年下の弟に転生した彼に執着されて第3話
この話は約1253字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
七年前、私はある「従来の定番とは異なる小説」の中に入り込んでしまい、ヒロインの佐倉遥として新たな人生をスタートさせた。
私に課せられたミッションは、この物語の悪役の主人公――佐藤颯真を攻略し、救済すること。
彼の陰鬱で腹黒く、病的な性格を、明るく快活な少年へと変えるのが目的だった。
彼が私に対する好感度を100%にすることができれば、20億円のボーナスが手に入る!
しかし、七年にも及ぶ攻略の結果は、彼の偏執的な支配欲と病的な執着だけだった。
今でも脳裏に焼き付いている彼の最後の言葉。
「浅川真奈、お前が死んでも、俺から逃げられると思うな!」
孤児院での遭遇その声が頭の中で繰り返され、私はその場で硬直してしまった。少年が再び警戒した声で尋ねた。
「聞いてるのか。あんた、誰だ?」
その声で、ようやく回想から抜け出し、彼を恐る恐る見つめながら口を開いた。
「わ、私は......」
無意識に後ずさりしようとした瞬間、肩を軽く叩かれた。
振り返ると、そこには孤児院の院長が立っていた。
「佐倉悠真、無礼なことを言っちゃいけない。この方は浅川社長だ」
「佐倉悠真?」
「そうだ。この子もここで育った孤児で、今18歳だ。養子縁組のタイミングを逃してしまったけど、今はこの街で大学に通ってる。夏休みだから、ここで手伝いをしているんだよ」
院長の説明を聞いて、私はひそかに胸をなでおろした。良かった、彼は颯真じゃない......
「佐倉悠真、素敵な名前だね」
不安な気持ちを抑え込み、改めて少年に視線を向けた。
よく見ると、この子もなかなか端正な顔立ちをしている。しかし、颯真とは違う。
彼の瞳には陰りがあるものの、それはどこまでも澄んでいて清らかだ。
それに比べて、颯真が私を見る時、その瞳にはいつも欲望が渦巻いていた。二人の雰囲気は、まったく異なる。
さらに言えば、
颯真なら、私をこんなにも遠くに離すはずがない。
彼なら、私の手首を掴み、「永遠にそばにいると約束しろ」と迫ってきただろう......
院長は、私が悠真に興味を示したのを見て、彼を私の前に押し出した。
「浅川社長に挨拶しなさい」
「違う違う、『お姉さん』と呼ぶんだ」
少年は私を見下ろしながら、少し不思議そうな目をしていた。
「お姉さん」
「なんでそんな変な目で私を見るの?」
そう言いながら、彼への視線を慌てて外した。
「あなた、私が知っている誰かにとても似ているから」
心臓が抑えられないほど高鳴る。彼の目が、颯真のそれにあまりに似ていたからだ。
「ちょっと用事があるから、私はこれで」
そう言って立ち去ろうとした瞬間、背後から誰かが私の服の裾を掴んだ。
振り返ると、悠真がほんのり微笑んでいた。
彼は私よりずっと背が高く、その黒い影が私を完全に包み込む。
「お姉さん、なんだか僕たち、とても縁がある気がしてる」
「お姉さん、僕を家に連れて行ってくれるの?」
悠真は大きな瞳を瞬かせながら、整った眉と穏やかな目つきで私をじっと見つめていた。
私はその場で固まり、心臓が抑えきれない勢いで「ドクンドクン」と鳴り響いていた。
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