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義母の死で発覚した夫の隠し家庭第1話

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たった一人で義母の高森桂子(たかもり けいこ)の介護に明け暮れた七年間だった。

お義母さんが息を引き取ってようやく、私は久しぶりに夫の高森瑛人(たかもり えいと)と顔を合わせた。

葬儀を終え、自分と娘の高森心音(たかもり ここね)の荷物をまとめ、瑛人と一緒に都心へ移り住む準備をしていた時のことだ。

思いがけず一人の女が私の前に現れ、一枚の婚姻届の受理証明書の写しと、数枚のウェディングフォトを投げつけた。

女は傲慢な態度で言い放った。

「私は紅林千夜(くればやし ちよ)。瑛人の正妻よ。お義母さんが死んで、あなたの役目はもう終わったの。二度と私の夫に連絡しないで」

私は呆然と立ち尽くし、全身の震えが止まらなかった。

祭壇に飾られたお義母さんの遺影の笑顔が、私の愚かさを嘲笑っているように見える。

* * *

たった一人で義母の高森桂子(たかもり けいこ)の介護に明け暮れた七年間だった。

お義母さんが息を引き取ってようやく、私、夏目晴音(なつめ はるね)は久しぶりに夫の高森瑛人(たかもり えいと)と顔を合わせた。

葬儀を終え、自分と娘の高森心音(たかもり ここね)の荷物をまとめ、瑛人と一緒に都心へ移り住む準備をしていた時のことだ。

思いがけず一人の女が私の前に現れ、一枚の婚姻届の受理証明書の写しと、数枚のウェディングフォトを投げつけた。

女は傲慢な態度で言い放った。

「私は紅林千夜(くればやし ちよ)。瑛人の正妻よ。お義母さんが死んで、あなたの役目はもう終わったの。二度と私の夫に連絡しないで」

私は呆然と立ち尽くし、全身の震えが止まらなかった。

祭壇に飾られたお義母さんの遺影の笑顔が、私の愚かさを嘲笑っているように見える。

……

床に散らばったウェディングフォトの光景が、私の胸を鋭くえぐった。

震える両手でウェディングフォトを拾い上げると、そこには瑛人と千夜が穏やかに、幸せそうに微笑む姿が写っていた。

荒れた指先で婚姻届の受理証明書の写しをなぞると、そこに押された無機質な役所の公印が、残酷な現実として突きつけられていた。

私はふとあることを思い出し、戸棚へ駆け寄って、大切に保管していた自分と瑛人の「婚姻届の控え」を取り出した。

そこには役所の公印はなく、代わりに子供騙しのような、いびつな赤いスタンプが押されているだけだった。

私はこれまで何度も、この紙切れを撫でてきた。

田舎に残り、認知症で寝たきりの義母に明けても暮れても振り回されていた私にとって、それはたった一つの心の支えだった。

そして、決して折れることなく娘を産み、たった一人で育てる勇気の源でもあった。

しかし今、目の前の女は、これらすべてが偽物だと告げている。

私は口を開き、反論しようとした。

だが喉の奥が詰まったようになり、途切れ途切れに声を絞り出す。

「でも瑛人は私と結婚したはず……私たちには心音もいるのに。瑛人が私を騙すなんて……」

千夜は書類とウェディングフォトを取り返し、顔色ひとつ変えなかった。

「瑛人が本当のことを言うわけないでしょ。真実を知ったら、あなたが寝たきりの母親なんて放り出すに決まってるもの。

よく見なさい。私と瑛人は五年前に結婚しているの。息子だって、もう三歳よ」

私は全身の血の気が引き、凍りつくような絶望に突き落とされた。

かつて、大学卒業後に結婚しようと、瑛人と約束していた。

しかし卒業の年、お義母さんが突然脳卒中で倒れ、同時に瑛人は大手企業への就職が決まった。

寝たきりの母と輝かしい将来を前に葛藤する瑛人は、私の手を強く握りしめ、自分が都会で懸命に稼ぐから、田舎に残って母の世話をしてほしいと懇願したのだ。

「晴音、こんなことを頼むのは本当に申し訳ないと思ってる。でも、絶対にお前を裏切らないと誓うよ。俺の仕事が軌道に乗ったら、必ずお前と母さんを迎えに来るから」

私はその言葉を信じ、七年もの間待ち続けた。

最初の二年間、瑛人は休みのたびに帰ってきた。心音を授かったのもその頃だ。

けれど二年を過ぎた頃から、帰ってくる回数が目に見えて減っていった。

仕事が忙しかったわけではない。千夜と結婚していたからだ。

思い返せば、なんて滑稽なのだろう。

この七年間、馬鹿みたいに偽りの約束を信じ続けた。来る日も来る日も、身を粉にして尽くしてきた。

最初からすべて、私を騙して都合よく利用するためだったのだ。

私は足元がふらつき、倒れかけた。傍らにいた心音が小さな体で支えてくれなかったら、そのまま崩れ落ちていただろう。

私は顔を上げ、見下ろしてくる千夜を睨みつける。

「瑛人はどこにいるの。紙切れ一枚見せられたくらいで、追い払えると思わないで。本人の顔を見て、はっきり問い詰めるまで、絶対に引き下がらないから」

千夜は頷き、仕方なく妥協したようにため息をついた。

「いいわ、どのみち最後にもう一度だけ会わせるつもりだったし。ちょうどいいから、あなたたちの隠し子にもお別れを言わせてあげる」

寂れた田舎の古い家と、千夜の洗練された装いは、まるで別世界のものだった。

ハイヒールが土間を踏むたび、わずかに土埃が舞い上がった。

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