愛の最果て第2話
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身体から最後の一滴まで力が抜き取られたようで、ふっと、心が軽くなるのを感じた。
もう決めた以上、自分で自分を苦しめる必要がどこにある。
彼が潔癖症でも、私は違う。
手にしていた掃除道具を、その場に放り出した。
足の痛みを堪え、簡単に顔を洗って歯を磨くと、柔らかなベッドに倒れ込んだ。足の痛みか、それとも別の何かが原因か、その夜はよく眠れなかった。
目の下に濃い隈を作って目を覚ましたとき、俊はまだ帰っていなかった。
仕方なく、まずは自分自身のことを解決しようとした。
足の怪我は化膿し始めていた。赤く腫れ上がった甲を見て、病院へ行かざるを得なかった。
冷たいプラスチックの椅子に腰掛け、看護師が薬を塗ってくれるのを待っていた。
一枚の薄いカーテンを隔てた向こう側で、私は見てしまった。俊が、優子を甲斐甲斐しく看病している姿を。
彼女の左手首には包帯が巻かれ、リストカットの痕のようだった。
俊はスプーンでお粥を一口、また一口と彼女の口元へ運び、その手つきは優しく、丁寧そのものだった。
優子が甘ったるい声で言った。
「お粥、熱い……」
俊は、フーフーと優しく息を吹きかけて冷ましてやった。
優しくて、丁寧で。かつての、私たちとそっくりそのままだった。
彼が潔癖症で、屋台の食べ物など決して口にしなかったのに、私には付き合ってくれた。
あの日、出来立てのたこ焼きを頬張った私が、あまりの熱さに飛び上がると、彼のほうが、まるで自分が火傷したかのように顔を歪めていた。
彼は片手で私のたこ焼きをしっかりと持ち、もう一方の手で、手慣れた様子で鞄から用意していた牛乳を取り出した。
そしてストローを差し、そっと私の口元へ運んでくれた。
冷たい牛乳が、口の中の灼けるような熱さを瞬時に和らげてくれた。
彼の瞳は心配の色に満ち、私の苦痛が和らぐのを見て、ようやく安堵の笑みを浮かべた。
今この瞬間まで、彼の愛を疑ったことはなかった。ただ、あれほど真実だと信じていた愛も目まぐるしいものだった。
そして今、その優しさは、別の女性に向けられた。
その時、場違いにも、私のお腹がくぅっと鳴った。
優子が顔を上げ、私に気づく。彼女の視線が包帯の巻かれた私の足元に落ち、意味ありげな笑みを浮かべた。
「俊先輩、私のこと、迷惑だって思いませんか?私、雨宮先輩みたいに体が丈夫なわけでもないし、家柄がいいわけでもないですし」
俊はすぐに彼女を慰める。
「あいつのどこがいい?ただの乱暴な田舎者じゃないか。優子、お前が一番だよ。優しくて、人の気持ちもよく分かる。そんなこと考えるな。今は体を治すことだけ考えろ」
彼の声は、どこまでも甘やかすような響きを持っていた。
優子は、勝利宣言でもするかのように、挑発的な視線を私に送った。
「俊先輩、雨宮先輩のこと、そんなふうに言っちゃだめですよ。雨宮先輩が怒っちゃいます」
「あいつにお前を怒る資格なんてあるもんか。もしあいつがまたお前に何か言ってきたら、俺が懲らしめてやる」
俊の声には、鋭い棘があった。
私はこの修羅場から逃げ出そうとしたが、看護師に呼び止められた。
「雨宮美桜さん、まだお薬、塗ってませんよ」
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