歓喜で満ち溢れ、彼女は涙を浮かべながら力強く頷いた。
「はい!ずっと母親が欲しいと思っていました。これからは家族ができるんですね!」
彼女は千雨の胸に飛び込み、気付かなかった。千雨の瞳には温情はなく、冷たい憎悪しか映っていなかったことに。
立ち去る前に、妹は私のそばに来て、得意げな笑みを浮かべた。
「前世で姉さんが得た幸運は、今世で愛実のものになるのよ」
「これからは梅沢愛実なんて存在しない。愛実は蟹江家の令嬢、蟹江愛実よ」
「愛実は財産を継承し、上流社会の成金二世になるけど、姉さんは相変わらず哀れな孤児のままね」
「道端で見かけても、姉さんみたいな貧乏人に目もくれないわ。本当、哀れな人間よね」
彼女の瞳は未来への渇望に満ち、私への軽蔑を隠そうともしなかった。
そうだ。
蟹江家の財産は、一人で何世代にもわたって贅沢に使い尽くせるほどのものだ。
だが、その人物が愛実であることはない。
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)