結婚七周年、夫からコンドーム配達の依頼第1話
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結婚7周年の日、私は1通のメッセージを受け取った。
「ご注文のコンドームが配達されました。料金:○○円」
私には注文した覚えがない。
でも、住所も電話番号も間違いなく私のものだった。
夫に電話をすると、彼はそっけなく言った。
「義理の妹が注文したんだよ。あいつ、恥ずかしがり屋だからさ。お前の情報を使わせてもらっただけだ。別に問題ないだろ?」
私は黙って頷いた。
コンドーム代さえ払えないなら、もう要らないだろう。
* * *
中島安彦が帰宅したとき、私はちょうどスマホで返品手続きを済ませたところだった。
彼は私を一瞥もせずにソファーに腰を下ろし、命令口調で言った。
「荷物はどこだ?菜々実に持っていってやる」
そう言って、自分の口調がおかしいと気づいたのか、慌てて説明を加えた。
「あいつ、最近恋人ができたみたいでさ。兄貴として、まずいことにならないように気をつけてやりたいんだ。
それに、お前ももう大人なんだし。事前に言わなかったからって、菜々実のことで怒ったりしないよな?」
私は黙ったまま、配送センターに返送料を支払い終えてから、やっと顔を上げて彼を見た。
「あなたの妹の彼氏が携帯も持ってないし、お金もないなら、そんな私物は買わない方がいいわ。恥ずかしいだけよ。
もう返品したわ。彼女が欲しいなら、自分で配送センターに行って止めてもらえばいい。代金も払えばいいでしょ。私の情報だから、取りに行っても誰にもバレないわ」
「俺に金があれば、お前に払わせたりしないよ」」
安彦は怒って立ち上がり、目の前のコップを叩き割った。
飛び散ったガラスの破片が私の顔に傷をつけた。
ちょうど、昔彼を救うために火の中に飛び込んだときにできた傷跡の上に重なった。
安彦は明らかに一瞬たじろいだ。
「まったく、ガラスが飛んでくるの見えたのに、なんで避けなかったんだよ」
虚ろな目をした彼を見て、私の心は苦しくなった。
昔は怪我をすると、ガーゼを持って優しく手当てしてくれた男性はもういない。
今も同じように駆け寄ってきて、ガーゼと消毒液を持っているけど、その動きにはぎこちなさしかない。
私たちの間には、もう愛情が残っていないのだ。
私は何も言わず、彼も自然と口を閉ざした。
私たち二人の息の合った沈黙が、今や唯一の共通点になっていた。
「あの時、俺は......」安彦が躊躇いがちに口を開いた。
しかし、突然の着信音がこの気まずい雰囲気を打ち破った。
電話の催促に、安彦はガーゼを持つ手を止めた。
目に見えて安堵の表情を浮かべ、先ほどの話題を続けることはなかった。
彼は携帯を手に取り、優しい声で話し始めた。
「菜々実?どうしたの?」
「安彦お兄ちゃん、会社に来たんだけど、入れてくれないの。私なんかあなたの助手になる資格がないって言われちゃった」
「くそ、威張りやがって!」安彦は憤慨した。「慌てるな。俺が経営者だ。今すぐ行って何とかしてやる」
「でも......聞いたんだけど、みんな遥姉さんの昔からの部下なんでしょ?私のために出てきたら、遥姉さんが怒るんじゃ......」
「そんなこと考えるな。今は俺が会社を仕切ってるんだ!俺が助けなきゃ誰が助けてくれるんだ」安彦は彼女を慰めながら、私を非難するような目で睨みつけた。
電話を切ると、急いで着替え始め、玄関へ向かった。
ドアノブに手をかけた瞬間、まだ手当てしていない私の顔を思い出したようだ。
彼は少し顔を向け、眉をひそめ、ぎこちない口調で言った。
「お前の傷......」
「大丈夫よ。自分で処置するわ」
私は彼から目を逸らし、消毒液を注ぐ。
ドアの閉まる音はなかなか聞こえなかった。
彼は何か言いたげだった。
「遥、お前の会社をちゃんと管理しろよ。表向きは俺が経営者って言ってるのに、今じゃ俺の給料まで会社から直接お前に振り込まれてるんだぞ」
私は頷いた。
「わかったわ。経理に言って、次回から別々に振り込むようにするわ。お金はもう一緒にしないで」
「そういう意味じゃないんだ」
安彦は声を和らげた。「結婚した時、給料は直接お前に渡すって約束したんだ。でも......他の出費のために、少しは残しておいてくれてもいいだろ」
彼は咳払いをした。
「確かにお前は俺の命を救ってくれた。俺も約束通りお前と結婚した。でも遥、俺はな......お前が病気で家にいる間、会社を管理するための道具じゃないんだぞ!」
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