届かぬ未来への招待状第3話
この話は約1414字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
翌朝、千遥はいつも通り身支度を整え、会社へ出勤しようとした。
ちょうど出かけようとした時、研司が背後から彼女をぎゅっと抱きしめた。
研司は千遥を抱きしめながら、手にした精巧なギフトボックスを開けていた。
中に入っていたのは、一組のきらめくイヤリングだった。
彼はイヤリングを取り出すと、千遥の耳にそっと当てた。その動作は慎み深く、まるで稀代の宝物を扱うかのようだった。
「この数日、清花の相手に追われてて……お前の気持ちをないがしろにしちまったよ。悪いな、気に病まないでくれ」
千遥は無理に笑顔を作った。「うん」
もしかすると、もうすぐ去るからだろうか、千遥は妙に大人げなかった。
イヤリングを付け終えると、千遥は研司に「行ってくる」と言って、さっさと外に出た。
玄関を出た時、千遥はどこからか注がれる視線を感じた。
だが彼女は深く考えず、予定通り車で会社へ向かった。
会社ではいつもの通り冷凍倉庫の点検をしていたが、そこにいるはずのない清花の姿が目に入った。
清花は大股で千遥に駆け寄ると、彼女を冷凍倉庫の中へ引きずり込み、声は低く、しかし狂気を帯びていた。
「お前……お兄ちゃんに何をしたの?私だってお兄ちゃんからプレゼントもらったことないのに!なんであんなキラキラしたイヤリング貰えるのよ?」
千遥の声は相変わらず冷静だった。「ただのイヤリングよ。欲しいならあげるわ」
しかし清花はまるで聞こえていないかのように、目を真っ赤にして千遥のイヤリングを無理やり引っ張った。
イヤリングのフックが千遥の耳たぶを引き裂き、鋭い痛みが走った。耳たぶはすぐに赤く腫れ上がり、血が滲み出た。やっとのことでイヤリングは引きちぎられた。
清花はイヤリングを握りしめたまま千遥を放さず、一語一語に憎悪を込めて言った。
「なぜお前はこんなに簡単に私から全部奪えるの?先に来たのは私なのに!お兄ちゃんは私だけのものなの!二度とお兄ちゃんを誘惑するな!本当に殺すから……」
千遥が口を開こうとしたその瞬間、清花は逆上して彼女を床に蹴り倒した。
清花が去っていく背中を見て、千遥の心臓が凍りついた。彼女は清花の企みを一瞬で悟った。
絶望的な叫びが漏れた……「やめて!」
しかし冷凍倉庫の扉は無情にも閉ざされ、千遥がいくら激しく叩いても応答はなかった。
千遥は助けを求めて叫び続けたが、声が枯れるまで誰も助けに来なかった。
10分後――千遥の指は冷気で凍りつき、まるで氷の塊のようだった。
20分後――千遥は凍え、声を出すことすらできなくなった。
体の芯から冷たさが増していくのを感じながら、千遥は床に丸まり、絶望的に目を閉じた。
冷凍倉庫の鍵はたった一つ……それは清花の手の中にある。つまり、助かる見込みはほとんどゼロだった。
清花がここまで病的だとは、本当に思いもしなかった。
たかが一組のイヤリングが……彼女を殺人鬼に変えたのだ。
1時間後――千遥の全身は完全に凍りつき、叫ぶ力も尽きて、ついに重い音を立てて床に倒れ込んだ。誰も彼女に気づかない。
意識が徐々に遠のいていく……その瀕死の瞬間、一筋の力強い腕が彼女を掴んだ!
千遥が再び目を覚ましたのは、その翌日だった。
最初に視界に飛び込んできたのは真っ白な壁、続いてツンとくる消毒液の匂い。
ここは……ここは……病院?彼女は……死んでいない?
次の瞬間、ぐいっと力強い腕に引き寄せられ、千遥が固い胸板に押し当てられた。
「千遥っ、やっと覚めたか!体の調子はどうだ?」
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