息子つれて薄給激務の時、夫はインフルエンサーに豪邸を買った第2話
この話は約1884字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。
年也がそばにいるから、声を上げて泣くわけにはいかない。
夜ご飯を作り、年也を寝かしつけた後、私はどうしても眠れなかった。
どうして神谷修一は私を騙したんだろう?彼は一体何者なんだろう?
すぐに、この二つの疑問は解けることになる。
午前2時、スマホが鳴った。
出てみると、神谷修一の声だった。
酔っているようだった。「おい、迎えに来い」
少しでも多く稼ぐため、神谷修一は営業の仕事をしている。
顧客の接待で深夜まで働き、酔いつぶれる度に、私が原付で迎えに行っていた。
酔って顔が赤くなった彼を見る度、愛おしさと同時に胸が痛んだ。
こんな素敵な男性に出会えるなんて、本当に幸運だと思っていた。
でも、今回迎えに行く気持ちは複雑だった。
原付ではなく、タクシーを呼んだ。
10分で目的地に着いた。
神谷修一はレストランの個室にいた。ドアが少しだけ開いていた。
隙間から中を覗くと、大きなテーブルを囲んでたくさんの人が座っていた。
皆、裕福そうだった。そんな人達の中で、神谷修一は一番目立つ席に座っていた。
人気テレビスターが神谷修一にタバコに火を点けているのが見えた。
火を点けた後、神谷修一が灰を落とすと、なんとそのスターは両手を合わせて灰皿代わりにしていた。
周囲からは笑い声が絶えない。
誰かが神谷修一に言った。「神谷様、この貧乏ごっこはいつまで続けるつもりだ?お爺様は毎日俺に、お前を正気に戻せと言っているんだぞ」
「神谷様、本当にこの貧乏暮らしが好きなのか?それとも、あの貧乏女に惚れたのか?」
神谷修一は鼻で笑ったのが聞こえた。
「まさか。正直、こんな生活はもううんざりだ。あの女を見る度に、風呂上がりでも虫唾が走る。汚らしくてしょうがない」
神谷修一は悪態をついた。「あんなガサツな女、見たことない。毎日セメント運びなんて、恥ずかしくて見てられない」
彼の言葉は、まるで周りの人間に私を罵倒する許可を与えたようだった。
嘲笑の渦が巻き起こる。
私は自分の手を見つめた。
長年の重労働で、かつてのすらりとした手はゴツゴツになっていた。
黒い汚れは皮膚の奥まで染み込み、洗っても落ちない。
年也が生まれてから、彼が私に触れなくなった理由がわかった。
プレッシャーのせいだと思っていたが、汚いと思われていたんだ。
これらの言葉、これらの文字の一つ一つが、まるでナイフのように私の心臓に突き刺さる。
私たちの間には愛があると思っていたのに、ただのゲームだった。
私への罵倒が終わると、彼らは年也の話に触れた。
誰かが言った。「神谷様、あの女は簡単に捨てられるだろうが、息子さんはどうするんだ?神谷の血を引いている以上、簡単には別れられないだろう」
年也の話が出た時、彼に少しは愛情が残っていることを期待した。
しかし、神谷修一の言葉は私を驚愕させた。
「あの子は生まれつき病気なんだ。そんな奴を俺の子とは思えない。金で片付けて終わりだ。俺の子は健康体でなければならない」
私は膝から崩れ落ちそうになった。
彼が年也をそんな風に思っていたなんて。
家で、年也が抱っこを求めても無視していた理由がわかった。
嫉妬していると思っていたが、本当は年也を欲していなかったんだ。
でも、神谷修一、もし欲しくなかったなら、私が中絶しようとした時、なぜ止めたの?
私の気持ちはゴミ同然、ただのゲームだったかもしれない。
でも、どうして子供にまでそんな仕打ちができるの?
年也はパパが大好きなのに。
パパの注目を切望しているのに。
ゆっくりとしゃがみ込み、手の甲に歯を食いしばった。
大粒の涙がこぼれ落ちる。心臓が砕け散りそうだった。
彼らの会話から、神谷修一が実は大富豪の息子だと知った。
彼の家族は100年前から続く名家で、近年さらに勢いを増しているらしい。
彼はそんなに裕福だったんだ。
そして、桃井晴香は神谷修一の初恋の人、「白月の君」だった。
神谷修一がアプローチした時、桃井晴香は貧しい青年を好きだった。
神谷修一は貧乏人との恋愛に何の面白みがあるのか理解できず、桃井晴香の言う「真実の愛」を試すために私を選んだのだ。
今、桃井晴香は現実を見て彼の元に戻り、神谷修一も私と別れることを考え始めた。
だから、彼は何のためらいもなく桃井晴香に8億円のヴィラを買ってあげたのに、年也の100万円の手術費用すら出すのを渋ったんだ。
もし年也が幼い頃に手術を受けられていたら、今よりずっと楽だったはずなのに。
この前病院に行った時、医師はもう手術が間に合わないかもしれないと言っていた。
その時、神谷修一はアルバイトを増やすと言っていたのに。
どうして彼はこんなに残酷なんだろう?
年也は彼の実の息子なのに!
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)