親友を慰めた私を、親友と恋人が同時に裏切った第1話
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私の名前は夏川清花(なつかわ きよか)。
親友の高坂夕愛(こうさか ゆあ)は、それまでに19人の男と付き合っていたが、なぜか相手は毎回ろくでもない男ばかりだった。
そのせいで心に深い傷を負い、一度は自ら命を絶とうとしたことさえあった。
相手を見極めるため、私は夕愛のお見合いにも付き添った。
そのため、恋人の伊藤京也(いとう きょうや)との旅行までキャンセルした。
それを知った京也は、眉をひそめた。
「お前、夕愛に構いすぎだろ。家にまで連れてきて、見合いにまで付き合って……そこまで面倒見る必要あるか?
あいつ、すぐ人にべったりするし、プライベートなことまで何でも話すだろ。あんな調子じゃ、誰だって付き合いきれないだろ」
私は珍しく、京也に腹を立てた。
「夕愛は私の幼馴染みなの。それに、私たちの結婚式でブライズメイドをするのも前から楽しみにしてるんだし。旅行ならまた今度行けばいいでしょ。
夕愛は今もまだ病気なのよ。私がそばについていてあげなきゃ」
そんなある日、妊婦健診を終えて病院から帰った私は、京也を驚かせようとドアを開けた。
すると、裸のまま同じベッドに横たわる2人の姿が目に飛び込んできた。
* * *
京也は隠す気などまるでなく、煙草を吸いながら淡々と言った。
「夕愛の面倒まで俺に見させたのは、お前だろ。
あれだけ夕愛のこと気にかけてたんだから、俺が手を出したくらいじゃ気にしないと思ってたけどな」
私はただその場に立ち尽くし、何も言えなかった。
夕愛がおずおずと口を開いた。
「清花、今までずっと、私の彼氏探しを手伝ってくれてたよね?
だったら、京也のことも私に譲ってくれない?」
誰よりも信じていた2人に、まさかそろって裏切られるなんて思ってもいなかった。
京也を驚かせようと大事に持ち帰った健診結果の紙が、いつの間にか手の中でくしゃくしゃになっていた。
床には脱ぎ捨てられた下着が散らばり、ベッドの上では2人が裸のまま寄り添っていた。
2人の頬には、まだ火照りが残っていた。
しばらく、部屋は重い沈黙に包まれた。
私は力なく目を閉じた。
長年付き合ってきた恋人と、子どもの頃から何でも話してきた親友が、よりによって私の家でこんなことをしていた。
そう思うだけで吐き気がこみ上げ、胸の奥がすっと冷えていった。
目の奥が熱くなり、私は涙をこらえるように唇を強く噛みしめた。
それでもなんとか声を絞り出した。
「……いつからなの?」
京也は夕愛にそっと布団をかけると、こちらを振り向き、平然と言った。
「俺から誘ったんだ。夕愛は悪くない。こういうことには疎いんだから、責めるなら俺を責めろ」
そこまで言い切ると、京也はすっかり開き直ったように平然としていた。
夕愛は恥ずかしそうに京也の胸を軽く叩いた。
「もう、京也。そんなことまで言わなくていいでしょ!」
そんなやり取りをあまりにも自然に交わす2人を見て、全身が震え、鼻の奥がつんと痛んだ。
3か月前までは、夕愛はべたべたしてくるし子どもっぽいと、あれほど嫌そうに愚痴をこぼしていたのに。
それがたった3か月で、何年も連れ添った夫婦のように寄り添っていた。
京也は夕愛の頭を優しく撫で、甘やかすような口調で言った。
「何を今さら照れてるんだよ。もう初めてでもないだろ。
3週間くらい前だったかな。お前が出張でいなかった時、俺たち、つい我慢できなくなってさ。
そのまま、流れで一線越えたんだよ」
まるで世間話でもしているような軽い口調だった。
「夕愛って、確かにべたべたしてくるけど、実際抱いてみたら、ああいうところも可愛くてさ。
こういうことにも全然慣れてないし、何から何まで俺が教えてやらないと駄目なんだ」
とうとうこらえきれず、涙が頬を伝った。
それでも私は無理に笑ってみせたが、胸の奥がじわじわと痛んだ。
京也の言葉を聞いていた夕愛は、ようやく覚悟を決めたように顔を上げた。
その目には、私が譲るのが当然だとでも言いたげな、頑なな色が浮かんでいた。
「清花、私ね、本当に京也が好きなの。
前に言ってたよね?私が欲しいものなら、何でも譲ってくれるって」
子どもの頃から見慣れた夕愛の顔を、私は黙って見つめた。
こんな身勝手で残酷な言葉が、夕愛の口から出てくるなんて信じたくなかった。
傷ひとつ負っていないはずなのに、胸の奥が痛くてたまらなかった。
「だからって、私に黙って京也と付き合ってたの!?」
思わず声を荒らげると、夕愛の顔がさっと青ざめた。
京也はすぐに夕愛の前へ出て、私との間に立った。
そして、苛立った目で私を見た。
「大声出すなよ。夕愛が体弱いのは知ってるだろ。これ以上責めるな」
私の恋人のはずなのに、京也の目にはもう夕愛しか映っていなかった。
しかも、迷うことなく私ではなく夕愛の側に立っていた。
胸の奥がぽっかり空いたようで、どうしようもなく虚しかった。
涙で視界が滲む中、私は無理やり笑ってみせた。
「もういい!
2人で勝手に幸せになれば!」
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