新妻が新婚初夜に姿を消し、翌日には兄の部屋で目を覚ました第3話
この話は約1771字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
ずっと懸かっていた気持ちが、ようやく少しだけ軽くなった。俺は頷き、震える手を必死に抑えながら、彼女を抱いて寝室に戻った。
美咲は静かに俺の腕の中で眠り、俺は美咲の髪を優しく撫でながら、一緒に眠りに落ちた。
目を覚ますと、腕の中に美咲はいなかった。
嫌な予感がした。
最近、夜なかなか寝付けなくて、毎日10時頃まで寝ていたのに。
まだ午前7時だ!
慌ててベッドから降りて靴を履こうとしたら、美咲の携帯が床に落ちていた。
画面がついたままだった。
心臓がドキドキして、急いで拾い上げた。
それらの写真を見て、怒りと不安が入り混じり、心臓が胸から飛び出しそうだった。
匿名のMMS。全部、美咲が兄に犯された時の写真だった。
全てが証拠だった。信じたくない現実を突きつけられた。
あの最低な兄が、結婚式の夜に妻を犯したのだ。
そして両親も、全員グルだったんだ!
美咲がどれだけ絶望したか、想像もできない。
一瞬、無限の憎悪が俺を覆い尽くした。その時、彼女の携帯電話に、新たなメッセージが届いた。
慌てて開いた。
それは、病院の検査結果だった。
美咲は、その時、もう妊娠1ヶ月だったんだ......
自分の頬を殴りたくなった。夫なのに、こんなことになるまで気づかなかったなんて。
俺は何をしていたんだ!
まだ生まれてもいない我が子も、結局は両親と兄が企てた陰謀によって命を奪われたのだ。
よろめきながら、見慣れた廊下を歩いた。
階段を駆け下りて、マンション中を探し回った。
自責と恐怖で、震える声で美咲の名前を叫んだ。
早朝のでがらんとしたマンションに声が響くだけで、返事はなかった。
その時、遠くで誰かが叫んだ。
「大変だ!あの女、飛び降りるんじゃないか!」
頭が真っ白になった。声のする方を見ると、27棟の屋上に、痩せた人影が立っていた。
美咲だ!
彼女はそこに立っていた。風は彼女の薄い衣服を揺らし、その姿はまるで崩れ落ちんばかりだった。
「ダメだ!やめてくれ!」
気が狂いそうで、誰かに警察に電話するように頼んで、屋上へ走った。
屋上の非常口を蹴破って、孤独で絶望的な美咲の姿を見た。胸が締め付けられて、息ができなかった。
3年前、俺は美咲と屋上で出会った。
あの時は、ボランティアとして、交通事故で両親を亡くして、飛び降りようとしている女の子を慰めていた。
そのビルのすぐ近くは、俺の会社が新しく開発しようとしている土地だった。
事故が起きたら、プロジェクトは中止になる。損失は計り知れない。
それに、人の命がかかっているんだ。
すぐに消防と救急車を呼んで、屋上まで駆け上がった。
女の子はパニック状態で、お父さん、お母さんって泣き叫んでた。
しくしく泣きながら、人は死んだら星になるって聞いたから、高いところに登れば届くって言っていた。
パパとママに触りたくて、小さな体で屋上の柵を登っていた。
まだ5歳だ。落ちたら助からない。
その時、まだ知り合ってなかった美咲が、俺の手を掴んで、ゆっくり女の子に近づいていった。
美咲の声は、優しい風みたいだった。
彼女は
「大丈夫よ、怖くない。そこにいて動かないで。パパとママがすぐにお迎えに来るから」って言った。
美咲の優しい言葉は魔法みたいで、女の子の目がぱっと明るくなった。
「本当?」
涙は流れていたけど、美咲の声を聞いて、笑顔になった。
まるで本当にパパとママが見えたみたいだった。
「ママ、怖い......」
美咲をママ、俺をパパって呼んだ。不思議な力が湧いてくるのを感じた。
美咲を見たら、風になびく髪が、温かくて美しかった。
小さい子にとって、パパとママは全てで、神様みたいな存在なんだ。
「いい子だね。柵をしっかり掴んで。そう、パパとママがすぐに助けるから」
そう言いながら、真剣な顔で俺を見て、頷き合った。
そして、隙を見て、女の子を抱きかかえて、一緒に転がってあの子を救い出した。
女の子は助かって、そして俺は美咲の優しさと勇気に感動した。
それから3ヶ月、必死にアタックして、やっと美咲と付き合えるようになった。
かつて、屋上の月明かりの下で、俺たちの愛はバラみたいに輝いて、情熱的だった。
なのに今は、運命と人間の悪意に、こんなにも残酷に傷つけられている。
最後は、俺の目の前で......
風みたいに、屋上から落ちていった。
目を閉じて、後を追った。
絶望と憎しみを胸に。
美咲と一緒に、短い人生を終えた。
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