暁を失えど黄昏はまだ間に合う第2話
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莉奈は雅紀の父の昔の戦友の娘。何年も前に彼女の両親を交通事故で亡くし、雅紀の父が莉奈を家に引き取ったのだ。
表向き、莉奈は雅紀を兄として親しく付き合っているが、二人に血の繋がりはなかった。
三年前、私は予期せず妊娠した。雅紀が車で病院の検査に向かう途中、莉奈から足を捻挫したという電話がかかってきた。雅紀は助手席にいる妊娠中の私を顧みず、すぐにスピードを上げて莉奈を迎えに行った。
スピードの出し過ぎに加え、雨でスリップしやすい路面。車は一瞬にしてハンドルを取られ、そのままガードレールに激突した。
雅紀は軽傷で済んだが、私は流産しただけでなく、身体に傷を負い、二度と子供を産めない身体になってしまった。
病院のベッドで、雅紀は私の手を握って泣きじゃくりながら謝り続けた。子供がいてもいなくても、永遠に君を愛すると。莉奈も隣でぼろろと涙をこぼし、すべて自分のせいだと言った。
心は傷つき、怒りに燃えていたけれど、罪悪感に満ちた二人の顔を見て、私はつい心を許してしまった。
今思えば、本当に皮肉な話だ。
私をママと呼んでも構わない、なんて随分な施しだこと。
あなたたち三人で永遠に一緒にいればいい。あなたの雅紀はお返しするわ。
スマホを手に取り、莉奈に返信しようとした時、母から電話がかかってきた。
「詩帆、お見合いの話、まとまったわよ。相手はディンクスでも構わないって。一週間後に会うことになったから、準備して早く帰っていらっしゃい」
私は少し呆然とした。まだ三十分しか経っていないのに、母はもう手配してくれたのか。
でも、それでいい。一週間後はちょうど雅紀と莉奈の結婚式だ。二人が新しいスタートを切るのなら、私にだって未練はない。
「うん、ありがとう、お母さん」
「詩帆、あまり落ち込まないでね。結婚間近になって、雅紀が一言もなく他の人と入籍するなんて、あなたのことを全く大切に思っていなかった証拠よ。早く見切りがついて良かったじゃない。一生を無駄にするよりずっといいわ……
世の中にはね、あの長谷川雅紀より優れた男なんてごまんといるのよ。お母さんが今回見つけてきたお見合い相手は家柄も容姿も、少しも劣らないんだから。それに、あなたの大学の同窓生らしいわよ。
実家に帰ってきて、故郷で新しい生活を始めるのもいいものよ」
その言葉を聞いて、鼻の奥がツンとした。
この数年、私は雅紀と一緒に仕事に打ち込み、両親への関心は薄れるばかり。もう長いこと実家に顔も出していなかった。それでも、私がすべてを投げ出して振り返った時、両親は両腕を広げて私を待っていてくれた。
「うん。こっちのものを全部片付けたらすぐに帰る」
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