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結婚相手を選び直し、そして元彼の後悔が始まる第2話

この話は約1724字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚の解消と、両家の提携終了の知らせは同時に隼人の元へと届けられた。

でも彼は、それをただの「わがままな冗談」だと思い込んでいた。

私はというと、使用人に探してもらった幼少期のアルバムを手にしたまま、無意識に彼からの電話に出てしまった。

通話がつながると、耳に飛び込んできたのは風の音と、少女の楽しげな笑い声だった。

「結衣、お前がここ数日、体調も気分も悪かったのはわかってるよ。

でもさ、こんな冗談で俺を困らせないでくれよ。

叔父さんの会社の資金繰りが詰まったとき、うちの援助がなかったら、お前はもう『菊間家のお嬢様』じゃいられなかった。

こっちは俺たちの結婚式の準備で忙しいんだ。落ち着いたら会いに行くから」

隼人は勝手にそう言って、返事を待つかのように電話を切らずにいた。

けれどそのスピーカー越しに、またしても聞こえてきたのは――綾瀬の声。

「隼人〜!もう一周いこ!今度こそ勝つんだから!」

私に聞かれるのを恐れたのか、隼人は慌てて通話を切った。

ツー……ツー……と音だけが残る受話器を見つめながら、私は思わず笑ってしまった。

――そんな嘘、三日前なら信じてたかもしれない。

でも、今となっては誰が信じるものか。

「結婚式の準備で忙しい」なんて言っておいて、実際は美優とバイクレースを楽しんでるくせに。

心の中でそんな隼人を笑い飛ばしていたところに、親友からメッセージが届いた。

【今夜、年に一度の同窓会があるけど、来る?】

隼人と顔を合わせるのが嫌で最初は迷ったけど……よく考えれば、私はなにも悪くない。

なんで私があのふたりのせいで逃げるようなことしなきゃいけないの?隼人が来るとも限らないし。

そう思って、私は出席を決めた。

会がちょうど中盤に差し掛かった頃だった。

突然、部屋のドアが勢いよく開いた。

隼人がバイクのヘルメットを片手に、堂々と入ってきた。隣には、あの綾瀬の姿。

「美優、一緒に盛り上がろうよ」

「みなさん初めまして。隼人の高校の同級生、綾瀬美優です〜。たまたまこの大学の同窓会があるって聞いたから、見学しに来ちゃいました〜。どうか気にしないでくださいね〜」

綾瀬は黒髪を高い位置でポニーテールにまとめていて、タイトなレザーパンツとショート丈のベストがその抜群のスタイルを際立たせていた。笑顔は明るくて、まるで全世界を味方にしてるような堂々たる態度。

隼人は、角の席で玲奈に話しかけられていた私の存在に気づくこともなく、綾瀬の手を取って自分の隣の席に座らせた。そのまま長い腕を伸ばして、綾瀬の体を囲い込むように引き寄せる。その動きには、隠しようのない独占欲が滲んでいた。

場にいた誰もが、なんとも言えない空気を感じていた。誰ひとりとして、笑顔ではいられなかった。

「隼人、結婚式の招待状で忙しいんじゃなかった?よく来れたね」

「そのへんは結衣がだいたい終わらせてくれたからさ。美優、こういう集まり初めてだって言うし、ちょっと見せてあげようと思って。みんなは気にせず続けてていいよ」

その言葉に、友人の一ノ瀬玲奈(いちのせ れいな)がぴくりと反応した。私がさりげなく袖を引いて止めようとしたのに、それを無視して、テーブルにあった酒瓶をバンッと叩きつけた。

「マジで最低だな、あんた!結衣が高熱で倒れてたのに、見舞いもしないで他の女とドライブ?冗談でしょ。

この子が元カノなの、みんな知ってるよ。結衣の気持ち知ってて、公然と浮気とか頭おかしいんじゃないの!?」

玲奈が立ち上がった瞬間、部屋の空気が張り詰めて、みんなの視線が彼女へ集まった。

その流れで、ようやく隼人と綾瀬も、私の存在に気がついた。

隼人は私と目が合った瞬間、わずかに表情を凍らせた。

「……まだ体調悪いんじゃなかったのか。なんでこんな場所に来てるんだよ。

一ノ瀬に送ってもらって、早く帰れよ」

私はクスッと笑った。

ただのバーに来ただけ。手も足もある。誰の許可がいるっていうの?

あのふたりが堂々と来てる場所に、私が来ちゃいけない理由なんてないでしょ。

彼の「当然」という態度に、私はさらりと返した。

「……結婚式の準備で忙しいんじゃなかったっけ?ここって……なにか参考になるの?」

私の問いかけに、隼人は眉をひそめたまま、何も言わなかった。

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