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転校生ライフと幼馴染の秘密第2話

この話は約1972字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

もともと、親友に裏切られただけなら、ここまで傷つかなかった。

でも、親友っていう一線を先に越えてきたのは、克哉のほうだった。

克哉と一緒に転校することを決めた日、彼は私をカラオケに誘って、自由になれたお祝いをしたんだ。

薄暗い照明が私たちを包み込む中、ずっと好きだった男を見つめていると、なんだか夢見心地だった。

だから、彼が顔を近づけてキスをしてきた時、私は拒まなかった。

長い間抑え込んできた想いが、一瞬にして溢れ出した。

気持ちが抑えきれなくなって、私は思わず確かめてしまった。「克哉、私たちって、今、どういう関係なの?」

克哉は、愛おしそうにもう一度私のおでこにキスをした。「バカだな、決まってるだろ?」

彼の温かい息遣いに、胸が高鳴った。

まさか、たった2日後に、私の片想いが打ち砕かれることになるなんて。

笑っているのに、涙が勝手にこぼれてきた。

じゃあ、あの曖昧な問い返しも、美羽のために早く私を追い出す口実だったってこと?

……

部屋の風鈴がちりん、と音を立てる。そのかすかな風が、少しずつ私の涙を乾かしていった。

粉々になった心も、ゆっくりと形を取り戻していく。

克哉は、勘違いしている。

彼は清水家の隠し子に過ぎない。そして、私は藤堂家の一人娘なのだ。確かに、私たちは一緒にいるべきではなかった。

だって、釣り合わないのだ。

手の中の転学願は涙で濡れて、インクが滲んで汚くなってしまった。

でも、大丈夫。この紙が汚れたなら、綺麗なものに取り換えればいいんだ。

代わりなんていくらでもある。

転学願を印刷し直した。転校先の欄を埋める時、私は母に電話をかけた。

「お母さん、前に私に海外の高校に行ってほしいって言ってたでしょ?どこの高校のこと?

うん。一人で行くわ」

部屋の風鈴が、私を祝うみたいに、澄んだ綺麗な音を立てた。

私はそっと目を閉じた。今度は、目の前に克哉の顔は浮かんでこなかった。

克哉と少し似ているけど、ずっとハンサムで目を引く男性が、私に微笑みかけてきた。2年前と同じ、自信に満ちた真剣な眼差しで。

「茜、君はいつか俺を選ぶことになる」

あの時は、冗談だと思ってた。

でも今、私は心の中でつぶやく。

克哉、もうあなたのことは、いらない。

改めて転学願を書き終えて、私は大きく息を吐いた。心はいつの間にか、すっかり落ち着いていた。

その時、突然、ドアがノックされた。

私はきょとんとした顔になった。この家にはずっと一人で住んでいる。オートロックの暗証番号を知っているのは……

ドアを開けると、案の定、そこにいたのは克哉だった。

彼はいつもの優しい口調で言った。「茜、みんなに挨拶もしないで帰ったから、心配したよ」

私はできるだけ平静を装って答えた。「ちょっと胃が痛むから、もう戻らないわ」

早く帰ってもらおうと思った時、視界の端に思いがけない人影が映った。

克哉の隣に、美羽が縮こまっていた。目が合った瞬間、彼女はびくっと肩をすくめた。

美羽のちょっとした動きも見逃さない克哉は、すぐに彼女を抱き寄せて庇った。

「茜、美羽が怖がってるだろ」

またか?美羽はいつも、私が彼女をいじめるみたいに怯えてみせる。まるで私がとんでもない悪い人みたいに。

こっちは何もしてないのに。

私の顔は冷たくなった。「言ったはずよ。関係ない人を家に入れないでって」

克哉は少し眉をひそめ、不機嫌そうに言った。「美羽は関係ない人じゃない。

それに、君のことを心配してついて来てくれたんだ」

私が言い返す前に、美羽が突然、目を赤くした。

「茜さん、ごめん。あなたが私のこと嫌いなのは知ってるけど、でも、私、毎日お風呂に入ってるよ」

彼女は泣きそうな顔で付け加えた。「あなたの家を汚したりしないから……」

その言葉を聞いた克哉はすぐに顔をしかめ、不快そうに私を見た。「茜、美羽は家が貧しいだけだ。君が思うほど汚い人間じゃない。

彼女に対するその態度は、本当にがっかりだよ」

美羽は、おずおずと克哉の服の裾を引っ張った。そして、いかにも寛大で物分かりがいいというように言った。

「克哉、私は大丈夫だから。茜さんと喧嘩しないで……」

彼女は鼻をすすりながら、悔しそうな、でも健気な笑顔を見せた。

「それに、茜さんはあなたの幼馴染だって言ってたもの。そんな関係に、私が敵うわけないよ……」

「バカなこと言うなよ。俺にとって、君は唯一無二の存在だ」

克哉は愛おしそうに美羽の顔を両手で包み込み、優しい声で囁いた。

それから私に視線を戻すと、凍りついたように冷たい顔で、口を開いた。「美羽の様子がおかしいから、先に連れて帰る。

自分の言動をよく反省しろよ。それから、転学願にハンコをもらうのを忘れるな」

私は確かに、自分の人を見る目のなさを、よく反省した。

そして、そのまま家のオートロックの暗証番号を変えた。

心に溜まっていたモヤモヤが、ようやく少しだけ晴れた気がした。

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