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義妹のために売られた妊婦第1話

この話は約2435字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚式で、義妹を救うため、夫・高橋翔太(たかはし しょうた)は妊娠三ヶ月の私・井上春奈 (いうえはるな )を詫びとして宿敵に突き出した。

「これが俺の誠意だ。どう扱っても構わない」

私は泣きも喚きもせず、おとなしく宿敵について行った。

前世で、私は自由と引き換えに全財産を差し出し、念願叶って翔太のそばへ戻った。

なのに無理やり中絶薬を飲まされ、三日三晩苦しんだ。

「お兄ちゃん、あの宿敵は全部あなたが雇った偽物だし、義姉さんは何もされてないのに、どうしてこの子を絶対に堕ろさせるの?」

翔太が鼻で笑った。

「芝居はな、徹底的に本物らしくやるものだ」

私は怨みを抱いたまま息絶え、再び目を覚ましたとき、わざと連中に捕まるほうを選んだ。

ところが三年後、新しい恋人の腕を取ってパーティーに現れると、翔太が狂ったように詰め寄ってきた。

「春奈、俺たちの子はどこだ?」

* * *

結婚式で、義妹を救うため、夫・高橋翔太(たかはし しょうた)は妊娠三ヶ月の私・井上春奈 (いうえはるな )を詫びとして宿敵に突き出した。

「これが俺の誠意だ。どう扱っても構わない」

私は泣きも喚きもせず、おとなしく宿敵について行った。

前世で、私は自由と引き換えに全財産を差し出し、念願叶って翔太のそばへ戻った。

なのに無理やり中絶薬を飲まされ、三日三晩苦しんだ。

「お兄ちゃん、あの宿敵は全部あなたが雇った偽物だし、義姉さんは何もされてないのに、どうしてこの子を絶対に堕ろさせるの?」

翔太が鼻で笑った。

「芝居はな、徹底的に本物らしくやるものだ」

私は怨みを抱いたまま息絶え、再び目を覚ましたとき、わざと連中に捕まるほうを選んだ。

ところが三年後、新しい恋人の腕を取ってパーティーに現れると、翔太が狂ったように詰め寄ってきた。

「春奈、俺たちの子はどこだ?」

三年ぶりに会うと、目の前の男はすっかり赤の他人のようだった。

「春奈さん、この三年間、私とお兄ちゃんがあなたを探してた。ずっと申し訳なく思ってたの」

私は視線すらくれてやらず、ありったけの力で翔太の手を振りほどいた。

翔太は私の冷ややかな目つきに不機嫌になり、声には露骨な怒りが滲んだ。

「俺たちの子はどこだ?」

私は鼻で笑った。

滑稽だとしか思えなかった。

「子どもがどうなったか、あなたが一番わかってるだろ!」

三年前、本来なら私の人生でいちばん幸せなはずだった島の結婚式が、永遠の悪夢に変わった。

妹・高橋彩乃(たかはし あやの)を甘やかすために、妊娠中の妻を宿敵へ投げ与えた男が、よくもそのセリフを口にできたものだ。

もし私が生まれ直していなければ、活路さえ掴めなかったはずだ。

翔太は一瞬目をそらし、手を伸ばしかけては引っ込めた。

彩乃は目に涙をため、赤い縁で私を見つめた。

「春奈さん、あの人たちに三年も連れ去られて、きっといっぱい苦しんだよね。今だって身体は……でも私もお兄ちゃんも気にしない。女が地獄に落ちれば、何を失うかくらいわかってる。あなたが身を汚したとしても、仕方ないことだし……」

声は同情めいているのに、言葉の中身は悪意に満ちていた。

翔太の顔色がたちまち陰り、黒い瞳がわずかに震えた。

その頃には、パーティーの客たちはとっくに集まっていて、彩乃の言葉を聞くなり私を見る目が変わった。

「なるほど、安い女か!どういう面下げて戻って来たんだ?」

「どうせ散々遊ばれたんだろ?でもスタイルは悪くないな。俺なら我慢できねえかもな、はは……」

翔太は拳を握りしめ、全身が怒りに燃えていた。

「もういい加減にしろ!さっさと家へ帰れ。これ以上ここで恥をさらすな!」

私はさっと顔色を変えた。

家に帰れ?

どの家へ?

彩乃のふくらみ始めた腹に目をやり、私は皮肉を込めて視線を落とした。

「あの家に、私の居場所がまだあるの?」

視線を会場に走らせる。あの人はまだ来ないのか。もうこの連中に付き合う気はなかった、ただ立ち去りたかった。

ところが二人は、私の意図をまるで理解していないようだった。

彩乃は怯えて腹を押さえ、小鹿のように身をすくめて翔太の背に隠れた。

「春奈さん、わ、私のお腹の子はただの事故で、医者には体が弱いって言われてるの。流産したら一生お母さんになれないかもしれないって……だからお兄ちゃんが産ませてくれたの。

安心して。子どもを産んだら海外へ行くから。これからはもう、あなたとお兄ちゃんの邪魔はしない」

もし彩乃が毎回、私と翔太のデートに割り込んでこなかったなら、今は彼女の言葉を信じたかもしれない。

だがこれまでいつだって、翔太は迷いなく彩乃の肩を持った。

「春奈、どうしてそんなに器が小さいんだ。彩乃はまだ子どもだよ。俺について来なかったら家でこっそり泣くんだぞ。それでお前は満足か?」

「春奈さん、私はただ恋の仕方を勉強したかっただけだもん!」

次第に、私は彩乃の存在に麻痺し、気にしなくなっていった。

気にしたところで、何の役にも立たないと知っていたからだ。

彩乃の涙が翔太の肩に落ち、彼はたちまち胸を痛めて彼女を抱き寄せた。

「彩乃のお腹の子は意外だ。俺が責任を取るわ。まずは彩乃と籍を入れる。子どもが生まれたら離婚する。そうすれば子どもの身分が正当に保たれる!」

そして私を、同情でもするような目で一瞥した。

「春奈、この数ヶ月は家で彩乃の世話をしろ。子どもが生まれてからならお前に優しくする。うまくやれば、俺の妻の座をやる!」

離婚という言葉が出た瞬間、彩乃の目に私への憎しみがはっきり浮かんだ。

刹那、私はようやく悟った。

彩乃の理不尽な敵意がどこから生まれたのかこと。

彩乃は自分で涙を拭い、私の腕を取ろうと近づいてきた。

「春奈さん、私たちと一緒に家へ帰ろうよ。お兄ちゃんがたくさん服やアクセサリーを買ってくれたの、全部あなたにあげるから、いいでしょ?」

突き放すつもりでその手を払おうとしたが、次の瞬間、彼女の手首に母が遺してくれたエメラルドのバングルがはまっているのを見た。

「そのバングル、どうしてあなたがつけているの?」

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