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親友を慰めた私を、親友と恋人が同時に裏切った第3話

この話は約1479字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

次の瞬間、頬に鋭い痛みが走った。

耳の奥でキーンと音が鳴り、口の端には血の味が広がった。

そこでようやく、京也に頬を打たれたのだと分かった。

私は呆然と京也を見つめた。

京也は、こぼれたお粥で赤くなった夕愛の手をそっと取り、火傷の具合を確かめていた。

けれど、私を見た途端、その目からさっきまでの優しさが消えた。

「清花、お前、夕愛がこれ作るのにどれだけ頑張ったか分かってるのか?

普段料理なんてしないのに、お前のために指まで切ったんだぞ。

お前、いつからそんな嫌な女になったんだよ」

涙が次々とこぼれた。それなのに、なぜか笑いまで漏れた。

どれだけ大変かは、嫌というほど知っていた。

毎日の3食も家事も、ずっと私がやってきたからだ。

それでも京也は、そんな私を気遣ったことなんて一度もなかった。

それなのに、夕愛がたった一度お粥を作っただけで、京也は私に手を上げた。

私は震える指を2人に突きつけた。

「そりゃ大変だったでしょうね。人の彼氏と寝ておいて、よく私の前でそんな顔していられるよね!」

京也が何か言い返そうと口を開いたが、夕愛がそれを遮るように怒鳴った。

さっきまでの弱々しい様子は、もうどこにもなかった。

「あの時あんたを助けてから、ずっと体調を崩しやすくなって、子どもまで産めなくなったの!

そのせいで、今まで何度男に捨てられたと思ってるの!

全部あんたのせいなんだから、これくらい認めてくれたっていいでしょ!どれだけ恨まれたって、私は京也と別れないから!」

夕愛が泣き崩れると、京也は痛ましそうに抱き寄せ、そのままかばうように肩を抱いて病室を出ていこうとした。

ドアを開ける前に、京也は私に向かって吐き捨てた。

「親友をここまで追い詰めるなんて……清花、お前、ほんと変わったよ。

こんなことになるくらいなら、最初からお前と出会わなきゃよかった」

2人が病室を出ていくと、私はベッドに崩れ落ち、そのまま布団を頭までかぶって、声を押し殺して泣いた。

左手の薬指には、京也にもらった指輪がまだはまっていた。

会社がようやく軌道に乗り始めた頃、京也が何年も貯めたお金で買ってくれた指輪だった。

あの頃は、小さな会社を大きくしようと、2人でがむしゃらに働いていた。

苦しいことばかりだったけれど、それでも2人で何とか乗り越えてきた。

あの頃の京也は、無理ばかりする私をいつも心配して、何かと気遣ってくれていた。

生理が来る時期も、私より京也のほうがよく覚えていた。

生理痛がひどい日は、どんなに大事な会議があっても予定を空け、そばにいてくれた。

夜通し、冷めるたびにタオルを温め直して、お腹に当ててくれたこともあった。

指輪の内側には、今も2人のイニシャルが刻まれていた。

ずっと一緒にいるという、2人の誓いの証だった。

それが今では、ひどく皮肉に思えた。

翌日、まだ体はつらかったが、私は無理をして退院の手続きを済ませた。

ロビーまで来たところで、夕愛と鉢合わせた。

私に気づいた夕愛は、そのままこちらへ歩いてきた。

「清花、昨日は言いすぎた。ごめんね。

でも、京也はもう清花のこと好きじゃないの。だから……もう京也のことは諦めてくれない?

別れてくれるなら、その代わり、欲しいものは何でもあげるから」

私は奥歯を噛みしめたまま、乾いた笑いを漏らした。

「何でもくれるって?人に養ってもらってるだけのあなたに、何ができるっていうの?」

すると夕愛は何も言わず、何枚かの書類を取り出して私に突きつけた。

「会社の株、清花が持ってた分は全部、京也が私の名義に変えてくれたの。

清花名義だった不動産も、今は全部私のもの。

清花、もう何も残ってないよ」

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