断罪の新生第2話
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「本当の痛みがどんなものか、教えてあげる。私のかわいいペットが、ね」
ジアナは黒いヘビを私の目の前に差し出した。
二股の舌が空気を舐めるように揺れ、冷たい鱗が私の腕に触れた。
「やめて!」
言い終える前に、焼けるような激痛が腕を走った。
ヘビの牙が深く肉に食い込んだのだ。
毒は酸のように血管を焼きながら体中へ広がっていく。
心臓が一度鼓動するたび、毒がさらに奥へ送り込まれていくようだった。
私は必死に冷静さを保とうとした。
片手で腹を守るように押さえ、もう片方の手で傷口を必死に押さえつける。
だがその毒は血液を固まりにくくする性質を持っていた。
傷口からは暗く薄い血が溢れ出し、まったく止まらなかった。
私は体を丸め、震えながらその場に縮こまった。
怖くて、身動きすらできなかった。
「この子はとってもお利口なの。普段は絶対に人を噛まないんだ」
ジアナは甘い声でそう言いながらヘビを引き戻した。
だが手に戻した瞬間、鱗がぬるりと滑る感触に気づく。
視線を落とすと、ヘビの牙から黒い血がぽたりぽたりと滴っていた。
私の視界は次第にぼやけていった。
まるで子宮を剣でかき回されるような痛みだった。
腕のヘビに噛まれた傷口はすでに紫黒く変色し、そこからもまだ血が滲み続けている。
命が少しずつ、体から抜けていくのを感じた。
ジアナは去らなかった。
その表情は満足から一転し、狂気じみた怒りに歪んだ。
「このクソ女!何するのよ!?」
彼女のブーツが私の腹に叩き込まれた。
衝撃で、また意識が飛びそうになった。
「私のメドゥーサが傷ついたじゃない!」
彼女は悲鳴のように叫んだ。
「こんなに血が......!あの子は、あんたとそのガキよりずっと価値があるのに!」
部屋は薄暗かった。
彼女は私の髪を乱暴に掴み、無理やり頭を引き上げて顔を覗き込んだ。
「よくもこんなことしてくれたわね」
そしてヘビに向かって甘い声で囁いた。
「怖かったね。でも大丈夫、もうちょっとで終わるから」
さらに蹴りが飛んでくる。
一撃一撃が、私とお腹の子へ叩きつけられる鉄槌のようだった。
私は腹を守るように体を丸めることしかできなかった。
もう抵抗する力など残っていない。
「さっきまであんなに叫んでたのに、どうしたの?さっきまで演技してたじゃない」
「お願い......もうこの子を蹴らないで......」
ジアナは嘲るように笑った。
「子どもを盾にするのはやめてよ。
そんなことしても、ファルコーネはあんたなんかを認めるわけないでしょ」
彼女は片手でヘビを撫でながら、もう片方の手でバッグから小さなスプレーボトルを取り出した。
白い霧が部屋に広がる。
私の意識はゆっくりと遠のいていった。
「そこで自分の立場をよく考えなさい」
彼女は低く言った。
「それから、無駄な希望は捨てなさい。
このファミリーを継ぐ資格があるのは、スカーレットの血筋だけ。この組織を支配するのはあの子よ。自分の立場、もう少しは理解したらどうなの?アレッシア」
その声には軽蔑が滲んでいた。
「これでちょっと落ち着けなさい」
彼女は怒りに満ちた様子で去っていった。
だがその前に、さらに多くの幻覚ガスを部屋中に撒き散らした。
濃い霧のようなガスが体を激しく痙攣させる。
すでに体内を巡っているヘビ毒の苦しみの上に、さらに新しい苦痛が重なった。
痛みの霧の中で、私は聞いた。
かすかな泣き声を。
まだ生まれていない我が子のすすり泣きだった。
小さな声が、頭の中に響いた。
「ママ......ママ、助けて......」
それは確かに、私の子の声だった。
幻覚の中で、小さな影がこちらへ手を伸ばしていた。
「ママ、怖いよ......すごく痛い......」
「大丈夫......ママはここよ......」
震える手を伸ばし、抱きしめようとする。
だが私の腕は、何度伸ばしても空気しか掴めなかった。
本当なら、今日この子を迎えるはずだった。
腕いっぱいに抱きしめるはずだった。
あとほんの少しだったのに。
どうして運命は、私たちにこんなにも残酷なのだろう。
ついに心が折れ、涙が静かに頬を伝った。
鋭い絶望が胸を刺し貫く。
私はそっと腹を撫でた。
「ごめんね......ママが守れなかった......
もし来世があるなら......愛し合う家族の中で生まれようね......」
呼吸は弱まり、血は体の中で重く淀んでいく。
その時、突然ドアがカチリと開いた。
眩しい光が部屋に流れ込む。
「え......」
血だまりの中に倒れている私を見て、ファミリーの医師は恐怖に顔を引きつらせた。
「......君は?どうして......ボスにこんな罰を?」
医者でありながら、彼の最初の反応は私を救うことではなかった。
「......私は......ヴィトの妻......」
かすれた声で言いながら、必死に手を持ち上げた。
結婚指輪を見せるために。
刻まれたイニシャルは血で汚れていたが、それでもヴィトと私の名前はかすかに読み取れた。
彼は指輪を認識し、助けようと一歩近づいた。
だが、そこで躊躇した。
そして慎重にヴィトへ電話をかけた。
「ボス、地下の手術室でアレッシア様を見つけました。
今は非常に危険な状況です。大量出血しており、中毒してる可能性も――」
ヴィトの返答は疑いに満ちていた。
「毒?そんなはずはない。そもそも彼女は出血なんてしていない。あれは妹のヘビの血だ。
ジアナからもう連絡が来ている。アレッシアがどういうわけか、あの子の大事なペットを傷つけたって怒っていたんだ」
彼の声は冷たく、突き放すようだった。
「彼女は健康そのものだ。また先に出産しようとしているくだらない芝居だろう。
放っておけ。俺があとで処理する」
医者はさらに説明しようとしたが、ヴィトはすでに電話を切っていた。
医者は私を哀れむように一瞥し、機器を動かすために私の横を通り過ぎた。
このまま見捨てられるのだと思った、その時。
彼は足を止め、振り返った。
まだ良心が、ほんの少し残っていたのだろう。
「二つの命がかかってるんだ。私は医者だ......ただ見ているだけなんてできない」
声には決意が宿っていた。
「実は私の妻も妊娠している。もし彼女が一人でこんな状況になったら......私はきっと耐えられない」
ついに彼は血だまりの中から私を抱き上げ、ファミリーの医療センターへ運び始めた。
私は深く息を吐いた。
この子は助かる。
そう思った。
だが医療センターに着いた瞬間、私たちは同時に立ち止まった。
部屋は空っぽだった。
医療機器も、薬も、手術台さえも――何一つ残っていない。
「え?機材は......?」
医者が呟いた。
「一体どこへ......」
答えはあまりにも明白だった。
ヴィトが、すべてスカーレットがいるクリニックへ運ばせたのだ。
私と、私の子どもを救えたはずの、すべてを。
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