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記憶を失った日、私は真の愛を間違えた第2話

この話は約1724字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「今夜、仲間内の集まりがあるんだけど、一緒に行かない?」

仲間って……

頭の中に真っ先に浮かんだのは、優斗の顔だった。

「いいよ」

私は即答した。

俊輔に連れられて個室に入ると、さまざまな酒の匂いが混ざり合い、部屋の中はざわついている。

優斗はソファーの中央に座っていて、その隣には、私にも見覚えのある女性がいた。

彼の初恋で、ずっと想い続けてきた相手、久野佳奈(くの かな)だ。

ちょうどその時、二人は周りの歓声の中で、激しくキスしていた。

私が入ってきたのを見て、二人は名残惜しそうにゆっくりと離れる。

だが、佳奈の目の奥に、はっきりとした挑発の色が浮かんだ。

「よく来たね」

優斗は佳奈の肩にもたれかかりながら、私に向かってにっこりと笑う。

「紹介するよ。久野佳奈、俺の彼女だ」

そう言って、彼は佳奈の頬に軽くキスを落とし、甘く照れたように微笑んだ。

「はじめまして、久野佳奈です」

佳奈は自ら手を差し出し、柔らかく微笑んだ。

さっき一瞬見えたあの挑発の色は、ただ気のせいだったのだろうか。

「はじめまして」

私はいつも通り礼儀正しく応じ、まるで彼女と初対面であるかのような表情を崩さなかった。

――目の前にいるこの人は、何度も見たことがあるのに。

優斗のスマホの中にも、日記の中にも、そして酔った勢いでこぼした告白の言葉の中にも、そこには、いつも佳奈の存在があった。

私は俊輔と並んで、部屋の隅の席に腰を下ろした。

周りの人たちは何も言わなかった。

ただ、面白がるような視線だけが、私たち四人の間を行き来している。

以前、このグループの中で、私はいつもからかわれる側だった。

だが、今日、俊輔の隣にいるためか、誰一人として私をからかおうとはしなかった。

私は思わず俊輔のほうへ視線を向ける。

その瞬間、彼もまた、柔らかな目で私を見つめていた。

視線が絡み合っているのを見て、佳奈の胸元に甘えるように寄りかかっていた優斗の表情がふっと曇った。

彼は疑うような目で俊輔を見やり、不機嫌そうに口を開いた。

「仲いいね。なあ、梨華、ここには友達がこんなにいるのに、全然見えてないんじゃない?お前、目に入ってるのは婚約者だけって感じだな」

その言葉には、あからさまな嫉妬が滲んでいた。まるで裏切られたかのような不快感さえ漂っていた。

だが、私を俊輔に押しつけたのは、他でもない彼自身なのに。

私はその様子が可笑しくて、思わず小さく笑ってしまう。

「もちろんよ」

気づけば、そう答えてしまった。

「私たち、もう婚約してるんだから、仲がいいのは当然でしょ」

そう言った瞬間、誰も口を開こうとしなかった。

空気が一気に凍りついたようになる。

「はいはい、そのへんでやめようぜ。何かゲームでもやろうか」

誰かが場を取りなすように声を上げ、重苦しい沈黙を打ち破った。

優斗は俊輔をちらりと見てから、佳奈の手を引いて座り直す。

「王様ゲームにしよう」

先ほどの人物がそう提案した。

「王様を引いた人が数字を二つ指定して、その二人が命令を実行するってことで。拒否はなしな」

その一言で、場の空気は一気に色めき立った。

一巡目が終わると、罰ゲームに当たったのは、よりにもよって、優斗とその彼女だった。

王様の命令に従い、二人は皆の前で、二分間も濃厚なキスをさせられた。

そして、その様子はそのまま動画に撮られ、SNSに投稿された。

キスを交わしながらも、佳奈は私の反応をちらちらと窺っていた。

私の表情にまったく動揺がないのを確認すると、ようやく安心したのか、そのままキスに意識を戻した。

終わると、優斗はどこか後ろめたそうに私を見る。

しかし、私が何事もなかったかのようにドリンクを口にしているのを見て、ほっとしたように息をついた。

二巡目。今度当たったのは、私と優斗だった。

王様の命令は、優斗が私をお姫様抱っこして、スクワットを五回すること。

周りの人たちは意味ありげな笑みを浮かべている。

それを見て、私も思わず口元を緩めた。

優斗は、不機嫌そうな表情を浮かべる佳奈をちらりと一瞥すると、苛立った様子で前に出てくる。

まるで、相手が私であることが気に入らないかのように。

「ちょっと、代わってもらっていい?俺、もう彼女いるし」

私は不満げな彼を見上げ、思わず吹き出した。

「いいよ」

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