愛が尽きる時に散る想い第2話
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彼は私をベッドに寝かせると、英語の読み物を手に取り、ゆっくりと読み始めた。
私は翻訳家で、耳を慣らすために普段から英語をたくさん聞く必要がある。結婚して以来、瑛翔は毎晩私が眠りにつく前に、こうした英語の刊行物を読んでくれた。
五年間、一日も欠かさず、毎晩。
もちろん、私は彼の時間をこれ以上無駄にしたくなくて、自分からこう切り出したことがある。
「関連資料や動画ならあるから。あなたは毎日仕事で疲れているでしょう、もう読まなくてもいいのよ」
その時、彼は私の額に愛おしそうにキスを落とし、優しい口調で言った。
「でも、俺は詩織のために読みたいんだ。一生ね。
詩織が毎晩眠る前も、毎朝目覚めた後も、見たり聞いたりするものが、すべて俺のことであってほしいんだ」
この五年間、私に関することなら、どんな些細なことでも彼は最優先し、何事も自ら率先してやってくれた。
それに、結婚して何年も経つのに、彼の周りには女性の影が一切なく、友人たちと遊びに行く時でさえ、バーのような場所には決して行かなかった。
瑛翔は若くして傑出し、港市一の大富豪でもある。何年も私のお腹に音沙汰がないのを見た義母は、とっくに彼に何人か女をあてがおうとしていた。
けれど、彼はその度に断り、私のために家族との関係が険悪になることさえ厭わなかった。
その時期、彼の家族も本気で怒り、あらゆる場面で彼に圧力をかけてきた。
やつれた彼の顔を見て、私は一度ならず泣いて彼と別れたいと懇願した。
それでも彼は、その度に私を強く抱きしめ、揺るぎない声で言った。
「別れない。永遠に。何があっても、俺たちは一緒にいるんだ」
かつては、瑛翔のような素晴らしいパートナーを持てた自分を、私自身でさえ羨ましく思っていた。
体の下の感触は温かく柔らかい。我に返ると、いつの間にか瑛翔にベッドまで運ばれていたことに気づいた。
彼は私のために布団をかけ直し、その長い指で私の眉間をなぞった。
私は眉をひそめ、彼の手から逃れた。
「眠いから、やめて」
瑛翔の手は宙で固まり、やがて優しく私の頭を撫でた。
「じゃあ、おやすみ」
月が天高く昇る頃、隣から深いような浅いような寝息が聞こえてくる。私は寝返りを打ちながらなかなか寝付けず、いっそ目を開けた。
瑛翔の慣れ親しんだ安心する香りが私を包み、彼の大きな手は私の腰に回され、強く抱きしめられていた。
彼が眠りながら私を強く抱きしめているのは本当で、そして、彼の心変わりもまた、本当だった。
翌日、瑛翔が公開されたばかりの映画を観に行こうと誘ってくれた。
私が頷くより先に、玄関のベルが鳴った。
執事が入ってきて、ドアの隙間から、白いドレスの裾のようなものが見えた。
「今井社長、お客様がお見えです」
その言葉を聞いた瑛翔は眉をひそめ、ドアの外の姿に気づくと、その声には瞬時に、隠しきれない動揺の色が混じった。
「今日は仕事をしないと言っただろう?なぜ空気が読めない奴が家まで来るんだ?」
私は彼の手に力を込め、なだめるように言った。
「まあまあ、落ち着いて。会社の急用かもしれないじゃない」
私はドアの外の美しい人影に目をやった。
紗希だった。
私が執事に客人を招き入れるよう言おうとしたが、一足先に瑛翔に遮られた。
私が彼を見つめると、彼は視線をさまよわせ、こう説明した。
「詩織、思い出したんだが、会社で急ぎのプロジェクトがあってね。少し戻って処理しないといけないかもしれない。でも安心して、すぐに戻るから。そしたらまた一緒に映画を観に行こう、いいかい?」
私は胸の内に渦巻く感情を抑え、感情のこもらない声で言った。
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