
憂いを払いし春風
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『憂いを払いし春風』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約354字
帝都の社交界では、神崎駿(かんざき しゅん)は桜庭絵理(さくらば えり)のために生きていると囁かれていた。
幼稚園の頃、駿は鉛筆の先から絵理をかばい、思春期には彼女の昼寝を邪魔する蝉を追い払うため木に登った。
成人してからは、絵理の「春っていいね」という何気ない一言のために、世界中の春の名所に十数軒の別荘を購入し、いつでも春のデートに誘えるよう備えた。
記憶を失って道を踏み外した時期もあったが、駿は人生のほとんどを絵理に捧げてきた。
結婚後、絵理がALSと診断され、周囲が離婚を勧めても、彼は黙って意識を失った彼女を背負い、石碑が並ぶ山寺を額を地につけて一歩一歩巡り、「生」の字が刻まれた石を彼女の手で撫でさせ、ただひたすら延命を祈った。
彼の愛を疑うことなどなかった――絵理が死を宣告された、あの厳冬の夜までは。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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