転校生ライフと幼馴染の秘密第3話
この話は約1390字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
翌日、私は新しい転学願を持って、学校へハンコをもらいに行った。
私がここから離れることを示す真っ赤なハンコが転学願にはっきりと押されるのを見て、ふと胸にぽっかり穴が空いたような気持ちになった。
しばらくぼうっとしていると、目の前に人が立ちはだかった。
克哉が、少し眉をひそめて言った。
「茜、君の家のオートロックの暗証番号、変えた?
昨日、美羽を送った後、すぐ君の家に行ったんだけど、ドアが全然開かなくて……」
私は彼が言い終わる前に、きっぱりと言った。「ええ、変えたわ」
克哉は少し不機嫌そうだったけど、何事もなかったかのように馴れ馴れしく聞いてきた。「新しい暗証番号、教えてよ。色々とお世話しやすいようにね」
私は冷静に答えた。「もういいの。転校したら、ここにはもう住まないから」
克哉は私が持っていた折りたたんだ転学願を見て、急に思い出したように言った。「ああ、そっか、忘れてた。
茜、心配しないで。俺も明日、転校の手続きをするから」
こんなふうに克哉と並んで歩きながら話すなんて、美羽がK市第一高校に転校してきてからは、ほとんどなくなっていた。
私はそっと目を閉じ、心のどこかに残っていた未練に身を任せて、探るように言ってみた。
「私たちの間柄で、そんなこと、気にするも何もないでしょ」
克哉はしばらく黙り込んでいたが、不意に口を開いた。「茜、実は俺……」
その時、克哉の背後から美羽がひょっこり現れた。彼女はノートの束を抱えながら、甘えた声で不満を言った。
「克哉、分からないところを教えてくれるって約束だったのに、どうして急にいなくなっちゃったの?」
そう言って、美羽は克哉にノートを差し出した。
「あなたが作ってくれた勉強の計画、もう2ヶ月先まで予定が入ってるのを見たから、それに合わせて資料も準備したんだよ」
彼女はいたずらっぽくウインクしながら言った。「勝手に見ちゃったけど、怒らないよね?」
「そんなわけないだろ……」克哉の笑顔はどこかぎこちなかった。彼はバツが悪そうに、ちらりと私を見た。
私が何の反応も示さないでいると、克哉はがっかりしたような表情になった。
私を突き放しておきながら、あなたはもう、別の女と未来の計画を立てていたのね。
あなたが描く未来に、初めから私の居場所なんてなかったんだ。
なんとか平静を装っていたけど、胸の奥では、どうしようもなく苦い思いがじわじわと広がっていった。
私は自分の手のひらをぎゅっとつねって、無理やりち着かせながら言った。「じゃあ、お先に」
美羽は、今やっと私に気づいたかのような演技をして、ひどく驚いたふりをした。「あ、茜さん……
もしかして、私が克哉と勉強してるから、怒ってるの?
でも、私の家、裕福じゃないから。あなたみたいに恵まれてないし……」
言いながら、彼女はまた、しくしくと泣き始めた。
美羽の芝居に付き合う気はなかった。私は冷たく言い放った。「どいて」
克哉の目にわずかに浮かんでいた罪悪感は消え失せた。彼は私の腕を掴み、怒りを滲ませた声で言った。
「茜、なんだこの言い方は!」
克哉は有無を言わさず私を美羽の前に引きずり出し、怒鳴った。「美羽に謝れ!」
心の中に残っていた最後の拠り所が、音を立てて崩れていった。
今度こそ、私はためらわなかった。腕を振り上げ、力いっぱい克哉の頬を引っぱたいた。
「克哉、本当に謝るべきなのは、あなたの方でしょ。
美羽さんにじゃない。私に」
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