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私の結婚式の日、花嫁は姉だった第1話

この話は約2101字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚式当日、両親が突然、婚約者を連れて私の部屋に現れた。そしてこう言った——

「今日の花嫁、結月じゃなくて、思羽にしてほしいの。

お姉ちゃん、もう長くないの。末期の病気で……彼女のたった一つの願いが、湊一と結婚することなの。

実の妹でしょ?少しぐらい譲ってあげなさい。家族のために、お願い」

婚約者の朝霧湊一(あさぎりそういち)も隣でこう続けた——

「心配しないで。ただのセレモニーだよ。彼女が逝ったあと、正式に籍を入れればいい。ね?」

私はもちろん、首を縦に振らなかった。

すると、父と母は無言で私の手足を縛りあげた。

「式が終わったら、ちゃんと出してあげるから」

でも——

彼らが家を出てから間もなく、部屋にひとりの男が押し入ってきた。

知らない顔、知らない声。

そして、私は……

何の理由もなく、残酷に命を奪われた。

ようやく私の存在を思い出したとき、家族の目に映ったのは、腐り果てた私の死体だけだった——

* * *

結婚式当日、両親が突然、婚約者を連れて私の部屋に現れた。そしてこう言った——

「今日の花嫁、結月じゃなくて、思羽にしてほしいの。

お姉ちゃん、もう長くないの。末期の病気で……彼女のたった一つの願いが、湊一と結婚することなの。

実の妹でしょ?少しぐらい譲ってあげなさい。家族のために、お願い」

婚約者の朝霧湊一(あさぎりそういち)も隣でこう続けた——

「心配しないで。ただのセレモニーだよ。彼女が逝ったあと、正式に籍を入れればいい。ね?」

私はもちろん、首を縦に振らなかった。

すると、父と母は無言で私の手足を縛りあげた。

「式が終わったら、ちゃんと出してあげるから」

でも——

彼らが家を出てから間もなく、部屋にひとりの男が押し入ってきた。

知らない顔、知らない声。

そして、私は……

何の理由もなく、残酷に命を奪われた。

私の魂は空中を彷徨いながら、冷ややかな眼差しで、本来は私のものであったはずの結婚式を見下ろしていた。

式場の視線は、皆、ステージの中央に注がれている。

本来なら私が着るはずだったウェディングドレスに身を包んだ綾瀬思羽(あやせしう)が、私の婚約者、湊一とともに、感動的な誓いの言葉を交わしていた。

客席の最前列では、私の両親が目を潤ませながら「思羽がようやく幸せになれたのね」と、何度も何度も呟いている。

拍手と歓声の渦の中、新郎新婦は幸せそうに笑いながら、彼らなりの「運命の物語」を語っていた。

運命的な出会い、深い愛情——

その一つ一つの言葉の中に、私という存在は欠片すらない。

まるで最初からいなかったかのように。

あのウェディングドレス。

以前私が試着したときはきつくて呼吸も苦しかったのに、いま思羽が着ると、まるで彼女のために仕立てられたかのように完璧に似合っていた。

私は宙を漂いながら、全身がどんどん冷えていくのを感じていた。

そうか——最初から今日、湊一と結ばれるのは、私ではなかったのだ。

思えば、式の準備中から、湊一はどこか上の空だった。

スマホを見つめては、理由もなく微笑んでいたあの表情。

いまなら、その意味がよくわかる。

でも——

どうして彼らは思羽を愛していながら、私を犠牲にする必要があったの?

その答えを知る前に、私は命を落とした。

場所は、あの安アパートの一室。

両親に手足を縛られ、動けないまま、目の前で玄関がこじ開けられ、仮面をつけた男が押し入ってきた。

そのとき私は妊娠していた。

だが、彼はそれを一切顧みず、私の身体を蹂躙し、そして命を奪った。

私の死に様は、あまりにも無惨だった。

あの男はナイフで私の手首を何度もなぞり、血がじわじわと流れ出すのを楽しむように眺めていた。

喉の奥に悲鳴を押し込んだまま、私は血を流しながら静かに死んでいった。

口にはタオルが詰め込まれていた——

両親が、私が叫ばないように、そうしていったのだ。

思い返せば、幼い頃からずっと、両親は思羽ばかりを可愛がっていた。

私たち姉妹が同じお菓子を欲しがっても、それはいつも思羽のものになり、憧れていたフリルのワンピースも、買ってもらえたのは彼女だけだった。

進学のときも同じだった。

家には二人分の学費はなく、両親は迷うことなく思羽の進学を優先し、私はアルバイトをしながら大学に通うしかなかった。

だけど——

まさか、「思羽が癌で余命わずか」と知らされたとき、私の婚約者まで差し出せと言われるなんて——

最も信じていた湊一までが、私を裏切った。

大学時代からずっと一緒だったのに。

私は冷たい目で、この茶番のような式が無事に終わるのを見届けた。

そして彼らが荷物をまとめ、新婚旅行に出かけるとき、私はまた、黙ってその背後に憑いていった。

A国の海辺。

夕陽に染まる砂浜を、思羽と湊一は手をつないで歩いていた。

柔らかな陽光が二人を包み、海風が髪をなでていく。

思羽は湊一の首に腕を回し、二人は深く唇を重ねた。

周囲の観光客たちは笑顔で見つめ、拍手まで送っていた。

普段はあんなにも保守的だった両親でさえ、隣で嬉しそうに微笑んでいた。

——その瞬間、誰か一人でも思い出しただろうか。

あのアパートの片隅に遺された、私という存在を。

誰か一人でも、こんな仕打ちが「不公平」だと思ってくれたのだろうか?

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