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息子が夫の初恋をママと叫んだから、転生後は堕ろすことに決めた第3話

この話は約2127字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

南が全力で駆け寄り、血の気の引いた顔で、階段から転げ落ちそうになる寸前に彼女をかろうじて受け止めた。

私は体勢を立て直し、二人を見つめた。

南の心痛が、目に見えるほどに凝縮されていた。

夕木は目に涙を浮かべ、私を訝しそうに見つめながら言った。

「真夏、私が悪かったんです。神崎社長に付き添ってもらうなんて、お詫びします。でも、それほどお怒りでも、私を階段から突き落とすことは?」

南はその言葉を聞くと彼女を抱き上げ、私を怒りに燃える目で睨みつけた。

「真夏、なぜ彼女を傷つけるんだ!彼女は怪我をしたばかりだって分かっているだろう?もし落ちていたら、命がなかったかもしれない!

お前、いつからこんな風になってしまったんだ。なんて冷酷なんだ」

彼は私を強く押しのけ、彼女を抱えたまま急ぎ足で去っていった。

私のお腹が手すりにぶつかり、冷や汗が流れるほどの痛みが走った。

死の淵に立たされる感覚が再び襲ってきた。

私は泣き叫んだが、南は一度も振り向かなかった。

たとえ今世、南が夕木の流産を私のせいにしなかったとしても、彼はやはり私を選ばなかった。

血が太ももを伝ってゆっくりと流れ落ちた。

周囲の看護師が私に気づき、急いで診察室に運び込んだ。

医師は眉をひそめた。「状況は楽観できない。流産を防ぐのは非常に難しい」

私は予約票を取り出し、嗄れた声で苦しそうに言った。「先生、諦めてください」

前世、私は一郎にできる限りの全てを捧げた。だが、彼はその思いに応えず、むしろ他人と共に私の心臓を刺すようなことをした。

彼が私を母親として欲しがらないのなら、今世は別の場所に生まれ変わればいい。

傷だらけの私の心には、もう彼を収める余地はなかった。

冷たい麻酔薬が体内に入り、私の心と同じように骨の髄まで冷えた。

目が覚めると、身体は空っぽの箱のように、風が抜けていく感じがした。

一郎とこの世でつながっていた唯一の絆が、完全に断たれたのだと知った。

スマホがチーンと鳴った。見知らぬアカウントからのメッセージだった。

南と夕木の鎖骨のタトゥーが重なり、手を握り合った写真。

この一件で、彼女はもはや陰に隠れるつもりはないらしい。

だが、今の私は彼女と何かを争う気など全くなかった。

返信せず、アカウントをブロックした。

三日後、私は家に戻った。

十年近く住んだ神崎家の屋敷は、私が去る前と変わらなかった。

フォトウォールには、私と南の過去がびっしりと貼られていた。

私は彼より二つ年下。

五歳の時、幼稚園の発表会。南と舞台で童話の結婚式を演じた。

十二歳の時、初めて生理が来た。南は私が重い病気になったと思い込み、私を抱きしめて泣きじゃくった。

十五歳の時、両親が亡くなった。南は私の肩をポンと叩き、優しく言った。「怖がらなくていい。俺がいるから」

二十一歳の時、彼が海外留学から帰国した。酔った勢いで、初めて私にキスをした。

私の心は、南という名の深淵に完全に落ち込み、粉々に砕け散った。

……

私はすべての写真を剥がし取った。

その時、南が帰ってきた。

逆光の中、彼が近づいてくる。その表情は読み取れなかった。

「どうして写真を全部剥がしたんだ?」

円満に離れるため、私は適当に答えた。「リフォームしたいから」

彼は答えず、私と一緒に写真を整理し始めた。

しばらく沈黙が続いた後、彼が口を開いた。

「俺のことが好きだから、あの時は一時の感情で愚かなことをしてしまったんだろうな」

「夕木は大事には至らなかった。彼女は君を許すと言ってくれた。責任を追及はしない。

ただし、一つだけ条件がある」

私は顔を上げ、彼の言葉を待った。

南が唇を結んだ。

「母さんが俺たちのためにデザインしたウェディングドレスだ。

そのドレスで撮った結婚写真はすごく良く撮れてたよな。夕木はウェディングドレスを着たことがなくて、試着してみたいらしい」

私は冷たく言った。「でも、それは私のサイズよ」

「彼女のサイズは君とほとんど同じだ」

彼は即座に言い返した。

私は低く笑った。「彼女のサイズを、どうして知ってるの?」

南の顔色が突然曇り、少し逆上した。

「真夏、俺は真剣に話し合おうとしているんだ。わがままを言うな。

君が故意に人を傷つけたのが先だろう?彼女が許してやると言ってくれたのは、俺が何度も説得した結果だ。図に乗るな。

結婚式の時には、返してやるから」

「わかった」

私はきらめくウェディングドレスを持ち出した。

これは神崎おばさんが、私と南が付き合っていると知って急いでデザインしたものだった。その時、彼女はすでに癌を患っていた。

ドレスが完成した後、彼女は無念そうに目を閉じた。

前世、私は神崎おばさんの代わりに神崎家を守った。

今世は、自分のために生きる。

南はドレスを受け取ると、顔に喜びを満面に浮かべ、すぐに家を出ていった。

一時間後、私は再び夕木から別のアカウントでメッセージを受け取った。

【ドレスも私のもの、人も私のもの】

ウェディングドレスをまとった彼女は、まるで咲き誇る月下美人のようだった。

南が彼女の手を握り、目に映る限りの優しさを注いでいる。

その時、私はドレスの裾に、何か不明な液体が付着しているのに気づいた。

胃の底から嫌悪感が込み上げてきた。

私は文字を打ち込んで送信した。【全部あげるわ】

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