年越しの裏切り第1話
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大晦日の夜、私・早瀬未来(はやせ みくる)はドローンの生中継で見てしまった。
結婚五年の夫・早瀬誠(はやせ まこと)が、彼の幼馴染の女・白石しおり(しらいし しおり)と熱いキスを交わしているのを。
私は冷静に生中継を消して、彼に電話をかけた。
呼び出し音が長く鳴り、ようやく彼が出た。背景は騒がしい。
「どこにいるの?」私は尋ねた。
短い沈黙の後、彼は言った。
「会社だよ。残業してるって言っただろう?」
「彼女と一緒に残業してるの?」
電話の向こうはさらに長い沈黙。
私は自分の声が恐ろしいほど冷静なのを聞いた。
「あなたはいつもそう。答えにくい質問になると、黙り込む。
もう二度と、答えなくていいわ」
* * *
大晦日の夜、私・早瀬未来(はやせ みくる)は地元テレビ局のドローン生中継を見ていた。
川沿いの花火が絢爛と咲く中、結婚五年の夫・早瀬誠(はやせ まこと)が彼の幼馴染・白石しおり(しらいし しおり)と熱烈なキスをしていた。
私は冷静に生中継を消して、彼に電話をかけた。
呼び出し音が長く鳴り、ようやく彼が出た。背景は騒がしい。
「どこにいるの?」私は尋ねた。
短い沈黙の後、彼は言った。
「会社だよ。残業してるって言っただろう?」
「彼女と一緒に残業してるの?」
電話の向こうはさらに長い沈黙。
私は自分の声が恐ろしいほど平静なのを聞いた。
「あなたはいつもそう。答えにくい質問になると、黙り込む。
もう二度と、答えなくていいわ」
電話を切ると、部屋は恐ろしいほど静まり返った。
テーブルの上の料理は、すっかり冷めていた。
私は料理をずっと見つめ、急にひどく疲れを感じた。
五年前の今日、誠は私たちの小さなアパートで鍋料理を作ってご馳走してくれた。
食事中に、彼が突然ベルベットの箱を取り出した。
「未来、結婚してくれ。
今は銀の指輪しか買えないけど、必ずいつかダイヤの指輪を送るから」
そう言った彼の目は驚くほど輝いていた。
あの時の銀の指輪を今も身につけている。黒ずんでしまったけれど、外す気がない。
彼は私に最高の生活を与えると約束すると言った。私は信じた。
起業したばかりの頃、会社には二人しかいなかった。
彼は技術を担当し、私は財務と営業を管理した。
昼間は彼がコードを書き、私が顧客を回り、夜は一緒に梱包・発送作業をして、廊下に座ってカップ麺をすすった。
ある時、入札に間に合わせるため、私は三日間で五時間しか眠れず、最後は印刷店で倒れた。
誠が私を背負って病院に行く間、ずっと震えていた。
彼は目を赤くして言った。
「もう起業なんてやめる。俺が就職する。君をこんなに疲れさせられない」
私は首を振った。「だめよ、もう少しで成功するんだから。私、頑張れる」
そして私たちは本当に成功した。
会社が初めての融資を獲得した日、誠は私を抱いてオフィスでぐるぐる回った。
それから突然しゃがみ込んで、顔を私の胸に埋めた。
肩が濡れるのを感じた。
彼は言った。「未来、一生君を大切にする」
三年目、会社は軌道に乗った。
私たちは家を買い、車を買い替えた。
四年目、彼は片膝をついて、ダイヤの指輪を贈ってくれた。
「未来、子供が欲しい」
私は下腹部に手を当て、微笑んで頷いた。
その頃、私はちょうど財務責任者としての地位を固めたばかりだったが、彼の期待に満ちた目を見て、辞表を出した。
妊娠二ヶ月の時、つわりがひどくて入院した。
誠は毎日会社と病院を往復し、目の下のクマが恐ろしいほど濃くなった。
私は彼の顔に触れながら言った。「看護師を頼もうよ」
彼は首を振った。「俺の妻の世話は、俺がする」
その時は、これが幸せの形だと思っていた。
半年前、彼の幼馴染・しおりが離婚して帰国するまでは。
誠が彼女を空港に迎えに行った。
その夜、彼は遅くに帰ってきて、私には馴染みのない香水の匂いがした。
コートを脱ぎながら彼は言った。
「しおりが一人で子供を連れて帰ってきた。かわいそうだから、住む場所を探してあげたんだ」
それ以来、「かわいそう」がしおりの代名詞になった。
しおりの車が故障した、誠が修理に行く。
しおりの子供が病気になった、誠が病院に付き添う。
しおりの機嫌が悪い、誠が深夜まで酒に付き合う。
私の不安は質問から疑問、疑問から喧嘩へと変わっていった。
誠は言った。「未来、君は前はこんなじゃなかった」
私は言った。「誠、あなただって前はこんなじゃなかった」
それから彼は黙り込むようになった。
私がどんなに騒いでも、どんなに泣いても。
彼はただ私を静かに見つめ、それから背を向けて去っていく。
まるで私だけが正気を失っているかのように、私を一人きりにして去っていった。
今日の大晦日の夜さえ、彼は嘘をつくのも面倒になったようだった。
電話では安直に「会社で残業」と言った。
だが生中継の画面では、別の女とキスをしていた。
玄関でドアが開く音がした。
誠が入ってきて、私とテーブルいっぱいの料理を見て、動きが止まった。
「まだ起きてるのか?」
私は黙っていた。
彼が近づいてくる。彼から漂ってくる香水の匂いで吐き気がした。
「会社で急な用事が……」彼が口を開いた。
私は遮った。「明日、妊婦検診よ。朝八時」
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