捨てられた秘密の恋人第3話
この話は約1372字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
修司は電話に出てから、二度と戻ってこなかった。
友佳から電話がかかってきて、何を話したのかは知らないが、修司は彼女のためにプライベートジェットを手配したらしい。
皆が修司を笑っていたが、私だけが泣きたかった。
修司は私にとても優しかった。しかし、私は特別な存在ではなかったのだ。
彼の全ての偏愛は友佳に注がれていた。
パーティーはあっという間に終わり、私は兄を車に乗せて家に帰った。
家に戻ると、私はベッドに横になり、正彦の言葉を繰り返し思い出した。
幼い頃から私は口数が少なく、地味な性格だった。
友佳は美しく、活発で、愛想が良かったが、私には何もなかった。
しかし修司は、隅にいる私を見つけてくれたのだ。「温子を待てよ、もっとゆっくり歩け!」
この言葉が、私の中に何年も残っていた。
私は彼に視線を向けるようになり、こっそり見るだけだったのが、いつの間にかじっと見つめてしまうようになった。
修司が友佳を好きだと知っていても、私の心は彼に開かれていた。
三年前、彼は私に白いバラの花束をくれ、その目は優しさに満ちていた。
「温子、付き合ってください」
この言葉はまるで昨日起こったことのように感じられ、今日の彼の冷たさと鮮明な対比をなしていた。
パーティーの後の数日間、修司は私に連絡してこなかった。
やはり彼は私を愛していないし、新しい恋人ができたのだ。
この数日間、私はずっと意気消沈していた。正彦は私の異変に気づき、頻繁に私の部屋に来て話をしてくれた。
テーブルに並べられたダイヤモンドの装飾品を見ると、彼は一瞬驚いた。
「温子、君は真珠が好きだったはずだが、どうしてそんなにたくさんのダイヤモンドを買ったんだ?」
これらがすべて修司からの贈り物だとは、彼には言えなかった。
正彦は私の好みをよく知っていたが、三年も付き合った修司は知らなかったのだ。
私は立ち上がってそれらをすべてゴミ箱に捨てた。
「いい物をどうして捨てるんだ?」
私は苦笑いを浮かべた。「好きじゃないものは、どんなに綺麗でも、置いておく意味がない」
正彦はその言葉の意味を理解できず、私に着替えるよう促した。
「友佳が帰国したから、迎えに行こう。君も気分転換になる」
私の心は再び締め付けられた。
修司がこの数日私に連絡してこなかったのは、おそらく友佳と一緒にいたのだろう。
すぐに兄と私は浅田家に到着した。
家に入ると、広間全体が白いバラで覆われていた。
友佳はドレスの裾を持ち上げて私に駆け寄ってきた。「温子!久しぶり!」
笑いたくても笑えなかった。
実は彼女を嫌いではなかった。私たちは幼い頃からの友達だからだ。
しかし、彼女は修司が好きな人でもある。
心の奥底にある傷が、またじんわりと痛み出したようだった。
何を言えばいいのか分からず、ただ気まずく話題を探した。
「たくさんの白いバラ、本当にロマンチックだね」
友佳は微笑んだ。「全部修司が用意してくれたの。私が白いバラが好きだって知ってるから、街中のバラを全部運びたがってたみたい」
私の心は思わずズキリと痛んだ。
修司が私に告白した日のことを思い出し、何かが繋がり始めたようだった。
修司は友佳に贈りたかったが、友佳が海外にいたので、贈れなかった花を私にくれたのだ。
私は俯いて、今にも溢れそうな涙を隠した。
そうだったのか。告白の花ですら、友佳がいらないものを拾っていただけだったのか。
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