愛はそこで途切れた第3話
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真由は、いまの私の変化を満足げに眺めていた。
「ちょっと妬けるわね。あなたみたいな人、どうしてそんなに運がいいの?何もかも失っても、結局いい夫をつかまえるんだもの。でも平気。奪うのは得意よ。うちの母も奪えた、私も奪える!」
過去の怨みが一気にこみ上げ、私は拳を固く握りしめた。
けれど、動こうとしたその前に、真由は得意げに微笑むと、自分の頬を思いきり張り、顔を押さえて後ずさりしながら悲鳴を上げた。
「結菜さん、やめて!私を叩かないで!」
拓海がすぐに駆け寄り、私の腹めがけて拳と蹴りを浴びせた。
「悪いママだ!真由先生をいじめるな!」
先週、私は結石の手術を受けたばかりで回復途上だった。五歳の男の子の力は侮れず、刃のように体に刻まれた。
直樹は真っ先に真由を抱え、支えながら階下へ連れていった。
その視線は初めから終わりまで一度も私に向かわず、服に新たに滲んだ血の跡にも目もくれない。
息子は私に唾を吐きかけ、足早に二人のあとを追った。
お腹の痛みで立っているのもやっとの私を、誰一人として気に留めない。
私は電話を取り、救急車を手配した。
医師は縫合部からの滲み出血があると言い、再度の処置が必要だと告げた。
傷の処置をして間もなく、私は高熱を出し、そのまま入院して経過観察することになった。
私は弁護士事務所に返事をして条件を受け入れ、出勤日を決めた。
家に戻ると、鼻を突く酸っぱい臭いが広がっていた。
あの夜の真由の誕生日会の残り物は片付けられず、テーブルの上で腐っていた。
ポチがクンクン鳴きながら走ってきて、私の靴を噛んだ。
まるで二日間も置き去りにした私を責めるように。
私はポチを抱き上げてお腹を撫でると、丸く膨らんでいて、すでに食べた様子だった。
「心配しないで、ちゃんと食べさせてあるよ」
直樹がドッグフードの袋を手に現れ、まるで何事もなかったかのように笑いながら言った。
私は無表情で答えた。
「ポチはとてもお利口だから、人間よりずっと言うことを聞く。ちゃんと一週間分用意してあるし、お腹が空けば自分で食べる。あなたが余計な口を出す必要なんてない」
拓海がリュックを抱えて飛び出し、大声を上げた。
「ママ、ポチはもういいから、早く幼稚園に連れてって!遅れちゃうよ。昨日ママが帰ってこなかったせいで、夕飯も食べられなくて、学校のまずいごはんを食べるしかなかったんだ。ママ、もうこんなことしないで!」
私は一歩下がり、伸ばしてきたその手をすり抜けた。
「スクールバスを手配した。あと二分で来る。今日からはバスで登園。嫌ならパパに送ってもらいなさい」
「君は家で働いていない。子どもの送迎が第一の務めだろう。それすらできないのか」
直樹は眉をひそめ、不快げな目で私を見た。
「心配いらない。今日から違う。仕事が決まった。明日から出社する」
ところが出社当日、法律事務所から「定員に達したため採用は見送る」と無念の知らせを受けた。
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