満開の中、想いは無言に募る第2話
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彼は私の全身を上から下まで値踏みするように見て、最後に青白くやせ細った顔に視線を落とした。
「そんな弱い体で、どうやって一花の世話をするつもりだ」
その言葉に、私は腰に回された彼の手を力いっぱい振り払った。
「私が死なない限り、奥様の面倒はちゃんと見ます。約束しましたよね?そうでしょう?若旦那様?」
秀年は一瞬呆然とし、目を赤くして私を見つめ、声まで震えている。
「ああ、い……いいだろう!」
病室に戻ると、私は無理に体を支えながら防犯カメラをつけた。
画面の向こう、車椅子に乗って日向ぼっこをしている弟の姿を見て、乱れていた鼓動がようやく落ち着いた。
再びドアがノックされた。
「林さん、これ以上刺激を受けて病状が悪化し、喀血するようになれば、赤い薬に切り替える必要があります。その場合、適合な心臓が見つからなければ、一か月も持たない可能性があります。それと……」
医者は言葉を切った。
「すでにご懐妊されています。ご主人は……」
私はその場で凍りつき、手の中の黄色い薬を強く握りしめたまま、長い間声が出なかった。
秀年が入ってきて、私はようやく手を振って医者を下がらせた。
彼の目の赤い血走りは消えていない。一花の付き添いでできたものだろう。
彼が煙草を吸うなんて知らなかった。なぜなら、彼の体からほのかに煙草の匂いがするから。
「芙由子、まだ俺を恨んでいるのか?」
恨んでいないはずがない。
七年の付き合いだ。
彼は、弟のために頭を下げて回る私のみじめな姿も、売れっ子作家として人に囲まれる栄光も見てきた。
私は、彼が一人で犯人のところに乗り込む頑なさも、私のために心臓発作を起こしたときの絶望も見てきた。
手術室の外での三日三晩、彼は魂を失ったように一人で待ち続けた。
私が目を覚ましたとき、「生きていてくれればいい」とただ一言だった。それで私は彼を一生信じると決めた。
だが七年の苦難を乗り越えたはずなのに、結婚前夜、秀年は私の弟を人質に取った。
私に養子縁組の同意書へ署名させ、婚約解消を宣告し、翌日には幼なじみとの結婚式に出た。
あの夜、私がどれほど彼を憎んだか、彼は知っているはずだ。
私は何も言わなかったが、真っ赤な目と、肉に食い込むほど握りしめた指先がすべてを物語っている。
それを見て、秀年は思わず駆け寄り、私の指をこじ開けた。
「芙由子!凝血障害があるのを忘れたのか?死にたいのか!」
私はかすれた声で答えた。一言一言すら痛みを帯びている。
「何袋も血を抜かれても……死んでないでしょ」
「芙由子!」
彼は突然声を荒げた。「死」という言葉が逆鱗に触れたかのように。
「来月、俺と一花は海外に行く。暖かい場所だ。君も予定を空けて一緒に来い。
いい子にしていろ」
また、それだ。
「いい子にしていろ」と言ったら、七年の想いを捨てて養子縁組に応じることも、彼が私を見捨てて一花を先に救うのを黙って見ていることも、そして二人で行くはずだった場所へ、彼と一花が新婚旅行に行くのを見届けることも、全部受け入れろというのか。
秀年の声は拒絶を許さない。だがその目は、どこか無力で、期待と、探るような色を帯びている。
七年間待ち続けた新婚旅行だ。南へ行こう、雪のない場所へ行こう。寒がりの私のために彼はそう言っていた。
結局、その願いは空しく終わった。
私は笑って彼を見た。「いいよ……」
退院してから十日あまり堀田家にいたが、秀年の姿を見ることはほとんどなかった。
食卓で一花と親しげにしているときと、家族の前で彼女に盛大に誕生日プレゼントを渡すとき以外は、彼と会う機会はなかった。
秀年は一度も私に視線を向けず、まっすぐ一花のもとへ歩み寄った。
「一花、人気作家の全集にサインをもらってきた。誕生日おめでとう」
彼が三年もかけ、数え切れない国と都市を巡り、心血を注いで集めたものだ。本来は私への結婚祝いだった。それが今、一花の手の中にある。
胸にぽっかりと穴が空いた気がした。
一花は私の顔色の悪さに気づき、わざわざ近づいてきた。
「林さん、じゃあ代わりに、新作の署名権を私にちょうだい?」
その声が甘く柔らかいのに、私は息が詰まるほどの圧を感じた。
私はショックのあまり、思わず秀年を見た。
まさか、彼はこのまま好き勝手させるつもりなのか?
あの本が、私たちにとって、さらに私にとって、どれほど大切か知っているはずだ。
だが、彼は止めてくれなかった。それどころか、彼は一花を許した。
結婚式の代わりに死の宣告だけが私に訪れたように、私はどれだけ期待しても裏切られるだけだ。
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