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死んだ後、偏愛の両親は後悔した第2話

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瑞世は鼻で笑い、取り合おうともしない。

「あんなふうに染まってしまったら、もっと早く引き取ったところで無駄よ。それどころか、朔也がいじめの標的にされてたかもしれないわ。

今はもう、あの更生施設に期待するしかないわね」

哲夫がわざとらしく咳払いをし、声に苛立ちを滲ませる。

「いつまであいつの話をしてるんだ。朔也に悪影響だぞ。さあ、飯にしよう」

これ以上、聞いていられなかった。俺は魂が抜けたように、ふらふらと物置部屋へ漂っていった。

朔也が俺を毛嫌いしているせいで、彼の部屋から最も離れたこの物置が、あてがわれた俺の個室だった場所だ。

見慣れぬ光景が広がる部屋を、俺はぼんやりと眺めた。そこには俺の痕跡は、何一つ残されていない。

そうだ。この部屋はもう瑞世の手によって、朔也専用のウォークインクローゼットに作り変えられてしまったんだった。

あの時、瑞世は俺に露骨な嫌悪を向け、こう言い放った。

「私と父さんは、あなたを粗末に扱ったつもりはないわ。それに朔也だって実の弟でしょう?体が弱い子なのに、兄として可愛がるどころか、他人に頼んで殴らせるなんて、どうかしているわ。

ここに住まわせて悪かったとは思ってるわよ。でも朔也だって、急に兄ができて戸惑ってただけなの。少しくらい譲ってあげられないの?

しかもこんな酷い怪我を負わせて……本当にがっかりだわ。もし朔也に何かあったら、ただじゃおかないから!」

そう捲し立てると、瑞世は業者を呼んで俺の荷物を全て廃棄させ、壁一面が衣服と靴で埋め尽くされた衣装部屋へと改装してしまった。

誰も俺を信じなかった。誰も弁明を聞こうとしなかった。そもそも俺は、不良の知り合いなど一人もいないというのに。

綺麗に並べられた朔也のブランド服や靴を見つめて、ようやく腑に落ちた。

この家に、俺の居場所など最初からなかったのだ。

世界はこんなにも広いというのに、俺には行く先ひとつない。

最期に、と俺は台所へ向かって漂った。

広いキッチンの片隅で、喜希(きき)が椀を抱え、うずくまるようにして食事をしていた。

彼は、俺が拾った捨て子だ。

山奥に置き去りにされていたところを、山登りの俺が見つけた。「喜希」という名をつけたのは、俺のような人間でも、毎日楽しく暮らせるようにと願ったからだ。

来る日も来る日も両親を待ち続けたあの日々、俺の傍らにいてくれたのは喜希だけだった。互いに寄り添い、支え合い、長く孤独な時間を共に生きた。

喜希は「正月」というものをよく分かっていた。身を切るような寒さの中、川辺にじっと座り込み、魚がかかるのを待っていたものだ。

俺がそう教えたからだ。「正月には魚を食うんだ。『めでたい』に通じて、すごく縁起がいいからな」

両親が俺を街へ引き取るとき、喜希も一緒についてきた。

朔也は、喜希のことを「頭がおかしい」と心底嫌い、食卓につくことを許さなかった。喜希は小さな椀に残飯を与えられ、台所の隅で隠れるように食べ、寝る時は台所か、外の物置小屋へ追いやられた。

知能は低くとも、素直で純粋な子だ。満足に食べられなくても、決して盗み食いなどしない。

それでも朔也は、汚物を見るような目で彼を嫌った。

最愛の息子である朔也に感化され、他の家族も喜希に優しくしようとはしなかった。

喜希が食事を終えた後、俺はいつもこうして話しかけていた。

彼は澄んだ大きな瞳で俺を見つめ、不器用な小さな手で、俺の背中を優しく叩いてくれたものだ。

俺は喜希の隣にしゃがみ込み、彼がじっと入口を見つめているのを眺めた。俺を待っているのだ。

だが俺は、もう二度と彼に声をかけてやることはできない。

随分長い間、俺の姿を見ていないせいだろう。喜希は俺を恋しがり、台所の隅で体を小さく丸め、嗚咽を漏らし始めた。

最初は抑えていた泣き声が、次第に大きくなり、ついにはリビングにいた早坂家の人々を呼び寄せてしまった。

足音に気づいた喜希が、よろよろと台所の入り口まで駆け寄る。そして由莉の姿を見つけると、たどたどしく言った。

「に……にい……」

哲夫が眉をひそめ、汚いものでも見るように喜希を叱りつける。「静かにしろ!近所迷惑だ!

……後で、外の小屋に閉じ込めておくぞ」

哲夫が踵を返すと、由莉が近づき、喜希の襟首を掴んで引きずり出そうとした。

そこへ朔也が、貼り付けたような笑みを浮かべて割って入る。

「お姉ちゃん、帰ったばかりで疲れてるでしょ。僕がやるよ。早く部屋で休んでて」

結局、由莉は引き下がった。

由莉の姿が見えなくなるや否や、朔也はゴム手袋をはめ、露骨な嫌悪感を顔に浮かべながら、喜希を外の小部屋へと引きずっていった。

ドン、という鈍い音。

朔也が、喜希を床に放り投げたのだ。

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