毒蛇伝説第2話
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「お母さん、何しているの?やめて!」
私はその小さな器を取り上げようとしたが、母はその隙を突いて私の手をがっちり掴んだ。
「里穂、お願いだから母さんを手伝って。母さんは今まで何も頼んだことないのに、こんなに大きく育てたのに、たった一つだけお願い聞いてよ」
そう言いながら、母は背後の床に置いてあったハサミを取り出し、私の乱れた髪をためらいもなく切り始めた。
母は私を放して、その髪の束を拾い上げて蛇の頭に巻きつけた。
止めようとしたが、体が全く動かないことに気づいた。まるで何かに縛られているようだった。
「母さん、やめて……」
焦りすぎて声に泣きそうな響きが混じったが、母は聞こえていないかのようだった。
髪を巻き終えると、母は地面にひざまずき、その蛇像に向かって丁寧にお香を焚いて頭を下げた。
それを終えると、母は緊張と興奮が入り混じった様子で蛇像を見つめた。その時、背後に何かを感じ、湿ったものが私の首を舐めたようだった。
「里穂、新学期が始まる前にiPadが欲しいって言ってたよね。母さんがすぐに買ってあげるから、もう少し我慢して、一瞬だけでいいから!」
それは軽く私を舐めただけで、すぐに消えたが、その感覚は本当に恐ろしく、全身に冷たい汗が浮かんだ。
どんなにもがいても体は動かず、声を出そうとしても出せない。まるで金縛りに遭っているようだった。
蛇像は色を変え始め、漆黒に近い紫色から次第に血のような赤色に変わっていった。錯覚かもしれないが、蛇の顔の目が微かに動いたように見えた。
その蛇像はまるで母の体を通して、彼女の背後にいる私をじっと見つめているようだった。
「できた、できた!本当に色が変わった!」
母は狂喜乱舞しながら蛇像を見つめていた。その瞬間、私の体に感じていた束縛感が突然消え、私はその場にへたり込んだ。
父は部屋の中の物音に気づき、中に入ってきた。
「里穂、どうして床に座ってるんだ?早く立ちなさい」
父は手を差し伸べて、私を助け起こそうとしたが、突然私を通り越し、まっすぐ蛇像の方へ歩いていった。
「美しい、本当に美しい……」父は蛇像に魅入られたように見つめながら、ぼそぼそとつぶやいた。
二人がまるで取り憑かれたような姿を見て、私はぞっとし、地面から立ち上がると、ほとんど逃げるように自分の部屋へ戻った。
私は寝室のドアをしっかりと閉め、自分自身を布団にくるまった。
しばらくすると、隣の両親の部屋からキーキーという音が聞こえ始めた。それに加えて、抑えたような重い呼吸の音も聞こえてきた。
両親がまだ日が暮れる前、娘が家にいるというのにあんなことをするなんて、全く想像もしていなかった。
その瞬間、胸の中に言葉にできない嫌悪感が湧き上がった。
音はますます大きくなり、最後には二人とも我を忘れたかのように、遠慮なく叫び始めた。
その騒ぎは30分以上も続き、ようやく静かになった。
私はぼんやりと眠りに落ちた。
夜中、柔らかく冷たい何かが布団の中に入り込み、私の体に絡みついているように感じた。
私は恐怖で身震いし、慌てて身を起こした。
その冷たい感触は消えていて、私は布団をめくったが、ベッドの上には何もなかった。まるですべてが私の錯覚だったかのようだった。
落ち着いてみると、トイレからザーザーと水の音が聞こえてきた。
こんな時間に、一体誰だろう?
その音は両親が夜中に起きた時のものではなく、むしろ何かを力強く揉み洗っているような音だった。
私は耐えきれずに部屋のドアを開けた。リビングは真っ暗で、トイレのドアが開いていたが、電気はついていなかった。ぼんやりと入口に人影が立っているのが見えた。
「母さん……あなたなの……」
その人影は私を無視して、手元の作業を続けていた。
私は歯を食いしばり、思い切ってトイレの入口まで走って電気をつけた。
突然の明かりで目が眩み、私は目を細めて見た。そこには母が洗面台でシーツを洗っている姿があった。
その水は薄いピンク色をしていて、表面には泡が浮かんでいた。
「母さん、こんな夜中に何でシーツを洗ってるの?」私は疑問を感じた。
母は気まずそうに笑って、「急に生理が来ちゃって、気づかなくてシーツを汚しちゃったの。明日まで放っておいたら落ちなくなるから、今洗ってるのよ。うるさかった?」と言った。
私は一瞬言葉を失った。
母は一昨年に更年期を迎えていて、すでに閉経しているはずなのに、どうして……
空気には確かに淡い血の匂いが漂っていた。母がこんなことで私を騙す理由もない。
あの蛇像が、本当に母を若返らせることができるの?
でも、そんなの馬鹿げてる!
私は心の中で強い疑念を抱きながらも、母の顔が本当に嬉しそうだったので、冷水を浴びせるのは忍びなく、何も言わずに部屋へ戻った。
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