真実の愛は、もう還らない第3話
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「1円の歩合の件で、お前への処分が少し重すぎたのは認める。けど、だからってここまでやるか?俺に罰された腹いせに桃花を陥れて、挙げ句の果てには、俺に献血した手柄まで自分のものにしようとするなんてな。
怜奈、今はっきり言う。あのときお前を罰したのは、恩人を傷つけたからだけじゃない。お前が桃花に嫉妬して、何かあるたびに突っかかってたからだ。俺はその性根を叩き直すつもりで、お前に罰を与えた。けど、今になって分かった。お前は嫉妬深いだけじゃない。他人の手柄まで横取りしようとする最低な人間だったんだな。
本当に見る目がなかった。もともとは、お前がこの二十億の損失を返し終えたら結婚するつもりだった。けど今のお前は、到底そんな資格なんかない。処分はさらに十億上乗せだ。
会社のためにあと十億稼いだら、そのとき改めて結婚のことは考えてやる。受け入れられないなら、そこで終わりだ。
今すぐ跪いて、桃花に謝れ」
私は一瞬、呆然と立ち尽くした。胸の奥からどうしようもない失望がじわじわと広がっていく。
桃花が彼の命の恩人としての功績を横取りしていたと知った時、私はこの三年間の颯太の仕打ちを責めようとは思わなかった。颯太が、恩義というものを何より重く見る人間だと知っていたからだ。しかも、その恩は常軌を逸するほど返そうとする。
だから私は、彼はただ桃花に騙されていただけだと、そう固く信じていた。
けれど今、私は証拠を彼の目の前に突きつけたのに、彼は一瞥すらしなかった。ただひたすら桃花の言葉だけを信じて、さらに私への罰を重くしようとした。
私が桃花の能力に嫉妬している?
あの女に何の取り柄があるというの?
毎日遅刻して、成績は最下位、どうしようもない役立たずじゃない。
その時になってようやく分かった。彼の桃花への感情は、ただの恩義なんかじゃない。とっくに心はあの女へ傾いていたのだ。
「ははっ、私がこの女に謝る?寝言は寝て言って」
私は込み上げるものを押し殺しながら、苦く笑って背を向けた。
ここまで完全に心が離れている相手に、これ以上ここへ留まる理由なんて、もうどこにもない。
「久世さん、怒らないでください。このことは全部、私が悪いんです。私がいけなかったんです、あのとき社長を助けたりしなければよかった。全部私のせいですから、お願いです、私のことでお二人の仲まで壊さないでください。あのとき山本社長を助けたのがあなたということでも構いません。この功績はあなたにお譲りしますから!」
桃花は慌てて駆け寄ってきて、私の腕をつかんだ。いかにも気まずそうな顔をして取りなすふりをしながら、その実、私と颯太の溝をさらに深めようとしているのが見え透いていた。
「触らないで!」
私は吐き気がするほど嫌悪感を覚え、彼女の手を力任せに振り払った。
すると桃花はその勢いのまま、わざとらしく壁にぶつかり、鼻を強かに打って、すぐに鼻血を流した。
「きゃあっ!」
彼女は悲鳴を上げ、そのまま床に倒れ込んで苦しげに身体を痙攣させた。
「久世さん……あまりにもひどすぎます……私はただ、お二人に仲直りしていただきたかっただけなのに……どうして私を殴るんですか?」
「怜奈、お前はやりすぎだ!」
颯太は私を怒鳴りつけると、血相を変えて桃花のもとへ駆け寄った。
「桃花、大丈夫か?」
桃花は得意げに私を一瞥したあと、すぐに力のないふりをして弱々しく言った。
「貧血の発作が出たみたいで……もう死んでしまいそうなんです……なるべく早く病院へ連れて行って、必要であれば輸血もお願いしたいのですが……
でも、私の血液型は少し特殊で、病院でも毎回、血液を確保するのに何日もかかるんです。私……久世さんの血液型が私と同じだったのを覚えています。お願いです……彼女から輸血用の血液を提供していただけませんか?」
「私が輸血する?笑わせないで」
私は鼻で笑い、この芝居がかった女をこれ以上相手にする気にもなれず、そのまま背を向けて立ち去った。
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