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幾星霜を君と共に、末永く幸せを第1話

この話は約2334字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

立花泰成(たちばなたいせい)が99回目の浮気をした後、川口陽菜(かわぐちはるな)はついにこの結婚を諦める決心をした。

彼女は凛とした態度で、スポットライトの下に立ち、口元に笑みを浮かべていたが、心は冷え切っていた。

結婚して3年、これは夫の浮気疑惑を99回目に釈明する場だった。

「立花夫人、本当にご主人が浮気していないと信じているのですか?」

陽菜の笑みが一瞬固まった。もちろん信じてなどいなかった。だが、泰成を諦めきれず、これまで何度も彼を許し、甘やかしてきた。ただ、今回はもう、これ以上続ける気にはなれなかった。

「私は、今までと同じように、夫を信じています。どうかくだらないことに労力を割くのはおやめください」

泰成は有名な司会者であり、大金持ちの投資家でもあった。メディアにスキャンダル写真を撮られるたび、陽菜が否定するのが常で、その決まり文句は、もはやメディアにも暗記されているほどだった。

* * *

立花泰成(たちばなたいせい)が99回目の浮気をした後、川口陽菜(かわぐちはるな)はついにこの結婚を諦める決心をした。

彼女は凛とした態度で、スポットライトの下に立ち、口元に笑みを浮かべていたが、心は冷え切っていた。

結婚して3年、これは夫の浮気疑惑を99回目に釈明する場だった。

「立花夫人、本当にご主人が浮気していないと信じているのですか?」

陽菜の笑みが一瞬固まった。もちろん信じてなどいなかった。だが、泰成を諦めきれず、これまで何度も彼を許し、甘やかしてきた。ただ、今回はもう、これ以上続ける気にはなれなかった。

「私は、今までと同じように、夫を信じています。どうかくだらないことに労力を割くのはおやめください」

泰成は有名な司会者であり、大金持ちの投資家でもあった。メディアから広く注目を集めている。

メディアにスキャンダル写真を撮られるたび、陽菜が否定するのが常で、その決まり文句は、もはやメディアにも暗記されているほどだった。

記者たちのひそひそ話や嘲笑が聞こえてきて、陽菜自身も馬鹿馬鹿しく思えた。

長年、泰成を愛することがもはや断ち切れない中毒になっていた。どんなにひどい男でも、別れようと思ったことはない。

もしも会見前に、泰成のあの言葉を耳にしていなかったら、今でも現実を見ずにいたかもしれない。

……

「兄さん、これで99回目だぞ。川口への裏切り。あの時の恨み、まだ消えてないのか?」

訊ねたのは泰成の従弟林健翔(はやしけんしょう)だ。彼は昔から陽菜を「芝居がかった女」と嫌っていた。

「忘れるわけないだろ。親の因果は子に報いらせる。あいつの父が死んだからって、すべてが無かったことになるわけがない。

手を尽くしてあいつを嫁にしたのは、辱め、苦しめ、僕の前で泣かせるためだ。何度も自殺をちらつかせては、結局は許してくれる。毎日地獄の日々を送らせる、これほど痛快なことはない」

泰成は煙を吐き出し、酔いがかった目を得意げに細めた。

「でもさ、あいつの父がおじさんを自殺に追いやったのは親世代の話だ。もう許したらどうだ。それに、あいつの家の財産は全部取り返しただろ?女のために自分をダメにするのはやめろよ」

泰成は黙った。自分がここまでやってきたことが、陽菜への復讐なのか、それとも自分自身を苦しめているだけなのか、わからなくなっていた。

「僕の味方か?なんであの女の肩を持つ?」

泰成の深い瞳が冷たく健翔を射抜き、周囲の空気を凍りつかせた。

「もちろん兄さんの味方だよ。飽きたら捨てればいい。もっといい女を紹介してやるから」

泰成は返事せず、目の前の赤ワインを一気に飲み干した。

陽菜は呆然と立ち尽くしていた。耳を疑うような言葉。泰成のオフィスのドアの隙間から、かつて自分を深く愛してくれたはずの男が、今では憎しみに満ちた表情で自分のことを語っているのが見えた。

陽菜の父親は元々泰成の父親の部下だった。しかし立花家を裏切り、泰成の父親を自殺未遂に追い込み、今も意識不明のままだ。

川口家が栄えた半年後、陽菜の父親は事故で亡くなり、泰成は奪われた財産を取り戻した。

陽菜は彼が自分を恨んでいることを知っていた。だから泰成がしつこく言い寄ってきた数年間、彼女は一度も心を動かさなかった。

あの大火事で泰成が命がけで助けてくれなければ、自分がいつの間にか彼を愛していることに気づかなかったかもしれない。

99回目のプロポーズでようやく承諾した時、陽菜は愛のために結婚してくれるのだと思った。愛が憎しみを乗り越え、因縁を消し去ってくれると信じていた。

だが今日になってやっと知った。すべてが復讐のためだったのだ。

そうだ、泰成のような執念深い男が本当に自分を愛するわけがない。もっと早く気づくべきだった。

陽菜はメディアに一礼すると、振り返らずに会場を後にした。

99回のプロポーズには、99回の許しで報いた。これで互いに借りはない。

早瀬昴(はやせすばる)から8回目の着信があった時、陽菜はようやく電話に出た。

「先輩、助けてください!この文化財、先輩にしか修復できません。どうか僕を哀れんで、手伝ってください」

陽菜は考古学界で最も有名な修復師だった。昴の話していた仕事は、現地から動かせないためY国で修復を行う必要があった。

以前から報酬も十分に提示されていたが、泰成のためにずっと断り続けていた。

だが今回は即座に決断した。

「わかった。ビザの手続きをお願い」

予想外の返答に、昴は一瞬言葉を失ったが、すぐに喜びの声を上げた。

「本当にいいんですか?すぐにビザを手配します。ただ、現地は戦争中ですが、安全は絶対に保障します」

陽菜は声もなく笑った。いまの自分の状況よりひどいことなんて、あるかしら。

「大丈夫。できるだけ早く手続きを進めて」

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