和紙文自分を蝕む絆を、手放す · 第3話設定≡

自分を蝕む絆を、手放す第3話

この話は約1506字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

一日が終わり、凛子は名残惜しそうに和真の手を離した。

彼女は突然土下座し、涙を流しながら訴えた。

「菜月さん、私は本当に和真さんのことが好きなのです。あなたの代わりに死んでもいいくらいなのです。

今、たった一つの願いがあります。彼と結婚式を挙げさせてください。お願い、どうか叶えてください」

本来なら和真は彼女を止めるべきなのに、黙ったままだった。

いつも私を守ってくれる母までも、大らかな態度で私に承諾するよう催促した。

「凛子は腎臓を提供するために命がけなのよ。菜月も分かってくれるわね」

私は和真を見つめ、失望さえも麻痺してしまい、無表情に「いいよ」と一言吐き出した。

結婚式の準備はあっという間に進んだ。本来なら慌ただしいはずなのに、まるで前から全て手配されていたかのように整っていた。

化粧室で、凛子は白いウェディングドレスを着て、鏡の前で何度かくるりと回った。

母が彼女を見る目にも、私には理解できない何かが一瞬よぎった。

化粧室の人が全員去った後、彼女は期待に胸を膨らませ、まるでさえずる小鳥のように私の周りをぐるぐる回った。

突然、ドアが蹴り開けられ、酔っ払った男たちが数人入ってきた。

「おいおい、和真の野郎、結婚するのに俺たちを呼ばねえのかよ?」

凛子は私の前に立ちはだかり、強がるような顔で私を慰めた。

「菜月さん、私が相手するから、隙を見て逃げて」

私は彼女の手を握り、その瞳から偽りを見抜こうとした。

「彼らは和真の仇なのよ。あなた、彼らがどんな手を使うか知ってるわけ?」

彼女は死を覚悟したような表情で言った。

「知ってる。私は言ったわ、あなたの代わりに死んでもいいって」

突然、先頭の男が凛子のベールを引っ張り、彼女を地面にたたきつけた。

「今日は和真の女を味わってやるぜ!」

私が彼の言葉を遮った。

「彼女を放せ。用があるなら私にかかって来なさい。私こそが和真の妻、菜月なのよ」

男たちは互いに顔を見合わせて笑った。

「和真のやつ、趣味が悪いな。車椅子の女まで手を出すとは」

彼らの猥褻の視線が私と凛子の顔をなぞった。

「和真はやっぱり遊び人だな。いい趣味してるぜ」

「おい、手伝えよ。車椅子の女も引っ張って来い」

そう言って男たちが私に近づいて来た。

凛子は隙を見て、男の耳に噛みつき、身を振り解いた。

小柄な体からは想像もつかないスピードで、酔っ払いたちの間をすり抜け、私を非常通路へと押し込んだ。

凛子の行動に男たちは激昂し、私を捕まえようとしたその時……

非常通路の扉は閉ざされ、凛子は扉の鍵を一口で飲み込んだ。

そのせいで口角から鮮血が流れ落ちているにもかかわらず、凛子の表情は依然として穏やかだった。

「私にかかって来なさい!」

男たちは私を捕まえられず、怒りを凛子にぶつけた。顔を殴られ、彼女の頬は無残に腫れ上がった。

扉越しに、私は彼女が乱暴されるのを見た。美しいウェディングドレスは見る影もなく汚れ、赤い血痕が点々と染み付いている。

それどころか、彼女の爪を剥ぎ取り、火のついた煙草を顔に押し付けようとする者までいた。

私は震えながらスマホを取り出し和真に電話をかけたが、通路の電波が悪く、一向に繋がらなかった。

凛子は地面にうずくまりながら、口ぶりで「怖くない」と私を慰め続けていた。

酔っ払いが椅子を持ち上げ、叩きつけようとした瞬間、和真が部下を連れて駆けつけた。

「早く……菜月さんを……」

凛子は気を失う直前、非常通路の扉を指さした。

憤怒した和真は扉を蹴り破り、私が無事にそこに座っているのを見た。

彼の瞳に宿る怒りが、私の心に突き刺さった。

私が言い訳する間もなく、彼は私に蹴りを浴びせ、私は車椅子ごと階段に転げ落ちた。

「なぜ彼女を陥れた?」

縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)

第4話は公式アプリで

当サイトでの試し読みはここまでです。アプリをインストールし、下のアプリ用コードを入力すると、この作品の第4話からそのまま読み進められます。

R48927
  1. 下のボタンから公式アプリをインストールします(無料)。
  2. アプリを開き、「コードを入力」にこのコードを入れると、この作品が本棚に入ります。
iPhone・iPad
で入手
Android
で入手

アプリで第4話を読む

作品ページへ戻る 当サイトに掲載しているのは試し読みの章だけです。