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結婚7年目、娘に夫をおじさんと呼ばせた第2話

この話は約1967字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

私は胸の奥がチクリと痛むのを覚えながら、布団の端をそっと整えてやった。

「そうよ。私たち2人だけで行くの」

「やったあ」

奈々は目を閉じ、微かな笑みすら浮かんでいた。

深夜11時。

スマホの画面が明るくなった。

昭彦からのLINEだった。

【今日、亜衣が遊園地でパパがいないって他の子にからかわれて、あまりにも泣きじゃくるから、仕方なく行ってきたんだ。

週末にまたお前たちを遊園地に連れて行くから、奈々にはうまく説明しておいてくれ。

あの子は聞き分けがいいから、きっと分かってくれるだろう】

誠意のかけらもない言い訳だ。

謝罪の電話一本かけることすら惜しいということか?

彼はいつもこうだ。信じられないほど軽い口調で、堂々と私たちに都合のいい言い分を押しつけてくる。

私は返信しなかった。

代わりに彼のアイコンをタップし、新しく作ったリストへと移動させた。

そのリストの名前は【カウントダウン3日】だ。

私はスマホを置き、熟睡している奈々の寝顔を見つめた。

彼女のベッドのそばで、私はそっと呟いた。

「説明なんて、もう必要ないわ。

だって奈々には、これから先、あんたのようなパパなんて必要ないんだから」

翌朝。

ガチャリと玄関のドアが開く音がした。

昭彦が高価そうな海外ブランドのイチゴのマカロンの箱を片手に持って入ってきた。

その顔には徹夜の疲れが浮かんでいた。

そして同時に、「わざわざご機嫌を取りに来てやったんだから、ありがたく思えよ」と言わんばかりの表情をしていた。

彼は靴を脱ぎ、リビングへ入ってきた。

マカロンをローテーブルに置き、ネクタイを緩めた。

私はソファに座ったまま、彼の方を見ようともしなかった。

淡々と一言だけ言った。

「季節の変わり目だから、いらないものを片付けてたのよ」

「ああ」

昭彦はそれ以上深く追及しなかった。

むしろ、ホッと肩の荷が下りたような深い安堵の息を吐き出した。

私が以前のように泣き喚かないのを見て、昨日の約束を破ったことをすでに許してくれたのだと勘違いしたらしい。

奈々がちょうど洗面所から出てきた。

昭彦の姿を目にした瞬間、彼女は無意識に止まった。

昭彦はマカロンを片手に持ったまましゃがみ込み、わざとらしい笑みを浮かべ、奈々に向かって手招きした。

「奈々、おいで。昨日はパパが悪かったよ。

ほら、奈々が一番好きなイチゴのマカロンを買ってきたぞ。

明日は奈々の7歳の誕生日だろ。

パパ、町で一番素敵なレストランを予約したんだ。

奈々のために盛大な誕生日パーティーをしよう!」

そこで言葉を区切り、まるで決定事項のようにいとも当然の口調で付け加えた。

「亜衣ちゃんと玲奈おばさんも一緒にお祝いに来てくれるよ」

奈々はその場に立ち尽くし、動こうとしなかった。

そのマカロンに触れようともしない。

彼女はちらりと私の顔を見上げた後、怯えたような視線を昭彦に向けた。

「おじさん、私、イチゴのアレルギーなのよ?」

その言葉を聞いた瞬間、昭彦の顔に浮かんでいた笑顔がピシッと凍りついた。

昭彦は呆然と手元のマカロンに目を落とし、それから奈々の顔へと視線をさまよわせた。

実の娘のアレルギーすら完全に忘れていたのだ。

なぜなら、玲奈の娘である亜衣が一番好きな食べ物がイチゴだったからだ。

気まずさを誤魔化すように、昭彦はわざとらしく咳払いをして、勢いよく立ち上がった。

「アレルギーだったか……パパ、うっかり間違えちゃったな。明日、別のものを買ってやる」

彼はもう奈々の目を見ることができなかった。

慌てて話題を変え、奈々の部屋へと向かった。

「そうだ。明日、亜衣ちゃんの幼稚園で舞台劇のお遊戯会があるんだ。

玲奈が亜衣ちゃんにちゃんとしたドレスがないって困っててな」

彼はクローゼットの中をしばらく引っ掻き回した。

そして、ハンガーに掛かっていた一着のドレスを引きずり出した。手縫いで仕上げられた、見事なシルクの刺繍ドレスだった。

それは、亡くなった祖母が身を削る思いで、ひ孫娘の奈々のために縫い上げてくれた特別なプレゼントだった。

奈々にとってはかけがえのない宝物だ。

昭彦はそれを無造作に腕にかけ、何食わぬ顔でリビングに戻ってきた。

「このドレス、なかなか見栄えがいいな。亜衣に貸してやってくれ」

奈々は下唇をぐっと噛み締め、涙が溢れないよう必死にこらえていた。

小走りで近づき、そのドレスを掴み取ろうと手を伸ばした。

「だめっ……それは、ひいおばあちゃんが私に作ってくれた……」

昭彦は面倒くさそうに眉をひそめ、苛立ちを隠さなかった。

不機嫌そうに奈々の伸びてきた手をさらりとかわした。

「たかがドレス1着で騒ぐなよ。ひいおばあちゃんが型紙くらい遺しただろ?

ママにもう1着作ってもらえばいいだけのことだ。

亜衣ちゃんはな、小さい頃からパパがいなくて可哀想な子なんだ。

奈々は亜衣ちゃんより年上なんだから、もっと気前よくしてやれよ」

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