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彼に騙され続けた、聴覚障害のある私第2話

この話は約1154字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

航平のパーティーには、私はほとんど顔を出さない。

彼の友達は、私のことを露骨に嫌っている。

今日みたいなことが初めてじゃない。偶然でもなんでもない。

いつも真帆が先頭に立って仕掛けてくるんだ。

彼らが私を嫌っているのは、要するに、私が航平には釣り合わないと思っているからだ。

航平も希美も、そして真帆たちも、幼い頃から裕福に育ってきた連中だ。

希美は名家の令嬢で、何をやらせても一番だった。

一方の私は、奨学金がなければ大学にも通えなかった、聴覚障害者だ。

補聴器を外したら、簡単なやり取りさえままならない。

航平だって裕福な家の生まれで、しかも端正な顔立ちをしている。

ああいう人たちは、どこに行っても「特別」な存在なんだ。

だけど、運命は彼らにひどい仕打ちをした。

河野家は倒産し、航平は莫大な借金を背負い込んだ。

希美はあっさり彼を捨て、海外へ飛び立った。

取り立て屋の人たちは、航平の悪夢だった。それが、いつしか私の悪夢にもなった。

ある日、航平がぼろぼろに殴られた。

彼は折れた足を引きずりながら、コンビニの入り口まで這ってきて、助けを求めた。

あの日はもともと、私の夜勤じゃなかった。

後になって、同僚が代わってくれて本当に良かったと、何度も胸を撫で下ろした。

もしそうじゃなかったら、航平がどうなっていたか、考えただけで怖くなる。

私は航平を倉庫の奥に隠した。

血の跡を辿って、取り立て屋たちは店に入ってきた。

見上げるような大柄で、腕は私の太腿くらいに太かった。

知らないと私が言うと、拳を振り上げて殴りかかろうとした。

私は補聴器を外し、真っ直ぐに睨み返しながら、通報ボタンを押し込んだ。

面倒になるのを嫌がって、彼らはすぐに逃げていった。

彼らがいなくなったのを確かめてから、震える足で航平のところへ駆け寄った。

彼は血を流しすぎて、すでに意識を失っていた。

同僚に仕事を頼んで、私は彼を病院へ運び、持っていた金を全部、治療費に払った。

意識を取り戻した彼は、私に「誰だ」と尋ねた。

私のことを覚えていないのはわかっている。

でも、私は忘れない。

昔、誰かにいじめられて、補聴器をおもちゃみたいに投げ合われていたとき、やめろと叱りつけて、取り返してくれたのは、航平だった。

三ヶ月間、私はぴったりと寄り添って彼の世話をした。

彼が私に向ける眼差しは、いつしか戸惑いから、信頼へと変わっていった。

それから私は、彼が少しずつ借金を返していくのを手伝った。

彼は私を強く抱きしめて言った。

「紗耶香、借金が全部片付いたら、世界で一番の結婚式を挙げよう」

そう言って、銀の指輪を私の薬指にそっと通した。

いつか必ず、もっと高価な指輪に取り替えてみせると、彼は約束してくれた。

八年が過ぎ、彼は本当に借金を完済した。

やっと二人で結婚できる、そう思った矢先に、希美が戻ってきた。

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