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愛は恨みに、永遠の別れを第2話

この話は約1635字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

あの「方法」とは、つまり私が修治のために「心臓を差し出す」ということだった。

私自身の心臓を摘出し、医師が新たに作製した、まだ一度も臨床試験されていない人工心臓を私に移植する――そういう意味だったのだ。

その結果がどうなるか、私は痛いほどよく分かっていた。

それでも――兄が生きていてくれるなら、私は何だってするつもりだった。

思考が冷たい嘲笑によって現実に引き戻された。

修治は亜矢子を庇い、その瞳には彼女だけが映っている。

「喉乾いてないか?こんな恩知らずのゴミと話す必要はないよ」

「やっぱり俺の亜矢子は優しいな。俺のことを気遣ってくれてる。さすが、俺の可愛い姫だ。お前も、お前の飼ってる犬も、俺が全部守ってやる」

目の前の幸福な光景が、私の胸の奥を容赦なく締め付けた。

元々震えていた心臓が、ますます痛み出した。まるで大きな手に喉を掴まれたかのようで、私は息ができない。

もうこれ以上、二人のいちゃつく姿なんて見ていられない。

修治は一瞬ためらいながら手を伸ばしかけたが、私はそれをかわし、胸の奥にある苦い痛みと嫉妬をぐっと飲み込んだ。

だが、私が一歩踏み出した途端、亜矢子が突然私の肩を乱暴に突き飛ばした。

「どこ見て歩いてるの?私にぶつかるくらいならまだしも、体の弱いお兄ちゃんに何かあったらどうするのよ!」

左肩に走った痛みが胸にまで響き、頭がくらくらして、私はそのまま地面に崩れ落ちた。

口の端から血が滲んだ。

それを見た修治は眉をひそめ、本能的に私を抱き起こそうとした。

しかし、亜矢子はすぐに顔を強ばらせ、彼の胸に飛び込み、涙をぽろぽろとこぼした。

「お兄ちゃん……あの人、私のことすごく怖い目で見たの……!」

私の冷たい視線に気づいた修治の目が、暗く沈んだ。

「桑名遥香(くわな はるか)、みっともないことをするな!

金をせびるために血漿を使って俺を騙そうとするなんて――お前みたいな妹、吐き気がする!」

私は壁に手をつき、よろよろと立ち上がり、気にしていないふりをしながら唇の血を拭った。

「……いいわ。あなたが200万円だけ貸してくれたら、私はこの先一生、あなたたちの前から姿を消す」

修治の拳がぎゅっと握られ、次の瞬間、壁に叩きつけられた。鈍い音が響いた。

亜矢子は彼を抱きしめ、涙をこぼしながら私を見つめた。

その瞳には、憎悪と軽蔑が渦巻いている。

「お兄ちゃん、彼女だって自分の命をおもちゃみたいに扱う人じゃないはずだよ。

それに……昔はあなたの妹だったんでしょ?彼女がそんなこと……

幸いにも、あなたは善人の助けによって救われた。

――なら、その恩返しだと思って、少しだけ手を差し伸べてあげたら?」

その一言が修治の記憶を呼び覚ました。

彼が可愛がっていた妹、彼のことに巻き込まれるのを恐れて、結局彼を見捨て、命金を持って逃げた――あの苦しい過去を。

彼の目の奥に浮かんだわずかな哀しみは、たちまち深い憎しみに変わった。

「こういう、死ぬのが怖くて他人を踏み台にする卑怯者なんて、腐るほど見てきた。

……本当にそうだったとしても、自業自得だ!」

そう吐き捨てると、修治は亜矢子の手を引き、彼女の同情の言葉を遮るように立ち去った。

だが、彼は気づいていない。

その背後で、亜矢子の唇がわずかに歪み、嘲笑を含んだ笑みを浮かべた。

私の指先は無意識のうちに強く握りしめられ、爪が掌に食い込み、鈍い痛みが走った。

その痛みとともに、胸の中の人工心臓がかすかに震えた。

視界がかすみ、二人の姿はもう見えなくなっている。

――ピロン。

スマホが鳴った。

一瞬、何の音かわからず、私はぼんやりと画面を開いた。

そこには【手術費用の支払い完了】という通知が表示されている。

心臓が、再び抑えきれないほどに震えている。

胸元に刻まれた新しい傷跡は、古い傷を覆うようにして、焼けるような痛みを伴っている。

――私の、いちばん大切な兄。

彼はきっと知らないだろう。

彼を救って「善人」と呼ばれ、また彼に「卑怯者」と罵られたのも、すべて私自身だったということ。

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