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心に染み付いた感情に気付いた時第2話

この話は約2207字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

歓喜のあまりなのか、康穂は一夜の快眠を得た。翌日の朝9時になって、ようやく目が覚めたのであった。

彼女が目覚めたことを知った使用人が慌てて駆け上がって、泣きながら彼女に話した。

「康穂様、ようやく目覚めたのですね。旦那様は貴方の料理に慣れてしまいまして、私達が作った朝食と淹れたコーヒーじゃあ喉にも通らないと大層お怒りになられたのです。どうか私達を助けてください」

それを聞いて康穂は軽く身支度を終わらせて、キッチンに駆け込んだ。

20分後、彼女は熱々の朝食を持って、書斎に入った。

口に入るコーヒーは濃厚な口触りでありながら香りも損なわない出来で、サラダもちょうど良い酸っぱさと甘さが溶け込んでいる、彼のお気に入りの味だ。

それを味わって、司はようやく険しい顔を緩めた。

彼が朝食を食べ終わると、傍に待機していた康穂はすぐに食器を片付けた。

出かける前に、地面で砕けているコップを見ながら、彼女は自分がもうすぐで鏡北市から出ることを思い出した。

十数秒悩んだが、彼女は言い出すことを決めた。

「司さん、今後の食事はシェフに任せましょう。貴方の好みの味は全てレシピにまとめて、シェフに渡しますから」

彼女の言葉を聞き、司は視線を上げて、その鋭い眼光で彼女を射抜いた。

「どういう意味だ?」

契約書の中にある守秘事項を思い出した康穂は、どう説明するか分からず、しばらく考えた後ようやく口を開いた。「つまりですね、ほ……他にやることが出来たから、いつも料理を作ってあげることは出来ないかも知れませんと言いたかったのです」

正確に言うと、彼女が離れた後では、二度と食べることは出来ないと彼女は心の中で訂正した。

「やることがある?」

その言葉が司の心の中で引っかかり、もしかしたらまだ昨日のことで怒ってる可能性を考えたら、彼の声が一瞬で冷たくなった。

「昨日愛してないと言ったから、怒ってるのか?替え玉としてここに来た以上、替え玉としての覚悟が出来てるはずだ。そして何よりも分かるべきなんだ、自分の意中の人より替え玉を好きになる奴はいないということをな」

彼がこんな誤解をするとは康穂は少しも思ってなく、慌てて誤解を解こうとしたが、既に彼が眉間にしわを寄せながら立ち上がる姿が目に入った。

「もういい、午後にオークションがあるから一緒についてこい。気に入ったものがあったら買っておけ、それでこの件はお終いだ。二度とこの件を掘り返すなよ、あんたの機嫌取りをする暇はないんだ」

「違います、私は怒ってなんていません、私はただ……」

司は彼女が断る前に彼女の手を引っ張って階段から降りていった。

康穂は彼がこういう性格だと知っていたから、ただため息をつくだけで、大人しく彼の後についていった。

オークション会場についた後、司は彼女の好みを聞くこともなく。

ジュエリーだろうが瓷器だろうが、全部買い取る指示を出した。

たったの30分で競い勝った物はもう既にスポーツカーのトランクを満タンにできる程だった。

周りからの視線を耐えられず、康穂は彼を止めようと声をかけた。

「もういいですよ、これ以上は必要ありません」

その言葉を聞いてようやく司がやめる指示を出した。

彼が立ち上がり帰ろうとした時、ちょうどスタッフが次の品を出すところだった。

「こちらはデザイナー最上環奈さんの処女作、ジェイドブレスレットでございます、最低金額は4千万円からです」

環奈の名前を聞いた司の体は一瞬で固まり、もう一度元の位置に座り直した。

今度彼は自分で金額を出すことにした。

「6億!」

康穂ですらこの金額に対して驚きを隠しきれなかった。勝負は決まったと誰もが思っていた時、後ろから彼女にとって聞き馴染みがある声が聞こえてきた。

「10億!」

振り返ると、そこにいたのは新尾昭宇(あらおあきたか)の顔であり、一瞬で康穂の心に嫌な予感が湧き上がってきた。

昭宇は新尾家の三男であり、とんでもない人物として知られている、彼と司はいつも馬が合わないことが有名であった。

二人が出会う度に、争って大騒ぎを引き起こしていた。

今度も、いつも通り二人の争いが始まった。

ブレスレットのために、二人は意地を張り出して、6億の金額から160億まで引き上げっていった。

会場の人は皆この天文学的な数字に驚いていたが、昭宇はまだ諦めるつもりはなく、一気に金額を180億に引き上げて、ドヤ顔で司を挑発したのであった。

その顔がまるで、「お前が欲しがってる物なら、たとえ全財産を投げ売っても奪ってやるよ」と言わんばかりだった。

しかしあのブレスレットは環奈自らデザインしたブレスレットであり、司にとっては重要な意味を持つブレスレットだ。それを黙って他人に奪われるなんて彼には決して許せなかった。

そして彼は200億の金額を出して、昭宇に冷たい笑みを返すのだった。

「この前たかがスポーツカーのために400億を出したよな、今度はたかがアクセサリーのためにこんな大金を出して、一体親から何ヶ月軟禁されるのやら」

その言葉を聞いて、昭宇は喉まで来た言葉を飲み込んだ。

しかし司の偉そうな顔を見て、昭宇の中のモヤモヤが再度燃え上がってきた。

数秒間考えた後、昭宇は視線を康穂に移り、そして意味深な笑顔を見せながら口を開いた。

「そんなにそのブレスレットが欲しいのか?なら分かった、お前の隣にいる美人さんを俺に一晩貸してくれたら、譲ってやろうぜ。前から目をつけてたんだ、あの子に」

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