家族へ遺した、最期の贈り物第3話
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両親と竜也がすぐに駆け寄ると、明里はその場に尻もちをつき、わんわんと泣き出した。
その手には、粉々に引き裂かれた紙が握りしめられている。
「こ、これ……今日の誕生日会で発表する新作じゃないの?
どうして破れてるんだよ、誰がこんなことを!」
久実子はすぐにしゃがんで明里を抱き起こし、その目には心配と憐れみの色がいっぱいに浮かんでいる。
明里は泣きすぎて息も続かない。
「今日、このデザイン画を発表するって分かってたから、ちゃんとしまっておいたの……
出かける時も、あの……お姉ちゃんと一緒に使ってるあの棚に……鍵までかけて……」
これを聞いて、私は冷ややかに笑った。
たった一言で、犯人は明らかになった。
鉄夫は激怒してドアを叩きつけ、大声で怒鳴った。
「樹里は本当にどんどん度を越していくな!
帰ってこないと思ったら、こんなひどいことを!帰ったら足の一本でも折ってやる!」
上の階で大騒ぎが起こり、竜也は困ったようにため息をついた。
「今一番大事なのは、どうやってデザイン画を元に戻すかです。
今日は多くの名士が来ています。皆さんは明里の新作を楽しみにしていると思います。
俺、地下室で使えそうな道具がないか見てきます」
竜也が外へ向かおうとすると、明里は素早く彼の腕をつかんだ。
「竜也さん、無駄だよ!お姉ちゃんは破いただけじゃなくて、一部のデザイン画も持っていっちゃったの。もう、元に戻せない!」
「なんだって?!」久実子が思わず叫んだ。
竜也はすぐに明里を宥め、地下室へ行くことも頭から消えた。
彼はしゃがみ込み、彼女の目尻の涙をそっと拭った。
「大丈夫だ。この件は俺に任せろ。今一番大事なのは、誕生日を笑顔で過ごすことだ」
その瞬間、竜也はまるで家を支える柱のように、誰からも頼りにされる存在だ。
明里は彼と視線を交わし、次の瞬間、思わず口づけた。
竜也は凍りついたように固まり、反射的に押し返そうとした。
だが――結局、そうはせず、逆に彼女の腰を抱き寄せ、唇を深く重ねた。
私はもう呼吸をしていないはずなのに、息が詰まるほど苦しく感じた。
元々、竜也が明里を「ただ可愛がっているだけ」だと思っていた。まさか彼が本当に別の感情を抱いているとは、思いもしなかった。
もっと早く気づくべきだった。
クリスマスのたびに、彼は明里のために心を込めてプレゼントを用意する。けれど私のことはいつも忘れられてしまう。
たまに思い出されても、もらえるのはおまけみたいな粗末なものばかりだ。
ここ数年で、私のジュエリーボックスは安価な指輪でどんどん埋まっていった。
高価なのは、結婚の際にもらったあのダイヤの指輪だけだ。
あの頃は、彼はまだ私を裏切っていなかった。
――でも、構わない。もらったすべてのものは、そっくりそのまま返すつもりだ。
この誕生日会の場にて。
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