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愛が燃え尽きるとき第1話

この話は約2444字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

佐野奏太を再び頂点に立たせるため、私は視力と言葉を犠牲にし、システムと契約し彼の運を買い取った。

だが彼は、会社を取り戻すや否や、「目も見えず、まともに喋れないお前なんて、俺には釣り合わない」と、私を切り捨てた。

そして、かつての初恋相手の「やり直したい」の一言で、彼は私を他の男のベッドに送り込んだ。

その夜、傷だらけで見知らぬ男の傍らから目覚めた私は、封印していたシステムを静かに呼び起こす。

「家に帰りたい……」

二日後、私は視力を取り戻し、彼の世界から完璧に姿を消した。

同時に、彼の輝かしい事業と全ての運勢も、跡形もなく消え去った。

* * *

佐野奏太(さの かなた)を再び頂点に立たせるため、私は視力と言葉を犠牲にし、システムと契約し彼の運を買い取った。

だが彼は、会社を取り戻すや否や、「目も見えず、まともに喋れないお前なんて、俺には釣り合わない」と、私を切り捨てた。

そして、かつての初恋相手の「やり直したい」の一言で、彼は私を他の男のベッドに送り込んだ。

その夜、傷だらけで見知らぬ男の傍らから目覚めた私は、封印していたシステムを静かに呼び起こす。

「家に帰りたい……」

二日後、私は視力を取り戻し、彼の世界から完璧に姿を消した。

同時に、彼の輝かしい事業と全ての運勢も、跡形もなく消え去った。

*

「攻略者は任務を早期終了し、現実世界へ戻りますか?」

私の意思を確認すると、機械音が再び響く。「離脱カウントダウン、二日後に開始」

その声と同時に、十年分の苦みが走馬灯のように脳内を駆け巡る。

胸に激痛が走り、血の味が喉奥にこみ上げ、私は血を吐いた。

システムによれば、任務の早期終了には罰があるらしい。それは苦しみ抜いてこの世界で死ぬこと。

私がためらいなく了承した時、機械音にわずかな揺らぎが混じった。

「攻略者には、残り一枚の交換券があります。使用しますか?」

私は青白い瞳を瞬かせた。「わ、私……し、視力を、取り戻したい……」

この世界に来たその日、私は視力と言葉を奏太の運と引き換えにした。

それ以来、目も見えず、言葉もうまく話せない障害者になった。

システムはあのとき忠告してくれていた。

「あなたの選んだ攻略対象には心がありません。それでも、彼を攻略しますか?」

あの時の自信は、十年の苦しみの中でとうに消え去っていた。

今、去る前に一度は見ておきたかった。自分をボロボロにした奏太を。

白い光とともに目の前の闇が溶け、視界が一気に開ける。

そして、鏡に映った自分が見えた。

痩せた体には無数の赤い痕、情事の跡がくっきりと残っていた。

昨夜の行為は激しく荒々しかった。

声も出ないほどの痛みに、逃げようとした私の足首を彼が乱暴に掴み、また引き戻した。

首を締め付け、酒臭い唇で息を奪い、激しい衝撃に体が引き裂かれる思いがした。

あまりの痛みに私は必死に叫んだ。「か、奏太……いた……い……や、やめて……」

けれど返ってきたのは、さらなる暴力だけだった。

状況を飲み込む前に、浴室のドアが乱暴に開かれた。

私は反射的にバスローブをかき寄せたが、その手をあっさり払いのけられる。

煙草を咥えた口元から、嘲るような笑いが漏れた。

「隠すなよ。お前の体で、俺の知らないところなんてあるか?」

煙に咽せながら、私は目を潤ませた。

奏太の眉と目は想像していた通り鋭く整っていた。

彼の愛を得るため、私はこの闇の世界で十年、迷いなく囚われてきた。

十年前、佐野家は一夜にして没落し、両親は自殺に追い込まれた。地に落ちた奏太が、敵に刃を突き付けられた時、私は身を挺して彼を庇い、それからずっと傍にいた。

声にならない声で、彼の名前を何度も呼んだ。「か、奏太……」

私がこの世界に来た唯一の理由は、彼に心を持たせることだった。

しかし、結局、彼が友人に放った言葉はこうだ。

「死んだ親父をあの女が丸め込んでなきゃ、あんな奴と結婚なんてするかよ。

目が見えず、まともに話せない孤児なんて、ただの厄介者だろ」

10年間、私は奏太の事業を支えるため、目の不自由な生活にすら慣れぬうちから、寝たきりの祖父の介護までした。

彼がそう言った時、私はすぐ側にいた。

周囲は彼を止めようとした。「佐野さん、本気で怒らせて逃げられたら、まずいですよ」

だが奏太は鼻で笑った。「むしろ、死んでもしがみついてくるんじゃねぇかと思ってるよ」

奏太が私を突き放したのは、初恋の遠藤桜(えんどう さくら)が帰国し、再び関係を修復しようとしていたからだった。

十年すべてを捧げた私は、ただの邪魔者だった。

私が黙っていると、奏太は逆に顔を近づけてきた。

肌に残った情事の痕に目が止まったのか、彼はふと、私の胸元に鼻を寄せようとした。

私が少し身を引くと、彼は鼻で笑った。

「今さら純情ぶるなよ。

昨夜、泣きながらイってたのはどいつだ?

ん?口では拒んでも、身体は正直だな、吃音ちゃん」

私は顔を熱くした。それは恥ずかしさではなく、怒りだ。

その鋭い眼差しを見つめると、私は寒気がした。

奏太はまだ知らない。あの汚らわしい真実を、私がもう知ったことを。

昨夜、私と寝た相手は彼じゃなかった。

……

奏太の鋭い視線が私を捉える。

「そんなにじっと見て、見えるようになったのか?」

私は一瞬、心臓が止まりそうになった。

奏太は裏社会にも顔が利く。嘘がばれたら、ただでは済まされない。

私はこの世界を去るつもりだった。

最後の時くらい、静かに終わらせたい。

だから、以前のようにおとなしく手を差し出して、探るふりをした。

「ち、ちが……う……」

奏太はよく言っていた。

「お前って、蹴られても殴られても、手を差し伸べたらすぐに寄ってくる野良犬みたいだよな。

小松茜(こまつ あかね)、お前ってさ……本当に、惨めじゃね?」

ずっと言いたかった。私は惨めなんじゃない、ただ、彼を愛していただけだ。

でも、もういい。私が去れば、この世界にはもう彼を無条件で愛する野良犬はいなくなる。

吃る私の言葉に、奏太は鼻で笑い、急かすように言った。

「今日は桜の誕生日だ。遅れるわけにはいかないんだよ」

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