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股切断された私、正気を失った夫第2話

この話は約1746字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

気力を振り絞ってスマホで助けを呼ぼうとしたが、スマホはすでに壊れている。

夜が訪れ、部下たちも次々と立ち去っていった。

下半身からじわじわと血が流れ出し、恐怖に襲われた私は、そっとお腹に手を当てた。

「助けて……誰か!

誰かいませんか!」

必死に叫び続けたが、通りには誰一人いない。

恐怖の涙と雨が混ざり合い、絶望が胸を満たしていく。

明け方にかけて気温は急激に下がり、両脚の感覚はすでになくなっている。下腹部は断続的に痛み、私は冷たい地面に横たわったまま、通りすがりの誰かの助けを待つしかない。

やがて、遠くから一つの影が近づいてきた。それは家の執事である誠(まこと)だ。

「奥様、ここにいらっしゃってよかった。探し回らずに済みました」

私は焦るように問いかけた。

「恒一が、私を病院へ連れて行くように言ったの?」

これまでの情を少しでも思い出してくれたのだと、失望しきっているはずなのに、どこかでわずかな期待を抱いてしまった。

だが誠は困ったような顔をした。

「いえ、違います。社長は、奥様が逃げ出していないか確認しろと。

それと、夏目さんがまだ怒っておられるので、憂さ晴らしに来いとも……」

そう言うと、誠は恒一にビデオ通話をかけ、カメラを私に向けた。そして家に連れ帰ってよいか尋ねた。

すると、恒一の苛立った声が響いた。

「そいつは子どもを盾に同情を引こうとしてるだけだ。少し痛い目を見せないと懲りない。放っておけ!」

続いて、凛音の涙声が聞こえてきた。

「恒一、もう安井さんに怒らないで……私が馬鹿で、初めての運転で人を轢いて怖くなって逃げちゃっただけなの……安井さんが助けてくれないのも無理はないわ……

安井さんが私を刑務所に入れるって言うならそれでもいい。でも私、もう恒一の子を身ごもってるの。安井さんはずっと授からなかったでしょ?この子が生まれたら、安井さんに育ててもらうわ。私、江崎家の奥様の座を奪うつもりなんてないから」

それを聞いた恒一は彼女を抱き寄せ、優しく言った。

「凛音、安心しろ。最高の弁護士をつける。絶対に刑務所には行かせない……」

その言葉に、私の心は震えた。

「恒一、私だって妊娠してるのよ!血、見えないの?今すぐ手当てしなければ、この子は助からない!」

体の痛みと心の痛み、どちらが強いのかもう分からない。ただ病院へ行きたい。

「お願い……これはあなたの子でもあるのよ。後でどう扱ってもいいから、今は病院へ……」

恒一は一瞬ためらいの表情を見せた。

だが隣の凛音が含みのある口調で言った。

「恒一、安井さんの言うことなんて信じないで。ずっと子どもができなかったのに、急に妊娠なんておかしいでしょ?きっと嘘よ」

その言葉に、恒一の顔は怒りに染まった。

「いい加減にしろ、絵夢!こんな時まで俺を騙すのか。凛音に先を越されたのがそんなに悔しいのか?」

脅すつもりはないが、彼はもう何も聞こうとしない。

「来週お父さんが帰ってくるのを忘れないで。あなたが私にこんな仕打ちをしていると知ったら、自分の立場がどうなるか分かってるの?」

「嘘つきが、また親父を持ち出して脅すのか。どんな手を使おうと、もう君の言葉は信じない!」

今夜、彼からこれほど傷つく言葉を浴びせられ、もう何も感じないと思っていた。

だが悲しみは波のように押し寄せ、私は涙をこらえようと必死に顔を上げた。

すると再び、卑しくすがるように頼んだ。

「今はただ病院へ行きたいの。脚が本当に痛いの……お願い、連れて行って……」

私はドレスをめくり、骨が突き出た脚を見せようとした。

だが彼は苛立たしげに遮った。

「運転手は俺が手配したんだ。大した怪我になるはずがない。まだ分別をわきまえてないようだな」

言い終わる前に、通話は切られた。

誠は不機嫌そうに私を見下ろした。

「まったく厄介な女だ。こんな夜中に余計な手間をかけさせて、しかも社長の父親を盾にするとは。

今さら誰があなたを助けるっていうんだ」

そう言うと、誠は遠慮なく私の両脚を踏みつけた。骨が再び折れるかすかな音がした。

抵抗する力もなく、私は地面に押さえつけられ、平手打ちを浴びせられ、唾まで吐きかけられた。

やがて誠は疲れたのか、最後に一蹴りして立ち去っていった。

私は完全に力尽き、そのまま地面に横たわり、ゆっくりと意識を失っていった。

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