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春になったらまた会おうね第1話

この話は約2148字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

七歳にも満たない頃、私・千尋(ちひろ)は三度も瀕死の境を経験した。

両親は私を救うため、魂を鎮めようと檜の棺を探し求めた。

避妊手術まで済ませていたのに、私の治療に使う臍帯血を得るために、妹を産んだ。

妹は天真爛漫で愛らしく、棺を指さして尋ねた。「お姉ちゃん、あの黒い箱はなあに?」

私は答えた。「あれは、私を入れるための箱よ」

パパとママは私を抱き締め、大声で泣きじゃくりながら、「絶対に治してみせるから」と何度も繰り返した。

けれどその日、妹がはしゃぎすぎて、その棺の角に頭をぶつけてしまったのだ。

その瞬間、ママは突然崩れ落ち、頭を抱えて地面にうずくまり、嗚咽を漏らした。

「両親を苦しめるだけじゃ足りないの?今度は妹まで巻き込むつもり?

もう本当にうんざりよ!どうして死んでくれないの!」

パパは泣きじゃくる妹を抱き上げてあやし、「遊園地に行こうか」と優しい口調で言った。

ドアが勢いよく閉まる音を聞きながら、私はゆっくりと棺の中に横たわり、そっと目を閉じた。

「パパ、ママ、おやすみなさい」

* * *

七歳にも満たない頃、私・千尋(ちひろ)は三度も瀕死の境を経験した。

両親は私を救うため、魂を鎮めようと檜の棺を探し求めた。

避妊手術まで済ませていたのに、私の治療に使う臍帯血を得るために、妹を産んだ。

妹は天真爛漫で愛らしく、棺を指さして尋ねた。「お姉ちゃん、あの黒い箱はなあに?」

私は答えた。「あれは、私を入れるための箱よ」

パパとママは私を抱き締め、大声で泣きじゃくりながら、「絶対に治してみせるから」と何度も繰り返した。

けれどその日、妹がはしゃぎすぎて、その棺の角に頭をぶつけてしまったのだ。

その瞬間、ママは突然崩れ落ち、頭を抱えて地面にうずくまり、嗚咽を漏らした。

「両親を苦しめるだけじゃ足りないの?今度は妹まで巻き込むつもり?

もう本当にうんざりよ!どうして死んでくれないの!」

パパは泣きじゃくる妹を抱き上げてあやし、「遊園地に行こうか」と優しい口調で言った。

ドアが勢いよく閉まる音を聞きながら、私はゆっくりと棺の中に横たわり、そっと目を閉じた。

いや待って、蓋を閉めないと。

……この蓋、ずいぶん重いね。

蓋を閉めながら、思わずそう呟いてしまった。

聞くところによれば、これはパパがある陰陽師に莫大なお金を払い、あらゆる顔役をはたらかせ、ようやく譲り受けた檜で、特注して作らせたものらしい。

出来上がった時に、その陰陽師の方も立ち会ったが、私の姿を見ると、彼らはなぜかため息をつき、背を向けて帰っていった。

私はパパの服の裾を引っ張り、無邪気に尋ねた。

「パパ、私ってそんなに怖い顔してるの?どうして私を見ると逃げちゃうの?」

あの時、パパは確かに言ってくれた――「そんなことないよ、千尋は世界一きれいだよ」って。

ああ、もしパパが昔のように突然現れて、この蓋を閉めてくれたらいいな。

大人びた口調で私はため息をついた。やっぱりやめよう。

パパもママも、もう十分疲れてる。

ようやく妹を連れて遊びに行ける大事な時間なんだから、邪魔はしないでおこう。

遊園地って楽しいのかな。テレビで見るのと同じなんだろうか。

ピンク色の木馬に、大きなお城。

ママは約束してくれた。病気が治ったら、お姫様のドレスを着てお城の前で写真を撮ろうって。

「うちの千尋は、きっと誰よりも輝いてるわ!」

その言葉を思い浮かべるたび、頭の中では何度も夢を描き、自然と微笑みがこぼれた。

意識がゆっくりと遠のいていく。少し眠ろう。

妹が帰ってきたら、遊園地がどんなところだったか聞いてみよう。

今度こそ、パパとママにお願いして、一緒に連れて行ってもらおう。少し眠ろう。眠れば、きっと病気もよくなる。

真っ白な病室のベッドに何度も横たわっていたあの頃、ママはいつもそう言って私を慰めてくれた。眠って目を覚ませば、すべてが良くなるのだと。

「パパ、ママ、おやすみなさい」

あの子ったら、めちゃくちゃ腕白なんだから!絶対に「おやすみ」なんて言ってやらないもん。

次に目を開けたとき、私は空に浮かんでいた。不思議に思ってあたりを見回すと、そこは私の家だ。

壁には、私の写真が飾られている。生まれたときから七歳になるまでのもの。

どの写真の中の私も笑っている。

あの頃、妹はようやく言葉を覚えはじめたばかりで、私の写真を指さしては「あー、あー」と声をあげていた。

ママはそんな妹を腕に抱きながら、一枚一枚の写真を指して教えていた。

「これはね、お姉ちゃんが生まれたばかりのときよ。小さな子猫みたいで、泣くことさえできなかったの。

お姉ちゃんが初めて手術を受けたときはね、パパもママも足が震えるほど怖かったのよ。

園子、これからはお姉ちゃんを守ってあげるのよ、いいわね?」

私はぐったりと揺り椅子に横たわり、口を尖らせて言った。「ママ、私が姉だよ!

姉は妹を守るものなの!」

両親は思わず笑みを漏らしたが、瞳には理解できない何かが浮かんでいた。

後になってあれが何だったか、やっと分かった。あれは哀愁というものだった。

私は写真の壁の前へと漂い、そっと手を伸ばした。すると、その手が写真をすり抜けてしまった。

えっ?

私の手……透き通ってる?

戸惑いに包まれていると、突然、ドアの外からピッピッと電子音が響いた。

パパとママが帰ってきたのだ。

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