幼なじみを偏愛する夫第2話
この話は約1153字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。
私はずっと前から、直美の口から聞かされていた。冬真には幼なじみがいて、幼い頃から一緒に育った。
ただし、直美が彼女の話をするたびに、目には嫌悪が満ちていた。
「清美は、もともとうちの運転手の子供よ。冬真と一緒に遊んで育ったの。彼女が6歳のとき、仕事のため、その父親が冬真の父親を乗せて出かけたら、事故に遭ったの。
その子は小さい頃から母親がいなかったの。だから、好意で彼女を引き取ったのよ。何一つ不自由させたことはない」
この言葉を言い終えた後、直美は深くため息をついた。
「しかしあの子、感謝しないだけならまだしも、小さな頃から下心を抱き、三井家の嫁になろうと考えるなんて!私のこと、舐めているのかしら?」
直美は冬真に悪影響が出ないように、清美を海外留学させた。
冬真はそれを知ると、直美と長い間揉めていた。彼は毎日だらしなく酔い潰れ、会社のこともほったらかしにした。
私と出会うまでは、少しも落ち着くことはなかった。
直美が私にあの家伝のバングルをくれたとき、手の甲を軽く叩きながら言った。
「蛍琉、あなたは冬真を救い、三井家も助けたのよ」
その時、私もそう思った。
ところが1か月前のある日、冬真は私を待ち合わせにすっぽかした。
彼はいつも礼儀正しく、私にも思いやりがあった。
しかしその日、私たちは夕食の約束をしていたのに、彼はなかなか現れなかった。
私は何度電話をかけても繋がらなかった。
レストランの席が入れ替わるまで待って、私は一人でタクシーに乗って帰宅した。
車の中で、彼から短いメッセージが届いた。
【用事で遅れた】
私は会社の急な用事だと思い、深くは尋ねず、彼に焦らないように伝えた。
しかし、インスタを見ると、彼の親友が投稿した写真が目に入った。
冬真の友人たちは、中央にいる女の子を取り巻いてあがめていた。
女の子は綺麗な顔で、ふざけた表情をしていた。
冬真はその子の隣に座り、その美しい目で優しく彼女を見つめていた。
投稿にはこう書かれていた。【ある人の長く会えなかった幼なじみが帰ってきたので、無理やり歓迎会に引っ張ってきた】
私はスマホを閉じると、突然乗り物酔いのように気分が悪くなり、吐きそうになった。
その日、私は冬真に怒らなかった。むしろ、事前に酔いを覚ますものまで用意していた。
彼が帰宅したのは深夜で、強烈な酒の匂いがシダーの香りを完全に消していた。
私は彼に酔いを覚ますものを差し出したが、突然、彼に手首を強く掴まれた。
彼は意識がはっきりせず、私を見つめながら、バングルを外そうとしていた。
そして、口ごもりながら言った。「これは清美のものだ。清美にあげる。お前にはやらない……」
意識を失っている彼を見つめながら、私は徒労に「冬真、私は誰?」と問いかけた。
返事はなかった。
広く空いたリビングで、私はだんだん涙を浮かべた。
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)