愛の賞味期限第1話
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藤堂景介(とうどう けいすけ)と結婚して五年。彼は私に至れり尽くせりで、誰もが羨む愛妻家だった。
彼が外に別の家を持ち、そこで若い女を囲っていると知るまでは。
狂乱して彼を問い詰めた時、景介は悪びれもせずこう答えた。
「あいつとはただの遊びだ。ちょっとした刺激が欲しかっただけ。妻の座は変わらずお前のものなんだから、何が不満なんだ?」
だけど景介、私は汚らわしいのはごめんだ。
結局、私はお腹にいた子どもを中絶し、彼に背を向けて去った。
* * *
藤堂景介(とうどう けいすけ)と結婚して五年。彼は私に至れり尽くせりで、誰もが羨む愛妻家だった。
彼が外に別の家を持ち、そこで若い女を囲っていると知るまでは。
狂乱して彼を問い詰めた時、景介は悪びれもせずこう答えた。
「あいつとはただの遊びだ。ちょっとした刺激が欲しかっただけ。妻の座は変わらずお前のものなんだから、何が不満なんだ?」
だけど景介、私は汚らわしいのはごめんだ。
……
家に帰りドアを開けると、テーブルの上に綺麗な小箱が置かれており、景介がソファに座って雑誌を読んでいた。
彼が愛人を囲っていることに気づき、激しく言い争ってからというもの、景介は一週間も家に帰ってきていなかった。
私ももはや、恨みがましい妻のように彼がどこで何をしているのかを探ろうとはしなかった。
もし今日彼が帰ってこなかったら、私、この神崎澪(かんざき みお)の生活の中からこの男の存在は完全に忘れ去られていたかもしれない。
私の帰宅に気づくと、景介は立ち上がり、私の腰を抱き寄せようとした。
私は条件反射のように一歩後ずさりし、彼の手を避けた。
かつてはあれほど恋しかったその腕の中が、今では吐き気すら催す。
景介は一瞬表情を硬くしたが、結局何も言わず、テーブルの小箱を手に取って私に差し出した。
「この前、時計が壊れたって言ってただろ。新しいのを買ってきたんだ。気に入るか見てみてよ」
これが景介なりの歩み寄りであることは分かっていた。
過去五年間、私たちが喧嘩をするたびに、彼がちょっとしたプレゼントを買ってくれば、私はそれを機に機嫌を直していた。
幾つもの夜を涙で崩れ落ちそうになりながら過ごしても、彼が仲直りのサインを出せば、私はすべてを無かったことにして元通りになれたのだ。
しかし、今はもう疲れてしまった。
私はその箱に一瞥もくれず、彼を通り越して二階へ上がろうとした。
景介はため息をつき、どうしようもないといった様子で私の腕を掴み、強く抱きしめた。
「まだ怒ってるのか?」
私は彼の手を振りほどき、何も答えなかった。
私の無言の態度がとうとう彼の神経を逆撫でたのか、景介は眉をひそめ、その顔に次第に怒りの色を浮かべた。
「もう一週間も経ったのに、まだ頭を冷やせないのか?子どもみたいな我儘を言うのはやめてくれないか」
彼の言葉は非難に満ちており、まるで私の方が本当に理不尽なことをしているかのようだった。
私は五年間愛し続けたこの男を見つめ、口元に苦い笑みを浮かべた。
「じゃあ、あなたがこの一週間家に帰ってこなかったのは、私が自分で頭を冷やすのを待っていたからなのね。私が大袈裟に騒いでいると思ってるんでしょ?」
景介は答えなかったが、その沈黙がすべてを物語っていた。
彼は私の言葉を肯定したのだ。
私は目を閉じ、胸の奥をよぎる痛みを必死に無視しようとした。
「それなら、離婚しましょう」
景介は私の手首を強く掴み、その目には隠しきれない怒りが宿っていた。
「澪、言っただろう。あいつとはただの遊びだ。新鮮味が薄れたら手切れ金を渡して別れる。お前の立場を脅かすようなことにはならない。
この数年間、金も愛情も、お前に不足させたことなんてないじゃないか。俺はただ女を一人囲って、仕事で疲れた時の気晴らしにしているだけだ。お前も少しは俺のことを理解してくれないか?」
五年間愛した男の口から、こんなにも恥知らずな言葉が出てくるとは信じられなかった。
彼は一体、私たち女を何だと思っているのだろう。
用が済めば捨てる道具とでも言うのか。
私は必死に彼の拘束から逃れようとしながら、信じられない思いで彼を見つめた。
「景介、あなたはいつからこんな風になってしまったの?気持ち悪い」
景介は苛立ちを露わにし、その顔から最後の優しさすらも消え失せた。
「俺くらいの立場の人間には、こんなことよくある話だ。お前と結婚して五年で、たった一人囲っただけだぞ。十分一途な方じゃないか。この五年間、お前への愛情を値引いたことなんて一度もないのに、これ以上何が不満なんだ。
松本社長を見てみろ。結婚した時から外の愛人が途切れたことなんてないのに、奥さんは一度も騒ぎ立てたことなんてない。みんな見て見ぬふりをしてるんだ。他の人間は我慢できるのに、なぜお前にはできない?」
その強引な理屈に、私は思わず呆れ笑いをしてしまった。
「あなたの言う通りなら、結婚して五年間、私が誰一人囲っていないのはすごく損してるってことね。じゃあ私もあなたを見習って、年下のイケメンを何人か探してこようかしら?」
この言葉は景介を完全に激怒させ、私の手首を握る力はさらに強くなった。
「絶対に許さん!」
見なさい、男とはいつもこうしてダブルスタンダードなのだ。
自分は外で愛人を作り、派手に遊び回るくせに。
自分の妻には大人しく従順な良き妻であることを求める。
一体、どういう理屈だというのか。
私は軽く鼻で笑った。
「自分すら受け入れられないことを、よくもまあ私に受け入れろなんて言えるわね。
離婚して。今のあなたは、見るだけで吐き気がする」
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